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5話:討伐
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「来たよ!」
森の歩き回りメガロウルフを発見した。といっても俺が探知魔法で居場所を探知してそれに向かって歩いただけなんだけどね。
「ニーナとジンは後ろに!私は前に出るわ!」
「わかった!」
「ハイプロテクト!」
第五位階魔法の補助魔法を付与する、怪我防止の為だ。
「一応怪我しないように付与しておくから」
「ありがとう!」
シーラが前に出て戦う。全長五メートル超で大型魔獣の分類では小さい方だ。
「ソイルショット!」
第二位階魔法だ。この世界の人々も二位階までは無詠唱で使えるのが当たり前のラインとなっている。
「はぁぁぁぁ!」
剣を振り注意を引き付ける。
「シーラ!手に魔力を集中して!」
「ええ!」
さっき教えて一度ができたし出来るはずだ。剣の腕の方はそこそこ鍛えていたし、動きの面もそこまで問題はない。
「集中集中……」
攻撃を上手くかわしながらどんどん剣と一体になっているな。見込んだ通りだ。
「はぁ!」
よしこの初期段階は成功だな。ここまではコツさえわかれば普通に使える技だ。魔法を付与するのはまだ少し難しいが、暫くはこれに慣れてもらってすぐに使えるようにしてもらおう。ちなみにこれはそのコツを掴むのが難しいので、第七位階魔法の感覚共鳴を使い、俺が魔法剣を使っている感覚を体にしみこませたのだ。
「いいね~」
これを覚えるだけでも剣士は戦い方がかなり変わる。魔法体にもダメージを与えることが出来るようになるし、何より体に魔力を纏うことで魔法や気配に敏感に感じることができる。
「凄い……これが私?」
「そのまま集中を切らさないように!」
元々運動神経はいいし素材は悪くないからな。ただ技と戦い方を知らなかっただけだ。
「さてミーナ準備をしようか」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「シーラ!そろそろ土魔法で動きを止めにはいって!」
「わかったわ!」
さて念話スタートだな。この子を魔力量はそこそこ高いし、魔法の才能はある子だ。
「(いくよ)」
「はい!」
「(我水を行使するものなり)」
「我水を行使するものなり……」
ミーナは俺に続いて呪文を詠唱する。素直に落ち着て詠唱をするタイプみたいだし発動は成功するだろう。
「(大いなる水の精霊に従い体現せよ、水の山を目の前に具現化する為に我は誓う、水の恵みと繁栄を精霊に願いをこの身に託す)」
「大いなる水の精霊に従い体現せよ、水の山を目の前に具現化する為に我は誓う、水の恵みと繁栄を精霊に願いをこの身に託す……」
最後の一小節は、自分が一番力強い気持ちになれそうなことを言えば何でもいいんだけど、この子の場合はシーラを守るっていうのが第一にありそうだからそれでいくか。
「(友を守る為に眼前の敵を打ち滅ぼさん……スプラッシュマウンテン)」
「友を守る為に眼前の敵を打ち滅ぼさん……スプラッシュマウンテン!」
すると水の山がメガロウルフを囲いそのまま弾ける。その衝撃でメガロウルフを見事倒すことが出来たのだ。
「発動出来た……」
「やっ、やった!」
シーラはこっちに戻りミーナの手を握る。
「やったよミーナ!凄い魔法だったよ!」
「う、うん!」
ミーナは眩暈がしたのかふらつく。
「ミーナ!」
「ハハッ、体がクタクタ……もう暫く魔法は使えないかな」
「それが今のニーナの限界だ。その感覚を覚えておくんだ」
「は、はい……魔力をここまで使ったことはなかったので初めての感覚です……」
下位の魔法じゃいくら使っても一気に減ることなく徐々に減るし、それなりに疲れた段階で魔法を使用するのもやめるだろうから、命を懸けた戦いでもしてない限りは得たことはないだろう。
「さてあいつの素材を回収したら帰ろうか」
「はい!」
「そうね、少し疲れたわ~」
すると何かがこちらに近づいてくる。衝撃に誘われたか知らないけど、折角の感動に水を差されてはたまらんな。
「あっ、もう一体メガロウルフが……」
