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DAY3 生きる選択
1、出陣
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夜明け前の基地は、息を潜めていた。
空はまだ深い藍色で、東の端だけが、かすかに白み始めている。
格納庫のシャッターが静かに開き、装甲車の輪郭が闇の中に浮かび上がった。
薄暗い格納庫。
赤い非常灯が灯り、金属が軋む音が響く。
整列するレジスタンス部隊。
武器、装甲、通信端末の起動音。
弾倉の重量。
通信端末の接続。
注射キットの安全ロック。
和真は、慣れない戦闘服の留め具を絞めている。
指先が少し震える。
無言でスギヤマは、和真に近づき、その背後に立つ。
何も言わず、留め具を一つ、確実に絞め直す。
「……姿勢」
和真は、条件反射で背筋を伸ばす。
スギヤマは皮肉な笑みを浮かべた。
「最後まで、教える立場らしいな」
「……卒業、できそうですか」
と冗談を口にする。
スギヤマが、少しだけ笑う。
和真は、胸元のホルスターに手を当てた。
そこにある感触が、やけに現実的だった。
カズマ「……これが、最後の確認だ」
低い声が、静寂を切る。
「博士は地下施設に拘束されている。
エデンの中枢からは、半分切り離された場所だ」
スギヤマ「だが、警備は厚い」
スギヤマが割って入ると、淡々と続ける。
「正面突破は五分も持たん。
俺が前に出る」
和真「……オレは?」
カズマは、和真を見る。
その視線は、指導者というより、対等な戦友のものだった。
「お前は、選択を間違えるな」
「……?」
「引き金も、注射もだ」
和真は、短く頷いた。
そこへ、足音が近づく。
澪だった。
戦闘服ではない。
救護班用の軽装の上に、防刃ベストを着けている。
「……準備、できてます」
声は震えていなかった。
それが、逆に胸に刺さる。
「澪……」
澪は、和真を見て、少しだけ微笑んだ。
「行ってきて、じゃない。
……一緒に、帰ろう」
その言葉に、和真の喉が詰まる。
スギヤマが、軽く咳払いをした。
「感傷は車内でやれ」
だが、その声は、どこか優しかった。
装甲車の後部ハッチが開く。
金属の匂いと、微かに残る油の臭い。
一人ずつ、乗り込んでいく。
カズマが先頭。
次にスギヤマ。
和真が続き、最後に澪が乗り込んだ。
ハッチが閉まる。
外の音が遮断され、エンジンの低音だけが響く。
和真は、シートに身を沈めながら、小さく息を吐いた。
これから向かう先は、取り戻すための場所だ。
博士を。
選択する権利を。
そして――自分自身を。
装甲車が動き出す。
揺れる車内。
誰も話さない。
銃を手に、和真は葛藤していた。
(もし、澪を守らなくてはならない時、オレは人を殺せるのか?)
(できれば、人は殺したくない)
周囲の沈黙を、澪が遮る。
「……次元越境、私も行けるんですよね?」
「越境点まではな」
スギヤマは言葉を続ける。
「そこから先は……待機だ」
澪は静かに頷いて、和真を見る。
「……絶対戻ってきて」
「戻るよ、絶対に」
和真は確固たる思いを胸に即答する。
越境地点接近。
管制官(無線)「越境座標まで、残り3分」
カズマは、ミラー越しに二人を見て一瞬、目を伏せる。
夜明け前の闇を切り裂きながら、四人は、もう戻れない地点へと向かっていった。
【クロスポータル装置・前広場】
装甲車は、夜明けの街を抜けていった。
瓦礫の残る通り。
封鎖された交差点。
無人の高層ビル群の向こうに、開けた広場が見えてくる。
装甲車は瓦礫の広場に止まる。
その中心にそびえていたのが、次元越境装置だった。
円形のフレームが幾重にも重なり、内部には不安定な光が脈動している。
スギヤマ「……ここが中継点だ」
装甲車が停止する。
澪は、装甲車内に残る。
ハッチが開き、冷たい外気が流れ込む。
澪は、小さく口にする。
「……ここで、待つんですね」
「澪……」
澪は、和真を見て、小さく首を振る。
「大丈夫。
ちゃんと、戻ってくるって信じてる」
言葉は強がりだったが、その瞳は、揺れていなかった。
カズマが、周囲を警戒しながら言う。
「装置は自動防衛モードに入ってる。
ここにいれば、即応部隊が来ることはない」
「……はい」
スギヤマも、短く頷いた。
「合流は、三十分後だ。
それ以上なら――」
言葉を切る。
澪は、分かっている、というように頷いた。
「……帰ってこなかったら、無理しないで、先に戻ります」
和真の胸が、軋んだ。
「……必ず、戻る」
その約束を、和真自身が、一番信じたかった。
重い音がして、扉が閉まる。
