62 / 92
【記念日お礼・Thanks to everyone】
ラブラブパフェVSレアチーズケーキ(ラブベリー添え)㊤
しおりを挟むテクニカルダンジョンにて、以前採取したラブベリー。これは中々珍しいベリー類で、一度に数も取れません。また鮮度が命。摘み取ると、二十四時間程で味が落ちてきてしまいます。栽培も試されましたが、ラブベリーには種子が出来ません。そのため株分けか移植になります。しかし移植しても一年で枯れてしまいます。やはり栽培は難しいのです。
最近は聖なるダンジョンでも見つかりました。しかしやはり貴重なので、生での姿は中々お目にかかれないのです。ころポックル亭でも、たまに特別スイーツとして販売しています。もちろん数が作れませんので先着順です。実は最近このスイーツが、なぜか巷で超話題になっているそうなのです。
【相思相愛・ラブラブパフェ】
本当の名前はラブラブパフェではありません!皆さまー。ラブリーパフェですよー。食べに来る皆さまが、今日はラブラブパフェありますか?と聞かれるのです……。
仲良く二人でラブラブパフェを食べると、必ず相思相愛になれるとの噂なのです。私的には二人で食べてる時点で、すでに相思相愛なのでは?と思うのですが?この辺は良くわかりませんね。特にアーンすると良いそうです。食べさせあうなんて恥ずかしすぎます。私の作るパフェに、そんな効果は付加されていないはずです。鑑定してみましたが、もちろんそんなバフはついていません。なのになぜそんな噂が広まっているのでしょうか?
「うわー。凄い!ラブベリーの群生地だよ!まさかこんな近場にあるなんて!ルイス見てよ!ハートのベリーが鈴なりよ!帰りに寄って採取しなくちゃ。これならかなりの日数で、ラブリーパフェを提供できるね。うん。明日は早速、張り紙しなくちゃ」
…………
ルイスがなぜか無言ですね?まさか緊張しているの?そんな訳はないよね?
あのダンジョンでの最下層での追放から一年が経ち、互いに反省をしホワイトハットが再出発をしました。ザックとリーダーはお兄ちゃんズと、国の仕事を請け負っています。チームとしては時おり、冒険者ギルドからの依頼をこなしています。ころポックル亭の定休日には、私は大概ルイスと共にダンジョンへ。他のメンバーも一緒の場合も多く、ほぼ一日採取にいそしんでいます。二人だけの時は、帰りにお買い物や食べ歩き。キチンとデートもしていますよ。
まあ……結婚してしまった現在、今さらデートもないような気もしますが……
お付き合いをするかどうかの返事のはずが、なぜか大神殿でのド派手な挙式となり……帝国の使者たちの我が儘により、急遽深夜にも係わらず、帝国への新婚旅行先変更……そこでお父さんの出自と故郷を知ることとなりました。本当にすべてが急展開で慌ただしい日々でした。そんなドタバタの中、私は本当に大切なことを忘れていました。なんて親不孝な娘なのでしょう……
ただいまルイスと共に、私が子供の頃に両親と採取に来ていた森にいます。突如ルイスが私の両親のお墓参りに行きたいと言いだしたのです。そうです!すっかり忘れていたのです。まだ両親に結婚の報告をしていません。本来なら結婚をする前に報告をするべきなのに!しかもルイスに言われるまで忘れているなんて……私ってば!本当に親不孝すぎです。反省です……。
両親のお墓は、この森の端にあります。公園墓地となった森の一角に、町の人たちの共同墓地があるのです。こんなに近いのに!リターンホームなら直ぐなのに!本当に罰あたりでごめんなさい。
でもね?だって!帝国から帰宅後、とにかく忙しかったのです。本当に怒涛のような日々でしたからね。新しい大神殿のイメージを良くするため、私たちも頑張りました。
お父さん。お母さん。報告を忘れていてごめんなさい。ルイスからは白いユリの大きな花束を。私からは紫とピンクのスターチスの花束を。どちらも二人の想い出の花なんだよね。お兄ちゃんズに聞いたよ。
二つの花束を、二人の眠る墓前に供えます。
お兄ちゃんズは、お父さんの義理の甥だったの。お父さんを救助し養子にしてくれたのは、城下町にある大きな商家の今は亡き先代のご主人。その跡目は長兄さんが継ぎました。次男は他の町でやはり商家を商っているのです。その次男さんの息子が、お兄ちゃんズだったの。お兄ちゃんズは、学校へ通うためと武術を習う為に、お母さんと共に城下町に住んでいました。その習っていた道場に、私が通いだしたのが幼馴染みの始まりです。お兄ちゃんズのお父さんとして、弟さんは良く道場に見学に来ていました。弟さんは短い間とはいえ、お父さんの義理の兄だったんだよね。お父さんの事を覚えていてくれたんだよ。私が道場に珍しいクナイを習いに来ていたから、もしかしたらと思って調べたんだって。今は亡き商家のご主人も、お父さんに何か事情が有ることを理解してくれていました。でもあえて聞かなかったのです。お母さんと駆け落ちする際も、行き詰まったら戻ってこいと援助までしてくれていたのです。
