好きになって貰う努力、やめました。

たなか

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初めてした約束

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「落ち着いたか?」
「………はい。」


落ち着くと恥ずかしくなってきた。
冷静になって自分の痴態を思い返してみると、走って人前で大声で泣くなんて。
淑女にあるまじき痴態だわ。

恥ずかしい恥ずかしい。

しかも初対面だと言うのに。

あああああああああああああああああああああ

恥ずかし過ぎる!!!!
消えてしまいたい!!!!!!


「あ、あの、本当にご迷惑をおかけしました。ありがとうございました。」
「…。」
「?」

何?何か黙って私の顔を見てくる。

やることが無いから私も観察してみる。
やっぱり見たことが無い顔だなー。
髪の色は漆黒。瞳の色は光り輝く金色。
金色の眼って珍しいイメージ。

そういえば前読んだ小説にこんな感じの話あったな。
あの話は確か…森で迷った主人公が男の人に会って男の人に向かって綺麗って言っちゃうんだよね。それで男の人が主人公に興味を持って色々あって、婚約破棄された主人公が仕返しして男の人と結婚するって話だった気がする。

 はあ、何で小説みたいにいかないのかな。
何で主人公ちゃんは綺麗なんて言えたんだろう。私には助けてくれた人の顔さえちゃんと見ることが出来なかったよ。余裕なんてなかったよ。

そういえば、最近読んだ小説は主人公ちゃんが自分を捨てた婚約者にざまぁ?する話だったな。
何でそんなに直ぐに婚約者を切り捨てられるのかな。
私には無理だったよ。だって好きだったんだよ。婚約者だったから、情が湧いちゃったんだよ。そういうものじゃないの?婚約って。

こんな私は重いのかな。

「おい。」
「はい?」
「何かあったのか?話してみると楽になるかもしれない。話してみろ。」
「は、はあ。」

高圧的だな。王族みたい。
「残念ながら、さして面白い話ではありませんが。」
「良い。話してみせよ。」

「………………………はあ。よく有る話ですよ。可愛げの無い女が婚約者に浮気されて捨てられるだけです。」
「大分省略したな。」
「本当につまらない話なんですって。」
「まあ、良い。」

なんか自分勝手で気分屋な人だな。

「それより、帰るか?」
「ああ、はい。」
「そうか。ドアはあっちだ。送ろう。」
「ありがとうございます。」

改めて見ると、壮大な部屋だな。
大きなシャンデリアに大きな扉。
無駄に大きい………。

「何から何までありがとうございます。本当にお世話になりました。」
「…。おい。」
「?はい。何でしょうか?」
「また来い。」
「はい?」
「また1人になりたくなったら来い。慰めてやろう。」
「あ、ああ。有難い申し出でございますが、ここへの来方が分かりかねます。」
「そうだったな。我の名を呼べ。我の名はヴァンピィア。」
「ヴァンピィア様ですか。私はシュリエル・ミルネシアルです。」
「エル。」

いきなりあだ名か。馴れ馴れしいな。

「またな。」
「また来ることなんて無いといいのですが。お世話になりました。失礼致します。」

淑女の礼をとって帰路に着く。



帰り道で考える。

そういえば、私、約束なんて初めてしたな。

というか、あんな場面見ておいて婚約者様方の顔が見れるかしら。
それに噂になっているかもしれない。






…………明日は休もう。



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