元勇者で神に近い存在になった男、勇者パーティに混じって魔王討伐参加してたら追い出されました。

明石 清志郎

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46話:討伐

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 「ぐっ……」

 正義はギガントの攻撃をガードするが、その重い攻撃に体が悲鳴を上げる。

 「大丈夫か?」
 「ああ……あいつ動きは早くないけどまともに喰らうとかなりヤバイ。松野も気を付けて」
 「わかった」

 四人はそれぞれの属性で攻撃したがどの属性も手ごたえを感じられなかった。なので桜と光彦は魔法を頭部に攻撃し、正義と松野は殻の隙間部分に攻撃を当てて応戦していた。

 「ソーダさん何か有効な手はないのでしょうか?」
 「うむ……あの殻さえ何とかできれば……」

 岩の殻のような物に覆われたギガントの体の防御力に四人は苦戦していた。

 「くそっ……」
 「ソイルショット!」

 光彦のソイルショットはギガントの目にあたり一瞬動きが止まる。その直後に正義が風属性の魔法を攻撃を加える。

 「エアロキャノン!」

 風属性の第四位階魔法でギガントの頭部を狙うが、ギガントは咄嗟に体を縮こませて頭部への被弾を避ける。

 「ちっ……」

 結局背中の殻に被弾しダメージはほとんど通らなかった。だが攻撃が当たった部分の殻が少し傷ついたことに気付く。

 「うん?」
 
 正義はここで一つの可能性を考えた。あの殻の部分をずっと攻撃し続けて殻を壊せばダメージが通るのではと。

 「松野、しばらくあいつを引き付けてくれないか?」
 「それはいいけど何か手があるのか?」
 「効果があるかわからないけど試したい事があるんだ」
 「わかった、頼んだぜ」

 正義は松野に正面を任せ横側に行き殻を狙う事にした。そしてここで密かにジンに劣等感を抱く。もし彼ならもう対策に気付き自分達に指示をしていると考えたからだ。今までジンと行動して苦戦はあったもののピンチになった事はない。そしてそれにはいつもジンの指示があったからだ。

 「エアのキャノン!」

 殻が攻撃される事に対してあまり警戒心を見せないギガントだけに攻撃はすんなり当たる。勿論さっき当たったのと同じ場所だ。

 「うわっ……」

 だが一人前で攻撃を受ける松野がギガントの猛追によってバランスを崩す。

 「ちっ……」
 「松野!」 

 ギガントが隙を見せた松野に猛追を加えようとするがそこでソーダが前にでてガードをする。

 「ぐっ……」
 「おっさん!」
 「大丈夫……正義君は何か作戦があるようだし二人で攻撃を引き付けよう」
 「すまねぇ……」
 
 桜と光彦が頭部に魔法で攻撃し、二人をギガントから逃がす。

 「二人とも一度下がって!」
 「すまない」
 「正義、前は俺とおっさんで持ち堪える。お前早く活路を見出してくれ」
 「すまない」

 正義は四人に任せ率先して殻の同じ場所に攻撃を与える。

 「よし、殻の一部分がはがれてきているな……」

 ここで活路を見いだせなければジンに負けた事になる。そんなプライドと願いが通じたのかここで活路を見出した。

 「おい、あいつがよろけたぞ!」
 
 殻の一部が剥がれ落ちそこにエアロキャノンが直撃したのだ。

 「成功だ!こいつの殻の一部分を破壊した。そこが弱点だ」
 「ナイスです!」
 「正義、俺達がこのまま引き付けるからお前は引き続きそこに攻撃を頼む」
 「ああ、任せろ!」

 正義が活路見出したのかみんなが安堵の表情を見せる。そしてそれを見た正義は自分の能力に自信をつける。自分だってジンに負けていない……俺がリーダーで皆を引っ張るんだ。そんな想いを力に変える。

