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【記念日お礼・Thanks to everyone】
ラブラブパフェVSレアチーズケーキ(ラブベリー添え)㊦
しおりを挟むあのう……ルイスさん?
…………
えー。それって真面目に言っているのですか?そりゃ確かにお兄ちゃんズも大人げないですよ。でも酔っていたんです。少し位は多めにみてあげて下さい。試練だと思って水に流しましょう……。私の呆れたジト目に気が付いたのか、ルイスが反論してきます。
「私たちがアリーにしたことを反省しているからこそ、あの場は耐えたのです。しかしラブベリーが悪いのです!思い出したら悔しくて……くっ……」
そ……そんなに悔しかったの?食べ物の恨みは恐ろしいのね……。
あの日私は帰り際に、お兄ちゃんズにレアチーズケーキを手渡しました。ダンジョンを出た時にお礼にと、採取した貴重なラブベリーを、二人だけにと約束をしたのです。その生のラブベリーをたっぷり添えました。もちろんベリーのソースもかかせません。このチーズケーキを、お兄ちゃんズはルイスの目の前で……。
しかしお兄ちゃんズも大人げないです。それに酔うと説教魔になるとは驚きました。私も気を付けなくてはいけませんね。
「ほーらほら。羨ましいだろー。ほらひと口食べるか?と、私の目前をスプーンがチラチラ飛ぶんです。お二人交互にするんですよ?あの時は本気で殺意が沸きましたよ。クッキーがなければ、天井に大穴を開けたかもしれません」
…………
それは止めて。洒落にならないから。既に私の部屋の天井に大穴開けてるし……。
「なら帰りに沢山摘んで帰りましょう。あれだけあるんだから、ジャムもソースも作れるわよ。明日はルイスに、パフェ一番乗りの権利をあげる」
…………
「レアチーズケーキがよいのです……」
「帰ってからじゃ、明日の仕込もあるし間に合わないよ。それなら今晩に一番乗りさせてあげる。明日も皆と一緒に食べられるよ。それじゃダメ?」
「兄弟子たちのチーズケーキのソースは、確かベリーでしたよね?」
「そうね。普段はラブベリーは数が少ないから、生のまま使うからね。ジャムやソースにまわすまでの余裕はないわ」
…………
「ならば!よし!大盤振る舞いでいきましょう!ルイスのために、腕をふるいましょう。ラブベリーオンリーでいきましょう!ラブベリーソースを追加しましょう!混ざりもの一切なしの、ラブベリーのみのパフェ!これでどう?」
「はい……でも……出来ればですね?ラブベリー倍増プラス、紅茶にラブベリージャムをお願いします」
…………
「了解しました。ルイスってば、実はかなり甘党なの?」
「違います!アリーが兄弟子たちを特別扱いしたからいけないのです!でも兄弟子たちのチーズケーキよりも、私のパフェの方が特別製ですよね?私だけの特製なのですね?楽しみです。アリー?沢山摘んで帰りましょう」
…………
くぅぅ……。ルイスのその笑顔は反則だわ。男性の首を傾げての笑顔に赤くなる女の私ってどうなの?結婚までしたのに、まだ私の女子力ってのが不足しているの?ううん違うわ!ルイスがいけないの!破壊力が凄まじすぎる……。
「アリー?顔が真っ赤ですよ。可愛くてこちらも食べちゃいたいです。でもさすがにここでは……我慢です。今はここまでで……チュッ」
「ンッ……ル……イス……やぁ……んっ」
もう!ここは外よ!しかも両親のお墓の前じゃない!ンンゥー!離してー。可愛いのは私じゃないわ!ルイスが美人過ぎるのよー!こんな美人さんとチューするの、恥ずかしいんだよよー。それにここは外です。やだもぅー!
「ご両親には挙式での誓いのキスを、目前でみて貰えませんでしたからね。私はアリーを幸せに致します。もちろん私も幸せです。こんなに可愛らしいアリーに、巡り合わせてくれたご両親に感謝を……幸せすぎてご報告が遅れましたことを深くお詫び申し上げます」
ルイスってば、相変わらず恥ずかしげもなく……。私の方が恥ずかしくなるじゃない。
「私も感謝しています。お父さん。お母さん。私をうんでくれて有り難う。天国で安心して見ていてね。私はルイスと幸せになるよ。幸せにしてくれるんだよね?」
私をギュウギュウと抱きしめるルイスの胸をグイと押し退け、空いた隙間から顔を見上げ問いかけてみます。
「もちろん私もルイスを幸せにしたい。いつも素敵なルイスには正直気おくれしちゃうけど、可愛いと言ってくれるルイスを信じたい。女子力向上だっけ?頑張るね。ルイスに可愛いと思われるのは嬉しい……から……「アリー!」……って……くっ苦しい!」
ルッルイス苦しいよ。お願いだから、少しは加減してー。
*****
「大丈夫です!私が実地で指導しますから!アリーのそのデレは、私だけに見せて下さい」
しかしその顔は反則です。アリーは自己評価が低すぎます。しかし私のためになんて嬉しすぎます。あぁーもう我慢できません!結界をはればもう少し先まで……。
…………
ちっ。視界に然り気無く空色のお邪魔鳥が……。さすがに結婚してからは、あまり見なくなりましたが……しっかりと私の暴走チェックはしているのですね。さすがにこの不埒な掌が不味かったのでしょうか?でも同じ男なら察して欲しいです。今さら止められませんよ?
