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ーー次の日の朝、教養学科の教室で、リアーヌはビアンカから聞いた話に目を見開いていた。
「え、じゃあ……あの後すぐ怪我しちゃったってこと?」
リアーヌからの質問にビアンカは言いにくそうに口を開いた。
「……ご本人曰く『階段を降りようとしたら誰かに突き飛ばされた』んだそうよ」
「え……? でも、ビアンカさっき「時間と場所的に、私たちと別れてすぐのようね」って……ーーあの後すぐあのお友達と別れちゃったり……?」
「いいえ? ご友人たちも突き落とされたと証言なさってるわ」
「……犯人はすでに捕まった……?」
「ーーいいえ? ご本人もご友人方も、あまりのことに混乱して誰も犯人を見た覚えがないそうよ」
「……ーー初めから犯人なんかいなかった説……」
小声で伝えるリアーヌにビアンカは大袈裟な仕草で肩をすくめ、顔をしかめて見せた。
「もはやそんなレベルの話では無いの」
(果たしてどんなレベルの話なのかと……ーーってか……ユリアが階段から突き落とされるって、ゲームのイベントというか、ストーリーの……? 確かに階段から突き落とされてーーとかいうのはあるけど……でもあれ邪魔な婚約者のご退場トリガーだから、恋愛エンド確定の時しか起こらないはずでは……? そもそも時期もユリアが二年の時だから一年早いし……ーーそもそもそれで「犯人わかりません!」は変だよね……? え、意味不明すぎる……)
「……それで被害者はなんて?」
「ーーさっきから言ってるじゃない犯人が居ると言い切ったの。 騒ぎを聞きつけて集まってきた生徒や教師の前でそう言い切ったの。 ーー穏便にことを収めるなんてもう不可能ーー誰を槍玉に上げるのかは知りませんけれど……全面戦争は確定ですわね」
ビアンカの言い方に違和感を持ったリアーヌはイヤな予感をヒシヒシと感じ取っていた。
「ーー誰をってことは……その……?」
(私、ものすごい直近ですれ違ってしまいましたけれどーー⁉︎ そりゃそうだよね! だってなんかあの子、クラリーチェ様だけじゃ無くて私にも敵意剥き出しだもんね⁉︎ 同じ転生者だから⁉︎ レオンとクラリーチェ様の仲を取り持ってしまったから⁉︎ ーー合わせてアウトの線も濃厚になってきたなぁ⁉︎)
「さぁね? けれど、学院側も本気で捜査をするみたいよーー警備部の方々が直々に被害者やそのご友人から話を聞く程度にはね」
「ーー確か警備部って……?」
「国からの命令でこの学院の生徒、および教師たちの安全を守っている方々ーーつまりは、国に仕える騎士の方々ね」
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