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「……捉え方は人それぞれだと思わない? でもナイスアイデアだったでしょ? だって、今回は誰一人困惑せずに楽しいお茶会出来てたじゃん!」
「貴女が真っ先にクラリーチェに話を振って、そこから聞き役に徹したせいで、クラリーチェは大いに戸惑っていましたけれどね……?」
「それはーー……今までと比べれば誤差の範疇だよ! ……絶対そう!」
「……そもそも侯爵家ご令嬢に気を遣わせる子爵家ご令嬢がいていいものなのかしらね……?」
「ーー友情って素晴らしいね!」
「ーー貴女の思考回路を埋め尽くすお花のほうが、よっぽど素晴らしいと思うわ」
「……ーーでも先生は今までで一番だって……」
「ーーだから納得いかないんじゃない」
「そんな理不尽な……」
「貴女だけには言われたくないわ⁉︎」
そんな会話を繰り広げながら、リアーヌたちは騎士科の訓練棟、その控え室のほうに足を進める。
本日はゼクスやザームも参加する、ビアンカとアロイスの勉強会の日だった。
授業が終わってからの数時間、お茶やお菓子を楽しみながら話し合うだけなのだが、周りに気を使わず存分に話し合えると、ビアンカたちには好評で定期的に開催することを望まれていた。
「ーーあら……」
「え?」
ふいにビアンカが声を漏らし、わずかに顔をしかめる。
リアーヌもつられるようにそちらに視線を向けーーそのにいた人物たちに視線を揺らした。
ーーそこには、ベッティや他の友人たちに囲まれたユリアがいて、こちらに向かってくるところだったのだ。
「わぁ……気まず……」
(って言っても、避ける場所もやり過ごす場所もない一本道の廊下……)
「……進みます、よね?」
笑顔を取り繕いながら、小声でビアンカに話しかける。
「ーー当たり前でしょう? あちらは専門学科……教養学科の私たちがあしらえなくてどうしますの?」
「うっす……」
そう答えるとリアーヌは、完璧ない微笑みを貼り付けながら優雅に歩く、戦闘モード全開のビアンカの後に続く。
(視線は下げない。 足幅は一定に、身体が上下に動かないようにしっかり固定しながらも摺り足にはならないように……!)
教えられた動作を一つ一つ確認しながら歩くリアーヌ。
かなり距離が近くなり、向こうもリアーヌたちに気がつき、顔をしかめたりあからさまに睨む生徒たちも出てきていた。
リアーヌはまた嫌がらせの犯人として文句を言われるのだろうか? と、身構えていると、ニコリと笑ったユリアが友人たちに話しかけ、一言も発さないままにすれ違うーー
「貴女が真っ先にクラリーチェに話を振って、そこから聞き役に徹したせいで、クラリーチェは大いに戸惑っていましたけれどね……?」
「それはーー……今までと比べれば誤差の範疇だよ! ……絶対そう!」
「……そもそも侯爵家ご令嬢に気を遣わせる子爵家ご令嬢がいていいものなのかしらね……?」
「ーー友情って素晴らしいね!」
「ーー貴女の思考回路を埋め尽くすお花のほうが、よっぽど素晴らしいと思うわ」
「……ーーでも先生は今までで一番だって……」
「ーーだから納得いかないんじゃない」
「そんな理不尽な……」
「貴女だけには言われたくないわ⁉︎」
そんな会話を繰り広げながら、リアーヌたちは騎士科の訓練棟、その控え室のほうに足を進める。
本日はゼクスやザームも参加する、ビアンカとアロイスの勉強会の日だった。
授業が終わってからの数時間、お茶やお菓子を楽しみながら話し合うだけなのだが、周りに気を使わず存分に話し合えると、ビアンカたちには好評で定期的に開催することを望まれていた。
「ーーあら……」
「え?」
ふいにビアンカが声を漏らし、わずかに顔をしかめる。
リアーヌもつられるようにそちらに視線を向けーーそのにいた人物たちに視線を揺らした。
ーーそこには、ベッティや他の友人たちに囲まれたユリアがいて、こちらに向かってくるところだったのだ。
「わぁ……気まず……」
(って言っても、避ける場所もやり過ごす場所もない一本道の廊下……)
「……進みます、よね?」
笑顔を取り繕いながら、小声でビアンカに話しかける。
「ーー当たり前でしょう? あちらは専門学科……教養学科の私たちがあしらえなくてどうしますの?」
「うっす……」
そう答えるとリアーヌは、完璧ない微笑みを貼り付けながら優雅に歩く、戦闘モード全開のビアンカの後に続く。
(視線は下げない。 足幅は一定に、身体が上下に動かないようにしっかり固定しながらも摺り足にはならないように……!)
教えられた動作を一つ一つ確認しながら歩くリアーヌ。
かなり距離が近くなり、向こうもリアーヌたちに気がつき、顔をしかめたりあからさまに睨む生徒たちも出てきていた。
リアーヌはまた嫌がらせの犯人として文句を言われるのだろうか? と、身構えていると、ニコリと笑ったユリアが友人たちに話しかけ、一言も発さないままにすれ違うーー
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