和真とスギヤマ、カズマが歩き出す。
装甲車の中で、澪は拳を握りしめている。
空はまだ深い藍色で、東の端だけが、かすかに白み始めている。
格納庫のシャッターが静かに開き、装甲車の輪郭が闇の中に浮かび上がった。
薄暗い格納庫。
赤い非常灯が灯り、金属が軋む音が響く。
整列するレジスタンス部隊。
武器、装甲、通信端末の起動音。
弾倉の重量。
通信端末の接続。
注射キットの安全ロック。
和真は、慣れない戦闘服の留め具を絞めている。
指先が少し震える。
無言でスギヤマは、和真に近づき、その背後に立つ。
何も言わず、留め具を一つ、確実に絞め直す。
「……姿勢」
和真は、条件反射で背筋を伸ばす。
スギヤマは皮肉な笑みを浮かべた。
「最後まで、教える立場らしいな」
「……卒業、できそうですか」
と冗談を口にする。
スギヤマが、少しだけ笑う。
和真は、胸元のホルスターに手を当てた。
そこにある感触が、やけに現実的だった。
カズマ「……これが、最後の確認だ」
低い声が、静寂を切る。
「博士は地下施設に拘束されている。
エデンの中枢からは、半分切り離された場所だ」
スギヤマ「だが、警備は厚い」
スギヤマが割って入ると、淡々と続ける。
「正面突破は五分も持たん。
俺が前に出る」
和真「……オレは?」
カズマは、和真を見る。
その視線は、指導者というより、対等な戦友のものだった。
「お前は、選択を間違えるな」
「……?」
「引き金も、注射もだ」
和真は、短く頷いた。
そこへ、足音が近づく。
澪だった。
戦闘服ではない。
救護班用の軽装の上に、防刃ベストを着けている。
「……準備、できてます」
声は震えていなかった。
それが、逆に胸に刺さる。
「澪……」
澪は、和真を見て、少しだけ微笑んだ。
「行ってきて、じゃない。
……一緒に、帰ろう」
その言葉に、和真の喉が詰まる。
スギヤマが、軽く咳払いをした。
「感傷は車内でやれ」
だが、その声は、どこか優しかった。
装甲車の後部ハッチが開く。
金属の匂いと、微かに残る油の臭い。
一人ずつ、乗り込んでいく。
カズマが先頭。
次にスギヤマ。
和真が続き、最後に澪が乗り込んだ。
ハッチが閉まる。
外の音が遮断され、エンジンの低音だけが響く。
和真は、シートに身を沈めながら、小さく息を吐いた。
これから向かう先は、取り戻すための場所だ。
博士を。
選択する権利を。
そして――自分自身を。
装甲車が動き出す。
揺れる車内。
誰も話さない。
銃を手に、和真は葛藤していた。
(もし、澪を守らなくてはならない時、オレは人を殺せるのか?)
(できれば、人は殺したくない)
周囲の沈黙を、澪が遮る。
「……次元越境、私も行けるんですよね?」
「越境点まではな」
スギヤマは言葉を続ける。
「そこから先は……待機だ」
澪は静かに頷いて、和真を見る。
「……絶対戻ってきて」
「戻るよ、絶対に」
和真は確固たる思いを胸に即答する。
越境地点接近。
管制官(無線)「越境座標まで、残り3分」
カズマは、ミラー越しに二人を見て一瞬、目を伏せる。
夜明け前の闇を切り裂きながら、四人は、もう戻れない地点へと向かっていった。
【クロスポータル装置・前広場】
装甲車は、夜明けの街を抜けていった。
瓦礫の残る通り。
封鎖された交差点。
無人の高層ビル群の向こうに、開けた広場が見えてくる。
装甲車は瓦礫の広場に止まる。
その中心にそびえていたのが、次元越境装置だった。
円形のフレームが幾重にも重なり、内部には不安定な光が脈動している。
スギヤマ「……ここが中継点だ」
装甲車が停止する。
澪は、装甲車内に残る。
ハッチが開き、冷たい外気が流れ込む。
澪は、小さく口にする。
「……ここで、待つんですね」
「澪……」
澪は、和真を見て、小さく首を振る。
「大丈夫。
ちゃんと、戻ってくるって信じてる」
言葉は強がりだったが、その瞳は、揺れていなかった。
カズマが、周囲を警戒しながら言う。
「装置は自動防衛モードに入ってる。
ここにいれば、即応部隊が来ることはない」
「……はい」
スギヤマも、短く頷いた。
「合流は、三十分後だ。
それ以上なら――」
言葉を切る。
澪は、分かっている、というように頷いた。
「……帰ってこなかったら、無理しないで、先に戻ります」
和真の胸が、軋んだ。
「……必ず、戻る」
その約束を、和真自身が、一番信じたかった。
重い音がして、扉が閉まる。
和真とスギヤマ、カズマが歩き出す。
装甲車の中で、澪は拳を握りしめている。
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