【完】専属料理人なのに、料理しかしないと追い出されました。

【記念日お礼・Thanks to everyone】

フラグだったんじゃない！①

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⑧まであります。今回の更新分を除き、明日より毎朝七時に更新予約済です。ルイスが大神殿にいた頃の話が出てきます。微笑みの貴公子様や、暗黒微笑のレクターの渾名の真相に迫る？かもしれません。

ルイスの黒歴史にあたります。また一部他者sideも入ります。最後にはハッピーエンドとなりますが、女性にはキツい話になります。ルイスのイメージが崩れるのが嫌な方は、特にこの部分はスルー願います。宜しくお願い致します<(_ _*)>

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聖なるダンジョンの中には四季があり、フィールド型の内部は外の世界と変わりません。唯一の違いが、太陽と月がないということ。それ以外は全く外と代わりがないのです。

公開前にこのダンジョンの調査に来ました。レポートをまとめてギルドに提出。その後聖なるダンジョンは、初心者や女性に人気となりました。このダンジョンには、ランクの高い薬草類もはえています。先日は希少なラブベリーが見つかりました。まだまだ未発見の物もありそうです。

しかしまさかこの後私が、瞬間移動の魔道具で誘拐されるとは思いもしませんでした。しかも最下層の雪山のフィールドに置き去りです。

最下層に置き去り……。懐かしいフレーズです。しかし以前と違い、スキルを封じられていました。リターンホームでは戻れず、色々とありました。おかげでダンジョン内でも嵐がおこることも知り、後に危険をギルドに伝えることができました。こればかりは、不幸中の幸いでしょうか？

私は自分がいる所が、直ぐにあのダンジョンの内部だと気付きました。なにせ少し前に来たばかりです。しかも誘拐犯がまだ、そばにいましたからね。もし私がなにも知らず雪山に一人だったら、ここはどこだと混乱したことでしょう。

それこそ私が以前話をした、パラレルワールドかしら？と、本気で思ったかもしれません。あるいはルイスが話をしていた、巷で人気だという召喚勇者のお話。おとぎ話だといわれるその異世界に、迷いこんでしまったのかと思ったかもしれません。ザックは意外に現実主義なのでしょうか？ここはダンジョンだ！の一点ばりでしたが……。もちろんこの世界には、魔王はいませんよ。

しかし本当にフラグになってしまいました。あの時ルイスに、誘拐には気を付けろと言われたのです。不可抗力とはいえ、本当に私は勉強しませんよね。ションボリしちゃいます。

あの時はなんとかボス部屋にたどり着きました。勝手知ったるダンジョンボスの、紫のカーバンクルと目で挨拶をかわします。前回のメンバーと違うのを心配したのでしょうか？紫のカーバンクルは、訝しげな顔をしていました。でも私は大丈夫。笑顔で意思表示をして戦闘開始です。自称助っ人の神殿騎士のお二人との共同での討伐。スキルが使えず手間取りましたが、私には殺っておしまい棒が有ります。素早さに気を使えば大丈夫。七匹のカーバンクルを倒すと、七個の小さい宝箱が出現しました。私の手元には二個飛んで来ました。私はその二つをしまい、残りは全て自称神殿騎士のお二人に渡しました。ダンジョンを脱出後、更に御礼を渡し帰ろうとしました。しかしその結果は……。猛反省しております。

気絶したのち目を覚ますと……。全ては私が寝ている間に終了していたのです。しかしビックリ。ルイスは魔力を暴発させて、私の部屋の天井に大穴あけてるし……。私のファーストキスまで、奪っていたとは！しかし気を失い寝ていた私にはなにも言えません。とにかくごめんなさい。反省するしか出来ません。

ただ今目前には、大きな宝箱があります。すっかり忘れていた、完全体のレインボーバンクルとの闘いでゲットした物です。上位版のお宝が凄すぎて、すっかりと忘れていました。お兄ちゃんズにルイスにザック。皆で今から開封予定です。

あの後小さな宝箱の中身を報告すると、やはりお宝は王家への献上となりました。もちろん後から内緒で闘った上位版は、みなで知らんぷりです。

正直に六個出たと伝えた所、三個献上となりました。王様と王太子様、そして第二王子様が身に付けるそうです。カーバンクルは、一つだと申請すればよいと教えてくれました。でも私たちは上位版を貰いましたからね。正直に申請しましたよ。

残りの三個は、後にリーダーと魔法使い。そしてミリィちゃんに渡す事になりました。カーバンクルがね？私が先々に迷惑をかけるであろう人たちリストってのを、お兄ちゃんズに渡していたらしいのよ。その中のリスト順なんですって！

…………

私は迷惑をかける前提なの？あの時はなぜ？ととても不思議でした。しかし今ならわかります。私が近い将来に、お世話になる方々なのです。

第二王子様。大神殿の捕物の際には、大変ご迷惑をおかけしました。帝国でも、本当に助かりました。リーダーと魔法使いのお二人。いつも本当にありがとう。ルイスがいつも暴走してすみません。多分これからも迷惑をかけるのでしょう。そしてザックも……。しかしなんでもかんでもルイスの味方をしないで下さい！ミリィちゃんも、愛ゆえにですー！と微笑み、なぜか助けてくれなくなったのです……。