「ちょっとこれは聞いてないわよ……」
全く余計な事を……こういうお邪魔虫は即刻退場願おうか……
「ゼロディメンスィオ!」
禁断の第九位階魔法だ。任意で決めた範囲の空間にある物を消滅させる魔法で、グロい話になるが頭を残して発動なんかも出来る。
「えっ……」
メガロウルフは頭部と尻尾を残し、それ以外の部分は消滅だ。
「ふぅ~今のは見なかったことにしてね」
もう一体の尻尾を回収する。
「質問です!今のゼロディメンスィオって第何位階の魔法ですか?」
「ノーコメントで~」
ギルドの受付のお姉さんが見せるのと同等の営業スマイルを見せる。第九位階なんて言ったら逆に引かれて怖がられちゃうし流石に言えないな。何でそんなもん使ったかって?使いたかったからですよ~こっち来て弱い勇者に合わせて魔法を使ってましたからね。
「そんな~あっ、私もいつか使えるようになれますか?」
「限りなく無理に近いとだけ言っておきます~」
「そんな凄い魔法なんだ……聞くのが逆に怖いわ……」
超人と呼ばれる域に達すれば使用可能だけどまぁ無理だろうな。この世界だとあれを直撃して生きていられる生物がいるのかも疑問だ。それは当然魔王とて例外ではない。
「それじゃあ戻ろうか~」
◇
ギルドに戻り報酬を受け取る。メガロウルフはランクで言うとCクラスでCクラス以上の大型魔獣は、依頼以外で倒すと追加報酬を貰うことが出来る。魔獣のランクはEからSまでありSクラスの大型魔獣となるとこの世界では天災級だ。報酬は銀貨六枚に加えて追加で銀貨三枚だ。
通貨の価値に関しては銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚、金貨十枚で白金貨一枚だ。白金貨に関しては貴族達の間で取引される一般では出回らない物だ。
「それじゃあ報酬を分けようか」
銀貨三枚ずつ平等に分ける。
「その三枚はあんたが謎の魔法で倒したやつの分でしょ?」
「そうです。私達は受け取れませんよ~」
「何言ってんだ。これは今日三人のパーティで受けた依頼の報酬なんだから山分けが普通だよ。そういうルールでいこう」
するとシーラが呆れたような表情を見せる。
「ジンはお人好しよね~でもそういうことなら仲間って認めてくれたってことで受け取るわ」
「ありがとうございます~これからもよろしくお願いします」
「ああ、俺でよければ頼む。まぁ一度パーティから外された身だ。鬱陶しくなったら言ってくれ」
「いえいえ、むしろ大助かりなんでこれからもよろしくお願いします。というかあんた超強いし魔王討伐しなくていいの?」
「確かに……これからも一緒にパーティ組んでいきたいので、行って欲しくないですけど、勇者の中では断トツなのは間違いなしですしいいんですか?」
まぁこうなるわな。自重してなきゃあいつらから外れてくれなんて絶対言われなかったことだからな。
俺はこの世界に来た使命として、世界を平和にするというのはあるし、それは当然成しえないといけない事だ。だがそれと同時に俺が求めていたものがある。それをあいつらと一緒に掴もうと思い、自重しレベルを合わせていたが結果掴めなかった。別に平和にすることに対して明確な期限はないし魔王を倒すことがイコール平和に結びつくわけではない。何より俺がそれと同時に求めているものを得られなければ何の意味もないのだ。
「質問を質問で返すのはあれだけど、勇者の使命ってなんだと思う?」
「使命ですか?」
「ああ」
「魔王を倒すこと?」
「そうだな。詳しくは話せんが俺は勇者であって勇者じゃないんだ。あいつらの目的は魔王を倒すことだが俺は違うんだ」
この世界を周って知り、世界を平和にするということだ。最初はそれをあいつらと一緒に魔王を倒して成しえようとしたというだけだ。別に二人を俺に付き合わすわけではないが、何も急いでやる必要はないという事だ。
「何か事情があるのね……」
「そそ、目的の一つは色々世界を周って見ることだから、二人と依頼をこなしながら見ていきたいと思ってるけど大丈夫か?」
もし二人がただ生活する為に冒険者をしていて、ここ周辺から動く気がないというなら考えないといけない。
「ええ、私達元々マリエルって街の出身で、冒険者やりながら色々放浪しているの。だから一緒にパーティ組みながら世界を周るってなら歓迎よ!」