 「おらぁ!」

 雄たけびを上げた正義は破壊しむき出しになった部分に向かって飛び上がり剣を突き刺す。

 「これでどうだ!」

 柔らかい肉質の部分に剣が貫通した事でギガントが悲鳴を上げ暴れる。

 「終わりだ、エアロバースト!」

 むき出しになったその部分に放つのは正義が使える中では最高威力の魔法。第五位階魔法のエアロバーストだ。

 「グゴゴゴッ……」
 「いけぇぇぇぇ!」

 ゼロ距離での攻撃だったので正義自身にもダメージが被弾するが正義はそんな事よりも目の前の敵を倒しきる事に集中していた。自身の能力を証明する事……なによりそれが第一だったのだ。

 「うっ……」

 正義はゼロ距離攻撃の衝撃で吹き飛ばされる。

 「正義君!」
 「だ、大丈夫だ。それよりもあいつを!」

 ゼロ距離でエアロバーストの攻撃を受けたもののまだ立っていた。だが先ほどまでのような動きをするどころかよれよれだ。

 「うおぉぉぉ!」

 松野が横に迂回し飛び上がり殻の剥がれた部分に剣を突き刺す。するとギガントはそのままそこで倒れたのだ。

 「よ、よっしゃ!」
 
 松野が雄たけびを上げるとソーダと光彦が松野の元に行き歓喜の声を上げる。

 「ふぅ……」

 正義はホッと息を吐くと桜が向かい手を差し伸べる。

 「ナイス!」
 「ありがとう桜」
 「止めは持ってかれたけど正義のお陰で勝てたわ」
 「そう言ってくれれば十分さ」

 桜に引っ張られ起き上がると喜んでいる三人の元に向かう。

 「いいとこ持ってかれちゃったな~」
 「いやいや、君が一番活躍したのは言うまでもない。ありがとう正義君」
 「そうそう、松野君は美味しいとこ持ってただけだから。ねっ?」
 「わ、悪かったよ。でもほら正義が動けなさそうだったしさ」

 光彦はニヤニヤしながら松野を見ると、松野は光彦の頭をくしゃくしゃしながら言う。

 「ハハッ、ナイスナイス。みんなでつかみ取った勝利だ。それだけ頭に入れておけばいいよ」

 久しぶりに手ごたえのある敵との遭遇。だが正義はそこで機転を利かせて勝利に導いたことの達成感。この勝利は今後戦う上では価値ある戦いではあった事は間違いない。


 ◇


「ありがとうございました」
「いえいえ」
 「このぐらい屁でもないぜ~」

 丁寧に返す正義と裏腹に偉そうな態度を見せる松野に桜は頭を叩く。

 「いってぇ」
 「あんたは止めをさしただけでしょうが!」
 「ハハッ、お気になさらず」
 「それでソーダさんはこの後は」
 「おっさん馬車ないんだし次の街まで乗ってくだろ?」
 「いいのですか?」
 「当然!俺達前で戦いあった仲だからな~」

 調子のいい松野だがギガントの攻撃から庇ってもらった事に恩を感じたのだろう。

 「ありがとうございました。次のプリンまでいけば同業者は取引先がいますので」
 「なら決まりですね。早速行きましょう」
 「ですな。あのギガントの素材もそれなりに高く売れる事でしょう」

 ギガントの死体からはみんなで素材を剥ぎ取った。ソーダの仲介で高く売ってくれると聞いた四人は大喜びで解体した。ギガント自体山にいる魔物だけにけっこうレアで素材の価値も高めだからだ。

 「それじゃあレッゴーだな」
 「う、うん」
 「どうしたの光彦?顔色が優れないけど」

 桜が光彦の顔を見て心配する。

 「あ、ああ少し疲れただけさ」

 光彦はまだ持ったままソーダの石を気にしていた。だが言い出せずそれを懐から出すことはない。

 「まぁ強敵だったしな。俺も疲れたわ~」
 「ハハッ、今日はのんびりいこう」

 もしここで勇者達がソーダを助けなかったら次のプリンの街に着いた時に破滅の運命をたどったがそれを避けた。だが勇者達の試練はまだまだこの先も続くのだった。
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