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「ーーラッフィナート商会に後ろ盾を願った方はあの方ではないの?」
その質問に、リアーヌは「あー……」と言葉を濁しながら視線を逸らす。
レジアンナの疑問に、なんとなく察しがついてしまったからなのかもしれない。
通常、後ろ盾を願う家の、しかも嫡男の婚約者にあそこまでの悪意を向けることなどあり得ない。
例外があるとするならば、婚約者側がラッフィナートに、金銭的援助やなんらかの融通をしてもらっていて、明らかに立場が弱いと周囲の者たちが知っている場合なのだが、今のボスハウト家にはいかなる援助も必要とはしていなかった。
そして、可能性として考えられるものがもう一つーー
ゼクス本人が彼女の後ろ盾となることに前向きである場合だ。
ーーつまりはゼクスが気に入っている女性……“愛人”であるならば、リアーヌに対して先ほどの様な暴挙に出ても、ゼクス自身が庇うので気を使う必要など無くなるのだがーー
そんな存在がいるのであればとっくに父やヴァルムが黙っているわけは無いのでその線も薄いーー
であるならば、なぜ……?
リアーヌはおそらく自分と同じ疑問を感じているであろうレジアンナに、肩をすくめながら事実だけを説明していく。
「……その話は、今の所保留ってことになってるーーというか、裁判やったら有罪に出来ちゃうほどには、しっかりあの子がやってるから、のらりくらりしてお茶濁してるはず……ーーあちらの家の考えだから間違ってるかもだけど……万が一あちらの家が許しても家は許さないし、証拠も持ってるし……? ーー多分、どれだけ時間が経っても後ろ盾なんかになる気は無いんじゃないかな?」
「ーー……つまりあの方、そんな状況でリアーヌにケンカを吹っかけましたの……?」
「……なんとなくだけど、あの子たちの中ではもう婚約が無かったことになってるみたい……?」
そんなリアーヌの答えに、レジアンナばかりか、その周りの友人たちも唖然と言葉を失う。
しかしリアーヌだけはホッと胸を撫で下ろしていた。
(あ、良かった。 そうだよね? あの子の言動ってそのぐらいあり得ないことだよね? なんか自信満々にこられたから不安だったけど、やっぱり私間違ってないよね?)
そんなどこかホッとした様子のリアーヌに、友人たちは眉をひそめながら助言を口にする。
「そんな方、たとえ男爵が相手になさらなくとも側に侍らすのは危険ですわ?」
「ここは毅然とした態度でお話しすべきです!」
「ラッフィナート男爵家の名誉にも関わる問題ですわ?」
そんな友人たちの言葉を聞きながら、リアーヌは心の中で(……凍結中に次の婚約者を探すのはありらしいんですが……?)と心の中でグチるように呟いていたーー
その質問に、リアーヌは「あー……」と言葉を濁しながら視線を逸らす。
レジアンナの疑問に、なんとなく察しがついてしまったからなのかもしれない。
通常、後ろ盾を願う家の、しかも嫡男の婚約者にあそこまでの悪意を向けることなどあり得ない。
例外があるとするならば、婚約者側がラッフィナートに、金銭的援助やなんらかの融通をしてもらっていて、明らかに立場が弱いと周囲の者たちが知っている場合なのだが、今のボスハウト家にはいかなる援助も必要とはしていなかった。
そして、可能性として考えられるものがもう一つーー
ゼクス本人が彼女の後ろ盾となることに前向きである場合だ。
ーーつまりはゼクスが気に入っている女性……“愛人”であるならば、リアーヌに対して先ほどの様な暴挙に出ても、ゼクス自身が庇うので気を使う必要など無くなるのだがーー
そんな存在がいるのであればとっくに父やヴァルムが黙っているわけは無いのでその線も薄いーー
であるならば、なぜ……?
リアーヌはおそらく自分と同じ疑問を感じているであろうレジアンナに、肩をすくめながら事実だけを説明していく。
「……その話は、今の所保留ってことになってるーーというか、裁判やったら有罪に出来ちゃうほどには、しっかりあの子がやってるから、のらりくらりしてお茶濁してるはず……ーーあちらの家の考えだから間違ってるかもだけど……万が一あちらの家が許しても家は許さないし、証拠も持ってるし……? ーー多分、どれだけ時間が経っても後ろ盾なんかになる気は無いんじゃないかな?」
「ーー……つまりあの方、そんな状況でリアーヌにケンカを吹っかけましたの……?」
「……なんとなくだけど、あの子たちの中ではもう婚約が無かったことになってるみたい……?」
そんなリアーヌの答えに、レジアンナばかりか、その周りの友人たちも唖然と言葉を失う。
しかしリアーヌだけはホッと胸を撫で下ろしていた。
(あ、良かった。 そうだよね? あの子の言動ってそのぐらいあり得ないことだよね? なんか自信満々にこられたから不安だったけど、やっぱり私間違ってないよね?)
そんなどこかホッとした様子のリアーヌに、友人たちは眉をひそめながら助言を口にする。
「そんな方、たとえ男爵が相手になさらなくとも側に侍らすのは危険ですわ?」
「ここは毅然とした態度でお話しすべきです!」
「ラッフィナート男爵家の名誉にも関わる問題ですわ?」
そんな友人たちの言葉を聞きながら、リアーヌは心の中で(……凍結中に次の婚約者を探すのはありらしいんですが……?)と心の中でグチるように呟いていたーー
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