「はい!ジンさんの目的にも添えることが出来ますし一緒にパーティ組みたいです!」
「そうか。なら改めてよろしく!」
こうして正式なパーティメンバーに入ったのだ。ミーナがどこか照れくさそうな顔をしていたな。
この子達なら心を託してもいいかもしれない……そう思ったのだ。
森の歩き回りメガロウルフを発見した。といっても俺が探知魔法で居場所を探知してそれに向かって歩いただけなんだけどね。
「ニーナとジンは後ろに!私は前に出るわ!」
「わかった!」
「ハイプロテクト!」
第五位階魔法の補助魔法を付与する、怪我防止の為だ。
「一応怪我しないように付与しておくから」
「ありがとう!」
シーラが前に出て戦う。全長五メートル超で大型魔獣の分類では小さい方だ。
「ソイルショット!」
第二位階魔法だ。この世界の人々も二位階までは無詠唱で使えるのが当たり前のラインとなっている。
「はぁぁぁぁ!」
剣を振り注意を引き付ける。
「シーラ!手に魔力を集中して!」
「ええ!」
さっき教えて一度ができたし出来るはずだ。剣の腕の方はそこそこ鍛えていたし、動きの面もそこまで問題はない。
「集中集中……」
攻撃を上手くかわしながらどんどん剣と一体になっているな。見込んだ通りだ。
「はぁ!」
よしこの初期段階は成功だな。ここまではコツさえわかれば普通に使える技だ。魔法を付与するのはまだ少し難しいが、暫くはこれに慣れてもらってすぐに使えるようにしてもらおう。ちなみにこれはそのコツを掴むのが難しいので、第七位階魔法の感覚共鳴を使い、俺が魔法剣を使っている感覚を体にしみこませたのだ。
「いいね~」
これを覚えるだけでも剣士は戦い方がかなり変わる。魔法体にもダメージを与えることが出来るようになるし、何より体に魔力を纏うことで魔法や気配に敏感に感じることができる。
「凄い……これが私?」
「そのまま集中を切らさないように!」
元々運動神経はいいし素材は悪くないからな。ただ技と戦い方を知らなかっただけだ。
「さてミーナ準備をしようか」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「シーラ!そろそろ土魔法で動きを止めにはいって!」
「わかったわ!」
さて念話スタートだな。この子を魔力量はそこそこ高いし、魔法の才能はある子だ。
「(いくよ)」
「はい!」
「(我水を行使するものなり)」
「我水を行使するものなり……」
ミーナは俺に続いて呪文を詠唱する。素直に落ち着て詠唱をするタイプみたいだし発動は成功するだろう。
「(大いなる水の精霊に従い体現せよ、水の山を目の前に具現化する為に我は誓う、水の恵みと繁栄を精霊に願いをこの身に託す)」
「大いなる水の精霊に従い体現せよ、水の山を目の前に具現化する為に我は誓う、水の恵みと繁栄を精霊に願いをこの身に託す……」
最後の一小節は、自分が一番力強い気持ちになれそうなことを言えば何でもいいんだけど、この子の場合はシーラを守るっていうのが第一にありそうだからそれでいくか。
「(友を守る為に眼前の敵を打ち滅ぼさん……スプラッシュマウンテン)」
「友を守る為に眼前の敵を打ち滅ぼさん……スプラッシュマウンテン!」
すると水の山がメガロウルフを囲いそのまま弾ける。その衝撃でメガロウルフを見事倒すことが出来たのだ。
「発動出来た……」
「やっ、やった!」
シーラはこっちに戻りミーナの手を握る。
「やったよミーナ!凄い魔法だったよ!」
「う、うん!」
ミーナは眩暈がしたのかふらつく。
「ミーナ!」
「ハハッ、体がクタクタ……もう暫く魔法は使えないかな」
「それが今のニーナの限界だ。その感覚を覚えておくんだ」
「は、はい……魔力をここまで使ったことはなかったので初めての感覚です……」
下位の魔法じゃいくら使っても一気に減ることなく徐々に減るし、それなりに疲れた段階で魔法を使用するのもやめるだろうから、命を懸けた戦いでもしてない限りは得たことはないだろう。
「さてあいつの素材を回収したら帰ろうか」
「はい!」
「そうね、少し疲れたわ~」
すると何かがこちらに近づいてくる。衝撃に誘われたか知らないけど、折角の感動に水を差されてはたまらんな。
