45 / 47
45話:魔物の巣
しおりを挟む
「ここです」
五人は巣に辿り着き、デカい洞穴とその周辺にある少しデカめの足跡を確認した。
「けっこうデカいわね……」
「おっさんそいつの動きは速いのか?」
松野は不安気に聞く。
「いや、スピード自体はそこまでなかったはず……ただ攻防ともに優れた魔物です」
スピードがそこまでなら最悪逃げる事も出来る。それを聞いた松野は少しホッとしたのか安堵の表情を見せる。
「そうか、それで中にいるのか?」
「試してみましょう」
桜が魔法で火球を入口付近に放つが、反応がないのでソーダが足跡に近づく。
「反応がないわね……」
「足跡も比較的新しい……今は巣にいないのでしょう」
「食事にでも行ったか……今がチャンスかもしれませんね」
「そうだね。今のうちに物を取り返せば下手に戦う必要もない」
光彦は戦いを避けたいのだろう。だが正義はそれを聞いて残念そうな表情を見せる。ラシットの街の防衛戦以来強い敵とは戦っていないせいか強敵と戦ってみたいのだろう。
「少し拍子抜けだが早いうちに物を取り返しましょうか」
ソーダと正義と光彦の三人が巣の中に、松野と桜が外で待機という形になった。
「中はそこまで広くないですね」
「ギガント自体元々洞穴を自分で掘って、巣をつくる魔物ではないですからな。これは自然にあった物に住み着いた感じですね」
ソーダは明かりを灯しながら盗られた物を探す。二人も金目の物がないかどうか目を凝らしながら地面を見渡す。
「あれは……」
洞穴の奥まで行くと薄暗い中で光る物が見え、ソーダはすぐさま駆け寄る。
「間違いない……これは私の私物だ……」
二人もそこまで行き、明かりを照らすと剣と袋のような物が置いてあった。剣と小さな袋と大きな袋……ソーダが盗られたのは武器と財布と希少な鉱石と言っていたのでそれに間違いない。
「良かったですね」
「ああ……これがないとヤバかったんだ……」
だがソーダは袋の中を確認すると難色の声を上げる。
「石が少し足りないな……」
「探しましょうか」
「頼む。なかったら諦めだがな……」
「魔物が運んでますし、もしかしたら落としたかもしれませんからね」
三人で手分けして地面を確認していると、光彦が光る石を見つけた。
「これは……」
「どうした光彦?」
「いや何でもないよ。見間違えさ」
光彦はその光る石を見て魔が差したのだろう。自分の懐にコッソリとしまう。
「ソーダさん、その石は価値のある物なんですか?」
「ああ、強力な武器を作るには必要不可欠な物でね……十個塊があったはずが八個しか袋にないんだ」
光彦はそれを聞き、もう一つを捜索に精が出す。一つはお金に一つは武器にしようと考えたからだ。
「あ、これですかね?」
「おおぅ、これだよ。ありがとう」
その直後に正義が石を見つけ、ソーダに手渡す。
「良かったですね」
「ありがとう正義君」
その時光彦は内心惜しい気持ちで一杯になりながらも、正直に渡してしまおうかと心に迷いが生じる。後で正義にバレれば何かしら言われてしまうからだ。
「あと一個ですね」
「うむ、まぁ最悪なくても一個ぐらいならマイナスにはならない。君達にはお礼をしないといけないな~」
ソーダは喜色の表情を見せる。正義はジンへの嫉妬という点を除けばこの四人の中では一番出来上がった人間だ。今となっては正義ありきのパーティであるのは光彦も重々承知の事だ。
「正義君、あと一つだね。ついでに金目の物は折角だし頂戴しないかい?」
飛び上がるほどの財宝がある訳ではないが、ちょこちょこお金が散らばっているの。当然これを持って行かない理由など光彦にはない。
「オーケー、盗るような真似はあまりしたくないけど魔物が盗んだ物だしいいかな」
「ですな。旅の資金にするといい。幸いここにあるのを盗った所で誰も文句はいいませんじ」
ソーダもそれを促すように言った事で正義も心置きなく回収作業に入る。光彦もそれに続き、探すふりをしながら落ちている金を回収する。
「しかしありませんな……」
「ですね……魔物が盗っていった時に落としてしまったというのは十分にありえますからね」
「荷物がほぼ残っていただけでも運がいい方なんじゃないですかね」
「ですな」
光彦は罪悪感を抱きながらも石を返そうとは考えなかった。自分達は勇者として魔王を倒す為の旅をしていて、強化には金が必要だったからだ。探す事十五分……結局石は見つからないまま引き上げる事になった。
「これだけ探してないか……残念ですが諦めですね」
「すみません、力になれず……」
