成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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(ーーえ、だってミヒャエリス先生、あの乙女ゲーでも結構な人気キャラでしたよ⁉︎ 追加キャラの中ではダントツだったし、私のタイムラインなんか腹黒なミヒャエリス先生を褒め称えるツイートで溢れかえっていたというのに⁉︎)

 リアーヌは同志を求めるように視線を巡らせ、運悪く目があってしまったゼクスに話かけた。

「ーーゼクス様、今の私の話で少しでも「あ、それ分かっちゃうなー」とかいうことって……」
「ーーえっとねぇ……? うん……ーー趣味趣向なんて十人十色だよね? あくまで鑑賞するだけなんだったら文句なんか言わないよ……ーーあくまでも鑑賞だけだよ? 絶対に近づいちゃダメだからね?」
「……ーーケガしたり気分が悪くなったら不可抗力ですよね?」
「……リアーヌ、治癒も回復も使えるよね?」
「……でもほら、慣れてないから時間かかりますし……」
「ーー頑張ろっか?」
「…………はい」

 ゼクスからの圧強めの笑顔で押し切られ、渋々返事を返すリアーヌ。

 その後はみんなが一致団結して話題を変え、勉強会はつつが無く終了したのだったーー

 ……だったのだがーー

(ーーちょっと⁉︎  ヴァルムさんに今日の話をチクったのはどこのオリバーさんよ⁉︎ なんで今日から急に治癒や回復の特訓が始まったのよ⁉︎ 「もう隠す必要もございませんので……」とかもっともらしいこと言ってるけど、絶対私が救護室に行かないようにしてるだけじゃん! ーー私はただ推しからの治癒とか回復を受けてみたいだけなのに……ーーチクリとか卑怯だし……!)

「姉ちゃん、なんかダルいから回復かけてー?」

 リビングでぶっすりと唇を尖らせていたリアーヌに、風呂上がりのザームが話しかけてきた。
 ニヤニヤと笑いながら近づいてきたところを見ると、リアーヌをからかう気満々で話しかけてきたようだった。

「なにその顔……ーーそのニヤけた口、捻り取ってやろうか……!」
「おー怖。 んなことになったらあの先生に泣きついて治してもらわなきゃなー?」

 その言葉にリアーヌは抱えていたクッションをザームに投げつけるが、それはいとも簡単にキャッチされてしまい、リアーヌは目の前にあったクリスタルの置物を手に取ったのだが、その瞬間ヴァルムの大きな咳払いが聞こえて、ビクリと身体を震わせゆっくりとそれからてをはなした。
 そして、それをザームにまた笑われているのだろう……と顔を歪めながらチラリとそちらを確認すると、ザームはザームで背筋を伸ばしてきちんとソファーに腰掛け直しているところで、リアーヌはそんなザームの態度に、なぜだがとても満足した気持ちになれたのだったーー
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