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第10章 女神の修行・・・。
10-29 神の事情とユウマの帰還?
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しかもその相手は人族であるのに、水晶がその光を放つこと事態が、既にありえない状態であったのである。
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その事に関しては、どうやら創造神の爺様はある程度解っていたようだが、それでも少し意外だったようで俺に視線を向けて、呆れ気味で声を掛けてきた。
「しかし、ユウマよ、お主はいつもながら規格外じゃな。神核も封印をしているのにのお・・・それ程の事をやらかすからのう。よし、ユウマよ!お主はもう帰って良いぞ、余りここにおると皆が混乱するでの。それと後、お主の神核に溜まった力は、すべてこちらで使わしてもらうのでな。・・・しかし、どうなっとるんじゃお主の神核は、前回殆どの力を使った筈なのじゃがな。もう既に半分以上回復するとはな・・・」
・・・普通ありえないんじゃがのう、こんな短期間にここまで回復させる事などは、しかもかなり純粋な力を溜めとるのう?
どうやらこの場に、俺がいたら余計な混乱が起きるようなので、創造神様から帰るように言われたのである。
それで俺は創造神の爺様に、もう帰ってもいいと言われたが・・・どうやって帰ればいいんだ?来た時はこの創造神の爺様に強引に召喚され連れて来られたけど・・・あっ、そうだ!思い出した以前も、戻って言いといわれてほったらかしにされたよな。・・・まさか、今回も!
以前の事を思い出し、創造神に前回の事を含めて文句を言うのと、この場から戻る(帰る)方法を聞こうとしたら、ちょうどこの部屋の入口らしい場所の扉を《コンコン》と叩く音が聞えてきた。
その音を聞き、この部屋に張り巡らされていた真実の破滅陣の魔法を解き、創造神が扉の向こうにいるであろう神に声を掛けた。
「うむ、会議はほぼ終ったでな。入って来てもよいぞ!」
するとこの部屋に見知った人物?・・・いや、神様が入ってきた。
てっ、フィーナ様のお母様?・・・確か癒しの女神フェイト様だったっけか?
そのフェイト様が部屋の中に入ってきて、一礼して語りかけてきた。
「失礼します創造神様。そろそろだと思い、ユウマさんを迎えに来ましたよ。どうせ前回みたいに戻す事を忘れてるんでしょう」
その言葉を聞き、創造神の爺様は俺の顔を見て、何故か表情を曇らせ『あっ!』と言った後に、視線を泳がせた言葉を発した。
「えっ、いっ、いや、フェルトよ。ワッ、ワシは別に・・・」 ・・・やばい、完全に忘れとったぁぁぁ。それで前回ひどい目にあったんじゃったわ・・・。
この爺様、完全に俺を帰す事を忘れてやがるな!
それでその空気を読めない、フィーナ様の父親で武神ヘルロイ様が、自分の奥さんであるフェルトに声を掛けていた。
「おおっ、フェルちゃ・・いやいや、フェ、フェルトよ!ひっ、久しいな。今宵時間があれば、その・・・ちょっといいかなって、この間に事もあやま・・・」
この親父もまた・・・空気読めよ。ここでそんなこと言ったら断られるのが必須だろうに・・・。ホントに脳筋?
案の定フェルト様は、その言葉を聞いた途端・・・ヘルロイ様に殺気の篭ったキツイ視線を向け、一瞬で黙らせた。
「うっ・・・あっ、あのう・・ごめん、なさい・・・」シュン・・・。
武神であるヘルロイ様は、先程まで大きな存在だった身体が、何故か小さく見えるほどフェルト様の殺気で縮こまらせられてしまっている。
こうなってはもうどうにもならないと俺は思う。それで周囲を見てみると・・・なぜ、創造神の爺様も顔色が悪い・・・って、周囲にいる残っていた神様達も縮こまった状態になっる?・・・あれ、そう言えばさっきまでざわついていた神獣達も、端で大人しくなってビクビクしながら座ってる。
事実フェルト様は、最初はヘルロイ様にだけ殺気を向け放っていたのだが、この部屋の惨状と残留思念を読み取ったのか、その殺気自体をこの場にいる者へと切り替えていたのであった。これに関してはユウマも冷や汗を流していたが、これくらいの殺気は、俺が不祥事を起こした時に、リンカ達から殺気に似たようなモノを向けられた事が幾度と無く経験済みなので、下手に抗うと逆にキツイので受け流す技術をいつの間にか身につけていた。
なので冷や汗を流すぐらいで済んでいたのであった。
・・・これって、一番敵に回したらいけないのは、フィーナ様のお母様なのでは・・・。ッて言うより、俺の知り合いの女性陣は、はっきり言って強すぎなんだけど・・・。
そんな事を考えながら、殺気を放ち続けているフェイト様の元に近付いた。
「わざわざ、すいません。ここでの話も終ったようなので、どうやって戻っていいのかが、解らなかったんで助かります。フェイト様」
俺がそう言葉を掛けながら近付くと、フェイト様も驚いていたのだが、周りにいる神様達も創造神の爺様と武神ヘルロイ様も、青ざめた表情のまま、驚いていたのである。
へっ、どったのですか?皆様方・・・???
余りにも不思議だったので、周囲を見つつ逆に驚いていると、フェルト様が声を掛けてきた。
「えっと、ユウマさん。ホントにあなたはすごいわね。これだけ私が殺意を込めた覇気を全開で放ってるのに、動けるなんて・・・さすがはフィーナの選んだ人ね」
殺気を込めた覇気を放ちながら笑顔で、ウインクしてくるフェルト様は、流石にフィーナ様に似てるけど・・・こちらは、やはり大人の女性って感じの魅力だよな。まあ、どちらも美人だがフィーナ様はどことなく幼い感じが残っていてどちらかと言うと美少女の魅力って感じだけどな。
って言うより、まだ、この凄まじい覇気を抑えないなんて、どんだけの事をしたんだヘルロイ様は?
その様に考えてヘルロイ様に視線を向けていると、そろそろヘルロイ様も限界のようで、白目をむきそうな感じになっているし、何故か泣きそうな感じも漂っていたし、他の神様達も限界に見えたので覇気を抑えて貰える様にお願いした。
「えっと、そろそろ、その覇気を抑えてもらったらありがたいんですけど、既に耐性が無い方が泡を吹いてますし、ヘルロイ様もなんだか・・・可哀想なんですが?」
俺がフェルト様にそう言葉を掛けると、創造神様も顔色を悪くしたまま語り掛けた。
「そう言う事じゃ、フェルトよ。流石にワシも辛いんじゃが、それに前回と今回の件は、ちゃんとユウマに謝罪するでのう。いい加減この覇気を解いてくれ。ワシもユウマほどではないが、ある程度耐性を持ってしてもこれはキツイし、周りの者は下手すると後遺症が残るでな。そろそろ解いて欲しいのじゃが・・・」
すでの数柱の神様で耐性の弱い方が泡を吹き倒れているし、ヘルロイ様もうわ言の様に『ごめんなさい。ごめんなさい、ワシが悪かった。まさか・・・』等と半なき状態で頭を下げずっとこんな感じであり、段々声が小さくなっていき、意識があるのかどうか解らない状態に近かったのであった。
それでこの場をどうするのかと思ったのだが、フェルト様は悪びれる事無く、一言残して俺を連れてこの場を後にしたのであった。
「それじゃ、ユウマさんを送り届けてくるから、ちゃんと後片付けをする様に、後、あなた!今夜、ちゃんと私のところに来るように、来たらちゃんと言い分は聞いてあげるから・・・それとお義父様!毎回同じ様な事をしないようにお願いしますね。それじゃ!さっ、ユウマさん行きましょう・・・」
そう言葉を残し俺を扉の外へと連れ出し、その後にフェルト様がついて来て、もう1度部屋の中を覗き込み扉を音を出さないように閉めたのであった。
ちなみに移動している時に、なんでそこまで怒っていたのかを尋ねたら、全て俺に関する事だったので少し驚いた。
どうやら今回の会議もこんなまどろっこしい事をせずとも、すぐに終わらす事が出来たのだが周りを納得させるのと、俺の存在を見せ付けたかったそうである。
それでわざわざこの場所に、呼ぶ必要も無い俺を呼び出したとか、それとヘルロイ様に関しては最初はやはり俺とフィーナ様の事で反対していたそうで、それで夫婦喧嘩をしたとかだった。結果的に反対だったヘルロイ様は、家を追い出され職場というか、あの真ベルステリア神聖星の城に引篭もっていたらしいのであった。
まあ、たまたま色々あったので問題なかった様だが、それでもちょっとなさけないような・・・いや、俺も余り変わらないか・・・。
そして、最終的にフェルト様に、アーストリアの神界にあるのと同じ様な転移魔法陣のある部屋に、俺は連れて来られた。
「あれ、フェルト様?俺、少し思ったんですけど、転移の魔法でも帰れるんでしょうが、以前確か精神体の時は転移魔法で帰還できたような気がしたんですけど?」
実際にこの部屋を見た時に、俺は自身の持つ転移魔法の1つ【起点転移】を思い出し確認してみたのである。
「もう、ユウマさん。フェルト様じゃなくて、お義母様でもいいのよ。もうフィーナの旦那なんだからね♪」
「・・・いやいや、ヘルロイ様にも同じ様な事を言われましたけど、まだ、心の準備が・・・てっ、それよりも、さっきの質問なんですけど・・・」
「もう、恥かしがりやがりやさんなんだから♪ でも、あの人より最初に呼んでよね。お義母様って・・・それでさっきの質問だけど、えーと、簡単に言えばそれは無理よ。以前は精神体で肉体がないからたまたま出来た事なのだけどで、はっきり言えばあの時も奇跡に近かったのよ・・・」
フェルト様の話によると、あのとき実を言うとホントに危険な状態だったらしい。もしそのままであったら精神だけがどこかで消滅していたかも知れないそうだった。ただ、あの時創造神様が俺の事を実際ホントに戻すのをド忘れしていたみたいで、その事を自身の部屋で思い出したそうだ。
その時一応フェルト様も一緒にいたそうだ。なので事情も知っていたそうである。
それで俺のいた例の白い空間の部屋に慌てて戻ってきたそうなのだが、どうやらその時既に遅く部屋の中で膨大な魔力が練られていて、創造神様が扉を開けたその直後に、俺の精神体が転移を開始した後だったようだ。
それで実際は創造神様のいるこの世界は、外側に強力な結界が張っているそうで、それにもし俺の精神体が触れると消滅する可能性もあったらしい。だが、そこはすぐに創造神様が俺の体へと逆召喚を行ないそこまでの道を作り、俺を元の身体に戻したらしいのであった。
・・・てことは、あの時は俺だけの力じゃなかったのか・・・?おいそれと転移魔法を使うのはやめた方がいいな。なんか危なそうだ・・・。
「・・・ホントに大変だったみたいよ。それで本来はこの転移魔法陣を使わないと、この神の世界からは実際出られないのよ。しかも、色々な場所に転移なんてのも出来ないのよ。ただ例外はあるのよ、一定の上位神だけは自由に使えるけどその他は許可をもらわないと使えないのよ。召喚の方は関係ないけど、別の場所からこちらに来る場合も同じなのよ。しかも、実際この場所にこれるのは神に連なる者だけなんだけどね」
どうやらこの世界に来れるのは、神に関係ある者でないと来れないみたいだし、この部屋にある転移魔法陣も創造神の許可と上位神の力がないと使えないらしいのであった。
それで今回は、事前にフェルト様が前回と同じ事にならない様に手をうっていて、ある程度会議での話が終ったのを見越してあの場に来てくれたみたいだった。
「ホントにあのお義父様は、すぐに自分のしでかした不利な事はすぐ忘れるんだから、それに今回もどうせ忘れるじゃ無いかと思ったら案の定だったの。じゃあ、ユウマさん。そろそろ、その魔法陣の真ん中に立ってね」
フェルト様の愚痴を聞きつつ、言われたとおり魔法陣の中心へと返事をして歩き出した。
「あっ、はい・・・はい、準備できました」
フェルト様に言われた事を素直に従い、魔法陣の中心部分に立ってフェルト様の方を見るとこちらを見た。
「はい、それじゃ、またね。それとフィーナも、もちろんだけどあの娘達フェリエとフィリエの事も、一時の間よろしくね。それじゃあねユウマさん・・・・・」
フェルト様はその言葉を俺に掛け、呪文を唱え始めた。
「解りました。それじゃ、また、お義母様!」
するとフェルト様は、いったん驚いた表情をしたが、すぐに今迄に見た事無いような優しい笑顔をこちらに向けてくれ、手を振って送り出してくれたのであった。
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それでユウマは、アーストリアの神界にある転移魔法陣の部屋に戻って来たのである。
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しかもその相手は人族であるのに、水晶がその光を放つこと事態が、既にありえない状態であったのである。
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その事に関しては、どうやら創造神の爺様はある程度解っていたようだが、それでも少し意外だったようで俺に視線を向けて、呆れ気味で声を掛けてきた。
「しかし、ユウマよ、お主はいつもながら規格外じゃな。神核も封印をしているのにのお・・・それ程の事をやらかすからのう。よし、ユウマよ!お主はもう帰って良いぞ、余りここにおると皆が混乱するでの。それと後、お主の神核に溜まった力は、すべてこちらで使わしてもらうのでな。・・・しかし、どうなっとるんじゃお主の神核は、前回殆どの力を使った筈なのじゃがな。もう既に半分以上回復するとはな・・・」
・・・普通ありえないんじゃがのう、こんな短期間にここまで回復させる事などは、しかもかなり純粋な力を溜めとるのう?
どうやらこの場に、俺がいたら余計な混乱が起きるようなので、創造神様から帰るように言われたのである。
それで俺は創造神の爺様に、もう帰ってもいいと言われたが・・・どうやって帰ればいいんだ?来た時はこの創造神の爺様に強引に召喚され連れて来られたけど・・・あっ、そうだ!思い出した以前も、戻って言いといわれてほったらかしにされたよな。・・・まさか、今回も!
以前の事を思い出し、創造神に前回の事を含めて文句を言うのと、この場から戻る(帰る)方法を聞こうとしたら、ちょうどこの部屋の入口らしい場所の扉を《コンコン》と叩く音が聞えてきた。
その音を聞き、この部屋に張り巡らされていた真実の破滅陣の魔法を解き、創造神が扉の向こうにいるであろう神に声を掛けた。
「うむ、会議はほぼ終ったでな。入って来てもよいぞ!」
するとこの部屋に見知った人物?・・・いや、神様が入ってきた。
てっ、フィーナ様のお母様?・・・確か癒しの女神フェイト様だったっけか?
そのフェイト様が部屋の中に入ってきて、一礼して語りかけてきた。
「失礼します創造神様。そろそろだと思い、ユウマさんを迎えに来ましたよ。どうせ前回みたいに戻す事を忘れてるんでしょう」
その言葉を聞き、創造神の爺様は俺の顔を見て、何故か表情を曇らせ『あっ!』と言った後に、視線を泳がせた言葉を発した。
「えっ、いっ、いや、フェルトよ。ワッ、ワシは別に・・・」 ・・・やばい、完全に忘れとったぁぁぁ。それで前回ひどい目にあったんじゃったわ・・・。
この爺様、完全に俺を帰す事を忘れてやがるな!
それでその空気を読めない、フィーナ様の父親で武神ヘルロイ様が、自分の奥さんであるフェルトに声を掛けていた。
「おおっ、フェルちゃ・・いやいや、フェ、フェルトよ!ひっ、久しいな。今宵時間があれば、その・・・ちょっといいかなって、この間に事もあやま・・・」
この親父もまた・・・空気読めよ。ここでそんなこと言ったら断られるのが必須だろうに・・・。ホントに脳筋?
案の定フェルト様は、その言葉を聞いた途端・・・ヘルロイ様に殺気の篭ったキツイ視線を向け、一瞬で黙らせた。
「うっ・・・あっ、あのう・・ごめん、なさい・・・」シュン・・・。
武神であるヘルロイ様は、先程まで大きな存在だった身体が、何故か小さく見えるほどフェルト様の殺気で縮こまらせられてしまっている。
こうなってはもうどうにもならないと俺は思う。それで周囲を見てみると・・・なぜ、創造神の爺様も顔色が悪い・・・って、周囲にいる残っていた神様達も縮こまった状態になっる?・・・あれ、そう言えばさっきまでざわついていた神獣達も、端で大人しくなってビクビクしながら座ってる。
事実フェルト様は、最初はヘルロイ様にだけ殺気を向け放っていたのだが、この部屋の惨状と残留思念を読み取ったのか、その殺気自体をこの場にいる者へと切り替えていたのであった。これに関してはユウマも冷や汗を流していたが、これくらいの殺気は、俺が不祥事を起こした時に、リンカ達から殺気に似たようなモノを向けられた事が幾度と無く経験済みなので、下手に抗うと逆にキツイので受け流す技術をいつの間にか身につけていた。
なので冷や汗を流すぐらいで済んでいたのであった。
・・・これって、一番敵に回したらいけないのは、フィーナ様のお母様なのでは・・・。ッて言うより、俺の知り合いの女性陣は、はっきり言って強すぎなんだけど・・・。
そんな事を考えながら、殺気を放ち続けているフェイト様の元に近付いた。
「わざわざ、すいません。ここでの話も終ったようなので、どうやって戻っていいのかが、解らなかったんで助かります。フェイト様」
俺がそう言葉を掛けながら近付くと、フェイト様も驚いていたのだが、周りにいる神様達も創造神の爺様と武神ヘルロイ様も、青ざめた表情のまま、驚いていたのである。
へっ、どったのですか?皆様方・・・???