「いえいえ、ありがとう正義君。それに光彦君も」
「い……いえ、当然の事をしたまでですよ」
内心心苦しい光彦だった。だが協力した時点で報酬として貰ってもバチは当たらないだろうなんて自分を正当化していた。
「それじゃあ戻ろうか」
「そうだね、魔物が戻ってきたら面倒だからね」
◇
洞穴を出ると松野と桜が退屈そうに待っていた。魔物が戻ってくる前に回収できた事に三人は改めてホッとする。
「お疲れ~」
「どうだった?」
「ソーダさんの荷物もほぼ回収出来た。こっちも財宝とまではいかないけどちょいちょい落ちてたお金を拾えたよ」
「そこそこの額になったし期待通りかな」
しめて金貨六十枚分ぐらいを回収。それを見せると二人も喜色の表情を見せる。
「いいね~」
「二人ともナイス!こっちも二人で見張ってたけど魔物は戻ってこなかったわ」
「それは良かった。それじゃあ早いとこ離れようか」
「ですな。いつ戻って来るかもわかりません」
ソーダがそれを言った瞬間だった。
「何だ?」
うめき声と足音が聞こえたのだ。
「まさか……」
足音がだんだん早くなる。五人の姿を視認したのだろう。全身が岩のような殻で覆われたその魔物は巣へと帰還したのだ。
「こいつがギガント……」
「間近で見るとデカい……」
魔物の目は血走っていた。恐らく五人が巣に侵入したのを察したのだろう。当然自分が集めていた物を盗られたと思い、怒りに燃えていた。
「あの前足の攻撃に注意してください」
ソーダが指を指す。前足は円柱状になっておりその先端から伸びる三本の爪が鋭く光る。
「あれに捕まると危ないです……スピードがそこまでありませんが、力は凄くあります」
「戦うの?逃げた方が……」
光彦は少し弱気な事を言うが、正義がそれを一蹴する。
「逃げたらしつこく追って来るのは目に見えている。ここは倒してなんぼさ」
「遭遇した以上はしょうがないか……おっさん戦えるか?」
「ええ、借りはかえさないとですからね」
ソーダも剣を構える。魔王を倒すならこの程度の敵で逃げていては話にならない。正義はそんな想いを胸に剣を構えて前に出る。
「俺達なら倒せるさ。桜と光彦は後ろで松野は前に。ソーダさんは真ん中に」
ギガントは四人に襲い掛かった。
五人は巣に辿り着き、デカい洞穴とその周辺にある少しデカめの足跡を確認した。
「けっこうデカいわね……」
「おっさんそいつの動きは速いのか?」
松野は不安気に聞く。
「いや、スピード自体はそこまでなかったはず……ただ攻防ともに優れた魔物です」
スピードがそこまでなら最悪逃げる事も出来る。それを聞いた松野は少しホッとしたのか安堵の表情を見せる。
「そうか、それで中にいるのか?」
「試してみましょう」
桜が魔法で火球を入口付近に放つが、反応がないのでソーダが足跡に近づく。
「反応がないわね……」
「足跡も比較的新しい……今は巣にいないのでしょう」
「食事にでも行ったか……今がチャンスかもしれませんね」
「そうだね。今のうちに物を取り返せば下手に戦う必要もない」
光彦は戦いを避けたいのだろう。だが正義はそれを聞いて残念そうな表情を見せる。ラシットの街の防衛戦以来強い敵とは戦っていないせいか強敵と戦ってみたいのだろう。
「少し拍子抜けだが早いうちに物を取り返しましょうか」
ソーダと正義と光彦の三人が巣の中に、松野と桜が外で待機という形になった。
「中はそこまで広くないですね」
「ギガント自体元々洞穴を自分で掘って、巣をつくる魔物ではないですからな。これは自然にあった物に住み着いた感じですね」
ソーダは明かりを灯しながら盗られた物を探す。二人も金目の物がないかどうか目を凝らしながら地面を見渡す。
「あれは……」
洞穴の奥まで行くと薄暗い中で光る物が見え、ソーダはすぐさま駆け寄る。
「間違いない……これは私の私物だ……」
二人もそこまで行き、明かりを照らすと剣と袋のような物が置いてあった。剣と小さな袋と大きな袋……ソーダが盗られたのは武器と財布と希少な鉱石と言っていたのでそれに間違いない。
「良かったですね」
「ああ……これがないとヤバかったんだ……」
だがソーダは袋の中を確認すると難色の声を上げる。
「石が少し足りないな……」
「探しましょうか」
「頼む。なかったら諦めだがな……」
「魔物が運んでますし、もしかしたら落としたかもしれませんからね」
三人で手分けして地面を確認していると、光彦が光る石を見つけた。
「これは……」
「どうした光彦?」
「いや何でもないよ。見間違えさ」
