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3章

77話:実の本気

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 肩を貫かれ大地に叩きつかれた時昔の記憶が脳裏に浮かんだ。俺が召喚された当時ファーガス王国は魔大陸遠征をして、領土を獲得しようというまさに帝国主義ともいえるような風潮があった。近隣諸国を狙う考えもあったが、反発の少ない土地への侵攻の方がいいと考えたのだ。俺達はそんな中召喚され、戦い続けてきたがそのうち疑問を持ち王国に背くようになった。だがそんな俺を野放しにするはずはなく、一人の時ダーレー教団側の戦姫の一人が俺の命を狙った。俺は九死に一生を得る形となったが、そのおかげで俺はこの力を意識して使いこなせるようになった。これはあの時の戦姫を、そして王国を倒す為の力だ。

 「皇家の光」

 実を光が包む。

 「これはヒムヤーの独房で見せた……でもあの時よりも光輝いて……」
 「あれを発動すると実のステータスは大きく上昇するんだ」

 上昇した実のステータスを確認する。

 天竜院実
レベル:333
種族:人間
職業:剣士(マスター級)
攻撃:222222
防御:199998
魔法攻撃:222222
魔法防御:199998
素早さ:222222
魔力:210000
固有スキル:皇家の光
コントラクトスキル:和国の歴史
ギフト:身体強化、成長速度UP、剣士適性
異能:剣歯虎の牙(AA)
称号:居合マスター、王国の英雄、神速の空間斬り

 久しぶりに見たが人類最強のステータスだな。これを超えるステータスは戦姫や偽神に二十柱ぐらいだろう。

 「いくぞ!」

 実は虎徹零式とは別の鞘をだす。

 「叢雲の鞘」

 鞘から刀を具現化する。

 「光鳴剣!」

 光の斬撃が人造人間の片腕を切断する。

 「決めるぞ、倭健命ヤマトタケル!」

 実が皇家の光を使うとコントラクトスキルもパワーアップする。光り輝く屈強な男が具現化され、人造人間に襲いかかる。

 「ウオォォォォ!」

 実も共に剣をふるい人造人間の片方は消失した。

 「あと数分か…九十九ちゃんそっちは?」
 「こっちはもう少しかかりそうです」
 「援護するよ」

 実はもう片方と対峙し居合の構えをとる。

 「九十九ちゃん二分押さえつけといて」
 「任せて!」

 実君のあれが久しぶりに見れる……戦姫にも匹敵するあの大技……

 「みんな二分持ちこたえて……」

 九十九は近接戦闘へと切り替える。

 「動きが鈍くなってきてますね……もう終わりですね」

 九十九はかつて三百層を攻略した時と今を照らし合わせているのだろう。。人の身であっても九百層までは突破できると今ここで証明しているのだ。

 「封魔の陣!」

 人造人間の動きを止める。

 「実君!」
 「ああ、準備はできているさ」

 実は刀を抜いた。ただ空間をきるのではない、それは空間を切り裂き破壊する必殺の斬撃。

 「神滅閃!」

 実から放たれた斬撃は人造人間を二つに分断しただけでなく、切った場所が爆発し大きな歪みを発生、その歪みは人造人間を巻き込みその場で消滅させた。

 「俺達の勝ちだな……」

 実はその場で崩れ落ち九十九がそれを支える。不完全なのでこの状態を長時間維持できないのだ。その鞘に収まっていたはずの刀……それを見つけるのが実の使命なのだ。

 「お疲れ様、また無理をして……」
 「あいつに勝つにはあれださんと無理だったからね」

 ヘトヘトながらも実は笑顔を見せ、大きな音ともに下の層への道が開かれた。

 「やった~」

 ザルカヴァは歓喜の声をあげ二人のもとに駆け寄る。

 「みのるん凄いよ!何あれ?それとステータス」

 ザルカヴァはテンションをあげあげのようだ。

 「ははっ、まったくザルの奴大はしゃぎだね~」
 「まぁそれは俺達もでしょ九兵衛さん、実の腕が落ちてないのも見れた」
 「そうだね~本当は刀の本体があればあの状態の維持も可能なんだろうけどね」

 叢雲の本体を実は持っていない。この世界に飛ばされる前何者かがそれを持ち去った為だ。こっちが片付いたら刀も探してやらんとな。

 「ザルははしゃぎすぎだよ、それにあれは不完全だから」
 「あれで不完全なんてヤバすぎだよ~」
 「フフッ、実君素敵でしたよ」
 「九十九ちゃんまで」

 実は顔を赤くし、いつも以上ににやけている。

 「ここからは俺達の番だな立花」
 「フフッ、そうね」
 「後ろの守りと彼らの護衛は引き受けるよ~」

 この先は俺達二十柱の領域だ。この二人でも荷が重いだろう。

 ◇


 九〇一層以降は俺と立花を前衛に、三人を後ろに下げた陣形で進んだ。

 「ヴァイスシュヴァルツ!」
 「グランドクロス!」

 九〇一層より下の魔物は集団ででてくるソウルハウンドですら平均三万で中には十万ぐらいの敵もうようよでる無法地帯だ。

 「さすがにこのレベルの敵とこのペースでやるのはきついね九十九ちゃん」
 「そうね、ここはまさに神の領域……」
 「ここより先は二十柱の領域だ、ザルは極力俺の傍に」
 「はい」

 ザルは九兵衛さんにくっつく。ザルカヴァの実力では雑魚も勝てないぐらいだからな。拾い損ねた素材だけ回収してくれれば問題ない。

 「立花、どう進む?」
 「後ろは気にしなくてもう大丈夫そうだし武器を手に向かってくる敵を薙ぎ払いましょう」
 「了解」 
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