お兄ちゃんズは、この全てを知っていました。確かにそうですよね。背中に傷を負い、海から助けられたお父さん。事情ありありがバレバレです。しかも帝国ではクーデターがおき、その直ぐに鎖国です。どう考えても関係者です。髪の色も帝国の人たちの色と同じなのですから。
でも弟さんは、私に名乗りはしなかった。お兄ちゃんズに、私を見守ってやれと言ったのみ。私は一生懸命に生きてるから、気を使わせる関係を作らない方がよい。だが将来必ず苦労するだろう。その時の為に見守ってあげなさい。そうお兄ちゃんズに言ったそうだよ。
お父さん。長兄さんと次男さんは、私が修行で戻らない間ね。交代でお墓参りに来てくれていたんだって。私が町に戻って来たとき、お墓も周囲も綺麗で驚いたの。町の人たちもだけど、お二人も掃除してくれていたの。草むしりまで!なんて報告しなくても、お父さんは知ってたよね。お二人には、私たちの結婚式に来て貰ったよ。だって私の伯父さんだもの。考えてみたら、お兄ちゃんズは従兄だよね。天涯孤独だと思っていたから、義理だけど嬉しいな。もちろん、お母さんの実家ともケンカはしていないからね。義理だけど従姉と姪も出来たの。現伯爵家当主との養子縁組ね。これからも増えるかも。会ったことは無いけれど、血の繋がった従兄弟もいるんだよね。いつか合えると良いな。お母さんにした仕打ちは許せないけれど、それぞれに事情が有り反省をし罪を償ったよ。養子縁組はその一環なの。しつこく恨みを抱えていたら、いつまでも先に進めないよね。だから私は先に進むよ。
なんて久しぶりだから、つい報告が長くなっちゃった。また来るね。
墓前に手を合わせ、花束には保存の魔法をかけます。
白いユリは、お母さんの実家の家紋でした。お母さんは白ユリが好きだったと聞いています。そしてスターチスは、お父さんからお母さんへのプロポーズに贈ったお花。スターチスの花言葉は変わらない心。そして紫には、おしとやかや上品。ピンクには永久不変の意味が有ります。
出会った頃には折れそうに儚かったというお母さん。苦労させてしまったから逞しくなったと、お父さんはいっていました。でも健康になったんだからいいじゃない!と、笑いあっていた二人をなんとなく思い出します。お父さんは儚いお母さんを守りたいと、永久不変の愛を誓いました。紫とピンクのスターチスの花言葉に、その気持ちを込めたのです。
私は今までの事をルイスと並び、お花を供え報告をしました。ルイスはまだ無言です。本当にどうしたのかしら?
「ルイス?まさか墓前なのに緊張してるの?意外に繊細なのね」
…………
「アリーは以前、兄弟子のお二人にだけご馳走しましたよね……」
は?お兄ちゃんズだけになにを?
「断罪の出来レースの帰りです。ダンジョンでの最後の方の夜営では、タンドリーチキンを作りましたか?」
因みにデザートは、熱々のアップルパイにシナモンアイス添えでしたか?とルイスの質問は続く……。
……確かにタンドリーチキンだったような気がする。デザートもそうだよ。ダンジョンで採取したばかりのリンゴを使ったんだよね。
「良く覚えてたね。多分そうだよ。なるべく匂いがそちらに届く、料理をと言われたからね」
「そのタンドリーチキンに使うヨーグルトで、レアチーズケーキを作りましたよね?」
「ああ。うん。でもヨーグルトがあまり余らなかったの。だから二つしか作れなかったのよ」
だからダンジョンでは食べなかったのよ。と私は話を続けます。
…………
「あの日私とザックは、アリーより先に部屋を出ました。ギルド入口で兄弟子に家のかぎを渡されました。そのまま明日からの修行の景気づけだと、夕食を兼ねて飲みに連れていかれたのです」
……だからどうしたのかしら?ついでなんだから、夕食を食べて帰っても良いわよね?ルイスの語りがねちっこいんですけど?なんだか嫌な予感がします。
「ザックは早々に酔い潰されました。私は酔いませんので、家についてからも眠らせて貰えなかったのです」
なんで?なんで眠らせて貰えなかったの?眠いなら、先に寝ればよいじゃない。
「兄弟子のお二人に、ずっと説教をされていたのです。あのお二人は、酔うと説教魔になるのですね」
「そ……それは知らなかったよ……大変だったんだね」
「確かに私が悪いんです!ですから説教をくらうくらいは我慢できますよ!でもですね!でも!」
ルッルイスってば!どうしちゃったの?なんだか迫力ありすぎて……。
めちゃ怖いんですけど?
*****
0
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。