光彦はその光る石を見て魔が差したのだろう。自分の懐にコッソリとしまう。
「ソーダさん、その石は価値のある物なんですか?」
「ああ、強力な武器を作るには必要不可欠な物でね……十個塊があったはずが八個しか袋にないんだ」
光彦はそれを聞き、もう一つを捜索に精が出す。一つはお金に一つは武器にしようと考えたからだ。
「あ、これですかね?」
「おおぅ、これだよ。ありがとう」
その直後に正義が石を見つけ、ソーダに手渡す。
「良かったですね」
「ありがとう正義君」
その時光彦は内心惜しい気持ちで一杯になりながらも、正直に渡してしまおうかと心に迷いが生じる。後で正義にバレれば何かしら言われてしまうからだ。
「あと一個ですね」
「うむ、まぁ最悪なくても一個ぐらいならマイナスにはならない。君達にはお礼をしないといけないな~」
ソーダは喜色の表情を見せる。正義はジンへの嫉妬という点を除けばこの四人の中では一番出来上がった人間だ。今となっては正義ありきのパーティであるのは光彦も重々承知の事だ。
「正義君、あと一つだね。ついでに金目の物は折角だし頂戴しないかい?」
飛び上がるほどの財宝がある訳ではないが、ちょこちょこお金が散らばっているの。当然これを持って行かない理由など光彦にはない。
「オーケー、盗るような真似はあまりしたくないけど魔物が盗んだ物だしいいかな」
「ですな。旅の資金にするといい。幸いここにあるのを盗った所で誰も文句はいいませんじ」
ソーダもそれを促すように言った事で正義も心置きなく回収作業に入る。光彦もそれに続き、探すふりをしながら落ちている金を回収する。
「しかしありませんな……」
「ですね……魔物が盗っていった時に落としてしまったというのは十分にありえますからね」
「荷物がほぼ残っていただけでも運がいい方なんじゃないですかね」
「ですな」
光彦は罪悪感を抱きながらも石を返そうとは考えなかった。自分達は勇者として魔王を倒す為の旅をしていて、強化には金が必要だったからだ。探す事十五分……結局石は見つからないまま引き上げる事になった。
「これだけ探してないか……残念ですが諦めですね」
「すみません、力になれず……」
「いえいえ、ありがとう正義君。それに光彦君も」
「い……いえ、当然の事をしたまでですよ」
内心心苦しい光彦だった。だが協力した時点で報酬として貰ってもバチは当たらないだろうなんて自分を正当化していた。
「それじゃあ戻ろうか」
「そうだね、魔物が戻ってきたら面倒だからね」
◇
洞穴を出ると松野と桜が退屈そうに待っていた。魔物が戻ってくる前に回収できた事に三人は改めてホッとする。
「お疲れ~」
「どうだった?」
「ソーダさんの荷物もほぼ回収出来た。こっちも財宝とまではいかないけどちょいちょい落ちてたお金を拾えたよ」
「そこそこの額になったし期待通りかな」
しめて金貨六十枚分ぐらいを回収。それを見せると二人も喜色の表情を見せる。
「いいね~」
「二人ともナイス!こっちも二人で見張ってたけど魔物は戻ってこなかったわ」
「それは良かった。それじゃあ早いとこ離れようか」
「ですな。いつ戻って来るかもわかりません」
ソーダがそれを言った瞬間だった。
「何だ?」
うめき声と足音が聞こえたのだ。
「まさか……」
足音がだんだん早くなる。五人の姿を視認したのだろう。全身が岩のような殻で覆われたその魔物は巣へと帰還したのだ。
「こいつがギガント……」
「間近で見るとデカい……」
魔物の目は血走っていた。恐らく五人が巣に侵入したのを察したのだろう。当然自分が集めていた物を盗られたと思い、怒りに燃えていた。
「あの前足の攻撃に注意してください」
ソーダが指を指す。前足は円柱状になっておりその先端から伸びる三本の爪が鋭く光る。
「あれに捕まると危ないです……スピードがそこまでありませんが、力は凄くあります」
「戦うの?逃げた方が……」
光彦は少し弱気な事を言うが、正義がそれを一蹴する。
「逃げたらしつこく追って来るのは目に見えている。ここは倒してなんぼさ」
「遭遇した以上はしょうがないか……おっさん戦えるか?」
「ええ、借りはかえさないとですからね」
ソーダも剣を構える。魔王を倒すならこの程度の敵で逃げていては話にならない。正義はそんな想いを胸に剣を構えて前に出る。
「俺達なら倒せるさ。桜と光彦は後ろで松野は前に。ソーダさんは真ん中に」
ギガントは四人に襲い掛かった。
10
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる