巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

文字の大きさ
224 / 557
第8章 新たなる冒険?の始まりかもしれない。

8-36 今回の目的の物を確保でホクホク?

しおりを挟む



 この時点でユウマは、大量のネギタマを新鮮な状態で確保していったのであった。



 大量のオニオンロックを一掃して、もうすでに地下にある数十箇所の部屋の中は空っぽに状態になり、大量のネギタマの回収作業と、いつもどうり大量の魔石の回収がすべて終わった頃、まだ地上では幻影に惑わされているグレンが、肩で息をしながら何か変な事を喋り出した。
「なっ、なんなんだきさまは、何故ここまで切り付けても倒れん、しかもどうなっている?何故ここまで完膚なきまで切り付けているのに、何事もなくそのような笑みを漏らしている」
 グレルはその場でユウマの姿が映っている氷の塊に向かって叫んでいる。いつの間にかグレル以外の者達には幻覚が解けてその光景はグレルが氷の塊に向かって必死に何かを喋ってる様にしかみえなかった。

 それを見て、この場に残っていた娘達は半分以上呆れていた。
『ねえ、あいつ・・・今のうちやっつけたら倒せるんじゃない?』
『うん、私もそう思うよ?あいつ、まだ気が付いて無いよ。馬鹿だねきっと』
「あいつにさ、今から私の究極魔法を、喰らわしてやっていいかしら。なんかさっき必死になってたのがアホらしくなってきたわ」
「お姉ちゃん駄目だよ。さっきのこと忘れたの、あの時ユウマさんが現れなかったら、死ぬ気だったでしょう。私達を守るために、また同じ事する気なの」
 ヨーコが怒るのも当たり前である。
 あの時確かにフィリアは死を覚悟して命を燃やして対処しようとしていた。それなのに、何故かユウマが現れた途端に燃やしつくした筈の、命の炎はもちろん魔力までもが回復していたのだ。

 まあ、そうとは知らないヨーコは凄い剣幕でフィリアに注意してきた。
「だっ、大丈夫よ。今はもう回復してるから」
「それでも駄目。お姉ちゃんすぐに無理するから」
「ふふふ、御2人ともホントに仲がよろしいですね。フィリア様、ヨーコ様」
「ホントだね。でも、そろそろあいつも気が付くんじゃ無いかな?いくらなんでも・・・」
 メグミがそう声をみんなにかけた頃、流石にグレルも異変に気が付き出したが、それでもその氷の塊をユウマだと思いながら攻撃を加え続け声をあげた。
「ぐあああ、きさまぁぁぁ、いい加減に反撃してみたらどうなんだぁぁぁ、何故何も言わぬ。そして何故これだけ傷つけて平気なんだぁぁぁぁ。きさまは危険だ。危険すぎる」

 そんな事を口にしているグレルをよそに、半壊した領主の館の地下からホクホクの笑顔で戻って来たユウマであった。
『主様。物凄く機嫌がいいよね。どうして?』
「そりゃ、当たり前じゃんか。今回の目的の物が大量に手に入ったんだぞ。これで殆どの材料が揃ったからな。これさえあれば色々な物が作れるし、今回の目的のカレーが作れる」
 そうこれさえそろえれば、ユアの食べたがっていたカレーを作る事が出来る。それに他の娘達も結構楽しみにしているからである。

『ああ、あれですか?そのかれぇでしたか。主様達はそれを作るための材料探しをしてたんでしたね』
「そうそう、そのためネギタマは必需品だったんだよ。それにさっき切り刻んでみたら、なかなか品質で味も最高だったからな。色々な物も作れる」
『ふーん、そうなんだ?ねえ、それって月達も食べれるのかな?』
『ええ、お姉様。おそらく大丈夫だと思われますよ。ファルお姉様も食事は普通に出来ると仰っていましたから』
『そうなんだ♪ならなら、主様!月達の分もお願い』
 その様な話を3人でしながら、肩で息をして氷の塊に必死に喋りかけているグレルの横を通りすぎてみんなの前まで歩いていった。

「そういえば、まだあいつ幻術が解けずに戦ってんだな。アホなのか?」
 横を通り過ぎそう声を漏らしながらみんなの元に向かった。

 そのユウマを見て、みんな不思議に思い声をかけた。
「ユウマ様どうしたんですか、突然どこかに行ってしまわれて」
「ユウマ、あんたねぇ、なんであいつをほったらかしにして、どこに行ってたのよ」
 シルフィーとフィリアに質問されたので、とりあえず答える事にした。

「ん?ああ、ちょっと今回の目的の品物を持ってる奴があの奥てっいうか地下にいっぱい居たんで狩ってきた。それはもう大量にもうホクホクのルンルン気分ですよ」
 ニコニコして2人の質問に答えていると、メグミとヨーコはその様子を見て呆れていた。

 まあ実際今回の一件をみんな知っているので、その事に関してはさほど驚く事は無いのだけど、今現在半分以上むきになり、ユウマがかけた幻影で氷の塊をいまだ攻撃している魔人族をどうするのだろうと思っていた。

 しかし、何故かみんなこのときまで魔人族の攻撃している氷の塊が、普通の氷の塊ならとっくに砕け散っている筈なのに、いまだ砕けてない氷の塊については誰も突っ込む者がいないでいた。
 何せ聞いたらまたとんでも無い事を言い出しそうなので、怖くて聞けなかったのが本音である。

 そうこのとき相手の前に出していた氷の塊は、ただの氷でなく魔力を極限まで圧縮した氷であって、硬度も並大抵の剣や魔法では砕けない、もはやこれは氷というより鉱石、最上級のクリスタル鉱石に近い代物となっていたのであった。

 今だネギタマの事を話しているユウマに対してフィリアが声をかけてきた。
「ユウマ、それはもういいから、そろそろあいつをどうにかしなさいよ。もう、うっとおしいたらありゃしないから」
「あっ、そうだった。いや、そんなに効くはず無いんですけどね。俺の幻術、それに解けたら解けたで、俺が戻ってくるまでカチンコチンに固まるはずだったんですけどね」
「はぁ?それ、どういうことよ」
「えっ、今奴が攻撃している氷の塊が砕けたら奴に纏わり付くようにしてるんですよ。ほら、少し削れた氷が付着して動きが鈍くなってるでしょ」
 フィリアがユウマに言われて魔人族の男グレルを見てみると、確かに奴の鎧が凍って動きが鈍くなっていた。

 しかしフィリアはこの時点で、おそらくユウマはこれだけでなくまだ何かをしかけていた筈だと考えていた。

 まあ確かにユウマはもしものときのために、フィリア達6人を強制的にアイスヘンジに転移できるようにしていたのだが、それを使う心配も無かった様である。
 ついでに言うと先程言ったようにユウマの作った氷の塊、これを砕ける者はおそらくこの世に数人いるかいないかであったが、このときそんな事を知る者は誰もいなかったのである。

「で、どうするのよ。あのアホな魔人族は、もう止めを刺してやったら」
「あっ、忘れてた。あいつをボコボコにしてやるつもりだった事を、でもどうでも良くなってきたけど、今からさっさとやっちゃいますね」



 そう言葉のかけ、今だ氷の塊相手に粋がっている魔人族、グレルのそばに向かい指を弾いた。
《パチン・・・》


しおりを挟む
感想 798

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

姉妹差別の末路

京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します! 妹嫌悪。ゆるゆる設定 ※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

処理中です...