「あっ、もう一体メガロウルフが……」
「ちょっとこれは聞いてないわよ……」
全く余計な事を……こういうお邪魔虫は即刻退場願おうか……
「ゼロディメンスィオ!」
禁断の第九位階魔法だ。任意で決めた範囲の空間にある物を消滅させる魔法で、グロい話になるが頭を残して発動なんかも出来る。
「えっ……」
メガロウルフは頭部と尻尾を残し、それ以外の部分は消滅だ。
「ふぅ~今のは見なかったことにしてね」
もう一体の尻尾を回収する。
「質問です!今のゼロディメンスィオって第何位階の魔法ですか?」
「ノーコメントで~」
ギルドの受付のお姉さんが見せるのと同等の営業スマイルを見せる。第九位階なんて言ったら逆に引かれて怖がられちゃうし流石に言えないな。何でそんなもん使ったかって?使いたかったからですよ~こっち来て弱い勇者に合わせて魔法を使ってましたからね。
「そんな~あっ、私もいつか使えるようになれますか?」
「限りなく無理に近いとだけ言っておきます~」
「そんな凄い魔法なんだ……聞くのが逆に怖いわ……」
超人と呼ばれる域に達すれば使用可能だけどまぁ無理だろうな。この世界だとあれを直撃して生きていられる生物がいるのかも疑問だ。それは当然魔王とて例外ではない。
「それじゃあ戻ろうか~」
◇
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「それじゃあ報酬を分けようか」
銀貨三枚ずつ平等に分ける。
「その三枚はあんたが謎の魔法で倒したやつの分でしょ?」
「そうです。私達は受け取れませんよ~」
「何言ってんだ。これは今日三人のパーティで受けた依頼の報酬なんだから山分けが普通だよ。そういうルールでいこう」
するとシーラが呆れたような表情を見せる。
「ジンはお人好しよね~でもそういうことなら仲間って認めてくれたってことで受け取るわ」
「ありがとうございます~これからもよろしくお願いします」
「ああ、俺でよければ頼む。まぁ一度パーティから外された身だ。鬱陶しくなったら言ってくれ」
「いえいえ、むしろ大助かりなんでこれからもよろしくお願いします。というかあんた超強いし魔王討伐しなくていいの?」
「確かに……これからも一緒にパーティ組んでいきたいので、行って欲しくないですけど、勇者の中では断トツなのは間違いなしですしいいんですか?」
まぁこうなるわな。自重してなきゃあいつらから外れてくれなんて絶対言われなかったことだからな。
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「質問を質問で返すのはあれだけど、勇者の使命ってなんだと思う?」
「使命ですか?」
「ああ」
「魔王を倒すこと?」
「そうだな。詳しくは話せんが俺は勇者であって勇者じゃないんだ。あいつらの目的は魔王を倒すことだが俺は違うんだ」
この世界を周って知り、世界を平和にするということだ。最初はそれをあいつらと一緒に魔王を倒して成しえようとしたというだけだ。別に二人を俺に付き合わすわけではないが、何も急いでやる必要はないという事だ。
「何か事情があるのね……」
「そそ、目的の一つは色々世界を周って見ることだから、二人と依頼をこなしながら見ていきたいと思ってるけど大丈夫か?」
もし二人がただ生活する為に冒険者をしていて、ここ周辺から動く気がないというなら考えないといけない。
「ええ、私達元々マリエルって街の出身で、冒険者やりながら色々放浪しているの。だから一緒にパーティ組みながら世界を周るってなら歓迎よ!」
「はい!ジンさんの目的にも添えることが出来ますし一緒にパーティ組みたいです!」
「そうか。なら改めてよろしく!」
こうして正式なパーティメンバーに入ったのだ。ミーナがどこか照れくさそうな顔をしていたな。
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といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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