とりあえずこちらは置いといて、宝箱のお話です。もうすぐ私の誕生日。そして結婚式です。とにかく忙しく、みなの脳裏からスッカリと忘れられていた、大きな大きな宝箱。しかしかなり軽いのです。さあ今からオープンいたします。

「では開けるぞ」

お兄ちゃんズが左右を持ち開きます。当時あたふたしていて大きさを気にしていませんでしたが、今こう目前で見るとデカいですよね。

開いた途端に大きな箱が、バンバンバンっと飛び出してきました。小さい宝箱も幾つか入っています。ルイスが一つ小さい宝箱を開け、中身を確認しています。

…………

なんでしょう？私の方を胡散臭げに見ています。なによ？なんなの？言いたいことがあるならはっきり話して欲しいです。

「アリー……やはりこの宝箱は、使う時期を過ぎてしまっていましたね。カーバンクルもアリーが身につけていないのに気づいたのでしょう。それであのペンダントをくれたのでしょう」

「あのペンダント？」

「大神殿での捕物の際に、色彩を変えるペンダントをつけましたよね？髪の色と瞳の色をかえた魔道具です。あれはアリーが、神殿騎士とボス戦をした時に二つ貰った物です」

確かにそうです。あのときは宝箱二つ貰いました。それぞれに色彩を変えるペンダントと、魔法による状態異常解除の指輪が、セットで二組入っていました。ルイスが鑑定してみなさい！と、私にグリグリと宝箱を押し付けてきます。ルイスは鑑定してないのになぜわかるのでしょう？あぁー！ずるーい！カーバンクルからの取り扱い説明書つきです。あるならそれ見せて下さいー！

「ご自分で調べて反省して下さい」

ふんだ！自分だってこのデカい宝箱のことを忘れていたくせに！うわっ怖い顔をしてます。大人しく鑑定をしてしまいましょう。

「ルイス！大丈夫だ！こちらのメインは間に合う。やはりリスト順に先のを、あの二人に渡しといて正解だったな。リーダーと魔法使いには、結婚式でたっぷり働いて貰おう。カーバンクル様々だ」

はて？意味がまったくわかりません。とにかく鑑定ですね。

では鑑定オン！

【変化のネックレス】
他人に変化する事が出来る。ただし、変化のモデルの了承が必要。見知らぬ他人には変化出来ない。変化は一日に一回のみ。連続使用には、効果が切れてから二十四時間が必要。

【スキル復活の指輪】
使用回数オーバーによる使用不可。状態異常による使用不可。封印なども含む。その際に一度だけ、スキルを復活させることが出来る。使用回数は一日に一回のみ。次回使用には、二十四時間が必要。

…………

どちらも大神殿でのときの為にと、用意していてくれたのでしょう。そういえば紫のカーバンクルは、私を見て奇妙な顔をしていました。てっきり神殿騎士がついているからだとばかり思っていたのです。でもアクセサリーを身に付けていなかったから、きっと心配してくれていたのでしょう。だからあの宝箱をくれたんだね。カーバンクルさんたち、本当にごめんなさい。

「一度上位版をプレゼントすると、それ以上の品は宝箱からだせないそうです。大神殿での捕物でアリーは、これではないカーバンクルからのお宝を、身に付けていました」

確かにそうですね。変装して潜り込んだので、ルイスも使いましたよね？しかも前の大神官に、正妻にしてしてやると言わしめた美人さんです……。

「ですから！身バレしキスを奪われたのです！変化のネックレスを身に付けていれば！あんな不快な目にあわずに済んだのです。スキル復活の指環もです。スキルは魔法ではありません。指輪もこちらを使用していれば、神殿騎士に襲われ、触れられることも……さらには……」

それらって私のせいなの？

「もしものためにとカーバンクルは、類似品を用意してくれた様です。おっちょこちょいのアリーの為に、先のと効果の近い品を選んだ様ですね」

…………

おっちょこちょいですか？

これはさすがに落ち込みます。でも……でも……みんなだって！ルイスだって！今まで忘れていたんじゃないの？大きな宝箱をインベントリから、私がたまたま見付けたのに！だからこれなんだっけ？となったのよ。なのに酷いです。酷すぎます……。

うつむきながら、自分でもプルプルしているのがわかります。悲しいのか、怒っているのか、自分自身でもわかりません。ただ一つ言えることは、ルイスのバカタレ！でしょう。

しかもいつまでもしつこいのです！私はうろ覚えなのです！しかも操られていたんですよ！なのになにかにつけて、フォードとキスをしたと責めるのです。でもね？ルイスもいっぱいしてるんです！女性には興味が無いから、手を出したことはないと、ルイスは私に言ったんです。でも嘘っぱちなんだからね！己のことは棚にあげて！なんなら私も、責め立ててあげましょうか？なんて悔しがっていたら……。

お兄ちゃんズにルイスが、ズルズルと引き摺られてゆきます。ザックは奥でなにかしています。皆さんなにをしているのでしょう？

ルイスを出せ！成敗だ！！

…………って！？

えーー？

私が……。私が！私が二人？

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