余りにも不思議だったので、周囲を見つつ逆に驚いていると、フェルト様が声を掛けてきた。
「えっと、ユウマさん。ホントにあなたはすごいわね。これだけ私が殺意を込めた覇気を全開で放ってるのに、動けるなんて・・・さすがはフィーナの選んだ人ね」
殺気を込めた覇気を放ちながら笑顔で、ウインクしてくるフェルト様は、流石にフィーナ様に似てるけど・・・こちらは、やはり大人の女性って感じの魅力だよな。まあ、どちらも美人だがフィーナ様はどことなく幼い感じが残っていてどちらかと言うと美少女の魅力って感じだけどな。
って言うより、まだ、この凄まじい覇気を抑えないなんて、どんだけの事をしたんだヘルロイ様は?
その様に考えてヘルロイ様に視線を向けていると、そろそろヘルロイ様も限界のようで、白目をむきそうな感じになっているし、何故か泣きそうな感じも漂っていたし、他の神様達も限界に見えたので覇気を抑えて貰える様にお願いした。
「えっと、そろそろ、その覇気を抑えてもらったらありがたいんですけど、既に耐性が無い方が泡を吹いてますし、ヘルロイ様もなんだか・・・可哀想なんですが?」
俺がフェルト様にそう言葉を掛けると、創造神様も顔色を悪くしたまま語り掛けた。
「そう言う事じゃ、フェルトよ。流石にワシも辛いんじゃが、それに前回と今回の件は、ちゃんとユウマに謝罪するでのう。いい加減この覇気を解いてくれ。ワシもユウマほどではないが、ある程度耐性を持ってしてもこれはキツイし、周りの者は下手すると後遺症が残るでな。そろそろ解いて欲しいのじゃが・・・」
すでの数柱の神様で耐性の弱い方が泡を吹き倒れているし、ヘルロイ様もうわ言の様に『ごめんなさい。ごめんなさい、ワシが悪かった。まさか・・・』等と半なき状態で頭を下げずっとこんな感じであり、段々声が小さくなっていき、意識があるのかどうか解らない状態に近かったのであった。
それでこの場をどうするのかと思ったのだが、フェルト様は悪びれる事無く、一言残して俺を連れてこの場を後にしたのであった。
「それじゃ、ユウマさんを送り届けてくるから、ちゃんと後片付けをする様に、後、あなた!今夜、ちゃんと私のところに来るように、来たらちゃんと言い分は聞いてあげるから・・・それとお義父様!毎回同じ様な事をしないようにお願いしますね。それじゃ!さっ、ユウマさん行きましょう・・・」
そう言葉を残し俺を扉の外へと連れ出し、その後にフェルト様がついて来て、もう1度部屋の中を覗き込み扉を音を出さないように閉めたのであった。
ちなみに移動している時に、なんでそこまで怒っていたのかを尋ねたら、全て俺に関する事だったので少し驚いた。
どうやら今回の会議もこんなまどろっこしい事をせずとも、すぐに終わらす事が出来たのだが周りを納得させるのと、俺の存在を見せ付けたかったそうである。
それでわざわざこの場所に、呼ぶ必要も無い俺を呼び出したとか、それとヘルロイ様に関しては最初はやはり俺とフィーナ様の事で反対していたそうで、それで夫婦喧嘩をしたとかだった。結果的に反対だったヘルロイ様は、家を追い出され職場というか、あの真ベルステリア神聖星の城に引篭もっていたらしいのであった。
まあ、たまたま色々あったので問題なかった様だが、それでもちょっとなさけないような・・・いや、俺も余り変わらないか・・・。
そして、最終的にフェルト様に、アーストリアの神界にあるのと同じ様な転移魔法陣のある部屋に、俺は連れて来られた。
「あれ、フェルト様?俺、少し思ったんですけど、転移の魔法でも帰れるんでしょうが、以前確か精神体の時は転移魔法で帰還できたような気がしたんですけど?」