「ルッルイスっ。やだっ!もうさわらないで!んっ……外だってば……ひゃぁ!ぃ……ぃやあっ……あぁん……」
アリーが可愛すぎてとめられません。
…………
鳥が……増えていますね……。しかしこのアリーの姿をみて止めろと?恨みがましく、再度お邪魔鳥を見ると……。段々と近付いて来ています……。これはもう仕方ありません。でも誰も見てはいませんよ。少しくらいイチャイチャしても良いでしょうに……外ではダメだと……解りました!ですからもうそれ以上は近寄らないで下さい。
しかし私も己で驚いているのです。アリーには独占欲むき出しなのです。可能なら誰の目にも触れさせず、私だけを見つめさせたい。アリーに触れる奴は抹殺したい位です。巷ではこれをヤンデレと言うそうです。ヤンデレ上等ではないですか?でも私はアリーを閉じ込めたりはしませんよ。閉じ込めてしまったら、私の好きなアリーではなくなってしまいます。
ですからグレイ?妙な心配はいりませんよ。
はて私はなぜ木陰で寝ていたのでしょう?ラブベリーの群生地の木陰は、甘酸っぱい香りで充満しています。ルイスがその中で、ラブベリーを、摘んでくれています。たくさん摘まなくちゃね。
*****
張り切ってたくさん摘んでくれたルイス。だから夜はお願いを聞いてくださいとごり押しです。さらには巷の噂ににあやかろうと、アーンまでさせられ精神的にもグッタリ。あんな変な噂を立てたのは誰よーー!
昨晩も食べたのに、今日もパフェを頬張りながら、ニヤニヤとするルイス。その姿を見てひそひそ話をする、リーダーと魔法使い。二人はお隣のお店から、ラブラブパフェを食べに来ているのです。
お隣なのでお客様が来たら見えますし、すぐに戻れるので便利です。お客さまも勝手知ったる方々ばかり。必要な方は、こちらに声をかけてくれます。
「賢者って実は、今流行りのスイーツ男子なのかしら?ならたまには、私が作ったスイーツも味見しなさいよ!持ってくるから、ちょっと待ってて……逃げないでよ!」
…………
「正直食べたくないのですが……」
「そう言わないでやってくれ。スイーツは大丈夫だ。普通に食べられる。料理も……。手がこんでいなければ大丈夫だ。特にドック類とスムージーはうまい。店でも売れ筋なんだ」
ルイスに語るリーダー。リーダーは試食しまくりですからね。
しかし魔法使いも、かなりお料理が上達しました。やはり計量と食べ歩きです。リーダーのサポートもバッチリでしたね。でもサンドイッチなどは残念ながら、まだグチャリとしちゃったりするの。野菜の水分をしっかり取ったり、調味料を挟むタイミングが、まだ上手く出来ないのです。カットの仕方にもコツがあります。
なので私は、ホットドッグ風を提案したのです。あのパンならサンドイッチより簡単です。具材を色々用意して、好きな具材で作るホットドッグ。それに混ぜるだけのスムージー。お店の看板メニューになっているのです。もちろんスムージーの材料は、私も試食しています。心配しないで下さいね。
「賢者いる?お待たせ!逃げてない?今回はプリンなの。こちらが野菜で、カボチャにさつま芋に人参に小松菜。こっちが豆類で、枝豆にコーンに小豆ね。さあどうぞ」
ルイスの目前にズラリと並ぶプリンたち。ルイスの目が周囲を泳いでいます。頑張ってーー!パクリと食べました!見守る周囲。
「……確かに普通に美味しいです。しかし豆類は、プリンに投入しただけですよね?わざわざいれない方が、私的には美味です。小豆なら餡にして混ぜるか、そのままならマフィンなどに入れてはいかがです?甘いマフィンになら、塩味のある豆やコーンがあいそうです」
ルイスは全てのプリンを食べた後、私にハーブティーを要求してきました。さすがにあまかったのでしょうか?
「賢者が全部食べた……」
「試食ですよね?食べなくては意見できませんよ?食べてはダメでしたか?」
「あの悪魔の賢者が全部食べたよーー!まさか本当に食べるなんて!うわぁーん……」
悪魔の賢者って……。ルイスは魔法使いに、いったいなにをしたの?泣いてるじゃない!
魔法使いがリーダーに抱き付き、泣き出してしまいました。頭を撫でながら良かったなと宥めるリーダー。
良かったの?嬉しくて泣いてるの?
魔法使いが手がけた料理には見向きもせず、一切味見すらしなかったというルイス。どんなに美味しそうに出来ても食べなかったそう。だからあんなに感無量に……。
「ルイスってば!味見もしてあげなかったの?食べてくれなきゃ、上達だって出来ないのよ」
項垂れるルイス。なぜかリーダーが、ルイスを執拗に庇います。
「それは無理だ。私でさえ辛かったんだ。神でも無理かもしれない。どう見ても料理ではなかったんだ。魔の森で鍛えられてなんとか、料理にはみえる様になったんだ。賢者を責めないでやってくれ……」
リーダーがこっそりと、私に耳打ちしてきます。そういえば私は魔法使いが一人で作った料理を、見たことも食べたこともありません。教えるときは、私がみています。そんなに酷かったの?
魔の森のおばちゃまズに感謝ですね。
そして帰り間際に、お二人が教えてくれた事柄にビックリです。
実は巷の噂の発生元は、なんとルイスと私でした。
モテモテなのに、なぜか特定の恋人を作らなかったルイス。いわゆる看板娘なのに、色事に疎かった私。そんな二人が結婚して仲良く作るパフェ。ラブラブになった二人にあやかろうと、ラブラブパフェの噂が巷に広まったそうです。
可愛らしいハートのベリーは、今日もたくさんのパフェとなりました。私も恋人たちのために、心をこめて作りましょう。
*****
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