実際にこの部屋を見た時に、俺は自身の持つ転移魔法の1つ【起点転移】を思い出し確認してみたのである。
「もう、ユウマさん。フェルト様じゃなくて、お義母様でもいいのよ。もうフィーナの旦那なんだからね♪」
「・・・いやいや、ヘルロイ様にも同じ様な事を言われましたけど、まだ、心の準備が・・・てっ、それよりも、さっきの質問なんですけど・・・」
「もう、恥かしがりやがりやさんなんだから♪ でも、あの人より最初に呼んでよね。お義母様って・・・それでさっきの質問だけど、えーと、簡単に言えばそれは無理よ。以前は精神体で肉体がないからたまたま出来た事なのだけどで、はっきり言えばあの時も奇跡に近かったのよ・・・」
フェルト様の話によると、あのとき実を言うとホントに危険な状態だったらしい。もしそのままであったら精神だけがどこかで消滅していたかも知れないそうだった。ただ、あの時創造神様が俺の事を実際ホントに戻すのをド忘れしていたみたいで、その事を自身の部屋で思い出したそうだ。
その時一応フェルト様も一緒にいたそうだ。なので事情も知っていたそうである。
それで俺のいた例の白い空間の部屋に慌てて戻ってきたそうなのだが、どうやらその時既に遅く部屋の中で膨大な魔力が練られていて、創造神様が扉を開けたその直後に、俺の精神体が転移を開始した後だったようだ。
それで実際は創造神様のいるこの世界は、外側に強力な結界が張っているそうで、それにもし俺の精神体が触れると消滅する可能性もあったらしい。だが、そこはすぐに創造神様が俺の体へと逆召喚を行ないそこまでの道を作り、俺を元の身体に戻したらしいのであった。
・・・てことは、あの時は俺だけの力じゃなかったのか・・・?おいそれと転移魔法を使うのはやめた方がいいな。なんか危なそうだ・・・。
「・・・ホントに大変だったみたいよ。それで本来はこの転移魔法陣を使わないと、この神の世界からは実際出られないのよ。しかも、色々な場所に転移なんてのも出来ないのよ。ただ例外はあるのよ、一定の上位神だけは自由に使えるけどその他は許可をもらわないと使えないのよ。召喚の方は関係ないけど、別の場所からこちらに来る場合も同じなのよ。しかも、実際この場所にこれるのは神に連なる者だけなんだけどね」
どうやらこの世界に来れるのは、神に関係ある者でないと来れないみたいだし、この部屋にある転移魔法陣も創造神の許可と上位神の力がないと使えないらしいのであった。
それで今回は、事前にフェルト様が前回と同じ事にならない様に手をうっていて、ある程度会議での話が終ったのを見越してあの場に来てくれたみたいだった。
「ホントにあのお義父様は、すぐに自分のしでかした不利な事はすぐ忘れるんだから、それに今回もどうせ忘れるじゃ無いかと思ったら案の定だったの。じゃあ、ユウマさん。そろそろ、その魔法陣の真ん中に立ってね」
フェルト様の愚痴を聞きつつ、言われたとおり魔法陣の中心へと返事をして歩き出した。
「あっ、はい・・・はい、準備できました」
フェルト様に言われた事を素直に従い、魔法陣の中心部分に立ってフェルト様の方を見るとこちらを見た。
「はい、それじゃ、またね。それとフィーナも、もちろんだけどあの娘達フェリエとフィリエの事も、一時の間よろしくね。それじゃあねユウマさん・・・・・」
フェルト様はその言葉を俺に掛け、呪文を唱え始めた。
「解りました。それじゃ、また、お義母様!」
するとフェルト様は、いったん驚いた表情をしたが、すぐに今迄に見た事無いような優しい笑顔をこちらに向けてくれ、手を振って送り出してくれたのであった。
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