巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

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第11章 開拓と聖霊の森創り?

11-11 こちらを目指す部隊?

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 ただしそれは、一旦俺達の拠点にしている中心部の簡易ログハウスに戻り、出来る事ならシルク様も含めて話をする事にした。



 それでその事を説明して、俺達の拠点へと連れて行く事を決め、相談する事のした。
「えっと、とりあえずは、ここで詳しい話を聞くのもあれなんで、一旦は俺達が拠点にしている中心部の方に向かいますね!よろしいですか?」

「はい、問題ありませんが・・・」
 シャナ姫は何か心配があるのか周囲を警戒するように見渡した後に、大怪我を負っていた男性鬼人ガイとゴウの2人に心配そうに視線を向けた。今のところ確かに2人は大怪我をしているが、ミナの初級回復魔法と低級魔法薬を使用して止血や簡単な治療で行い、先程より何ぼか具合は良くなって顔色も良くなっている。

 最初にあった時は、全員、満身創痍で疲れきった状態だった。特に鬼人のガイとゴウは普通なら倒れていてもおかしくない様な傷を負っているのに気丈に振舞っていたのだ。

 実はユウマとミナはこの場にいる7人全員の怪我を簡単に治せ、そのうえ鬼人のゴウのなくなった腕を元の状態に戻し治す事が出来るし、ついでにガイの骨折もすぐ治せる。だが、いきなりそれら全てを回復させる行為は行なってない。
 何せこちらの素性を全てあかす訳には行か無いのである。まあシャナ姫達全員を信用して無い訳では無い、恐らく力を使っても問題は無いのだが・・・それはシルク様に確認してから行なう事にしている。

 しかし、ミナとユアは既にシャナ姫とエリーゼ姫の2人には心を許して、既に仲良くなっている。他の5人も既にミナ達には心を許してるっぽいのだ。
 まあ、俺もここにいる7人は信用しても問題ないと思うし、今負っている傷もすぐに治したいのだが、それはちょっと後回しにしたいとも思っているのだ。

 それで先程の話に戻るが、何故か周囲を異常に気にしてるシャナ姫とエリーゼ姫が気になり声を掛ける事のした。
「どうかしましたシャナ姫!エリーゼ姫!・・・何か気になる事でも?」
「はい、少し気になる事がありまして・・・」
「ええ、森の木々と風が・・・」
 先程から鬼人の姫であるシャナとエルフの姫であるエリーゼが、やたら怪我人だけで無く、周囲、特に丘の下に広がる森と、その上空を警戒している事が解った。

 俺自身もその2人の行動を見て、森の方に意識を向けた。すると、いつの間にかではあるが先程までクルクルと森の中で迷っていた2つの部隊が・・・何故か部隊の移動する方向と位置を修正して、あきらかにこちらに向って動きをし出したのである。

 流石にその先程まで迷走していた部隊の、突然の異常な動きにミナとユア気付いたみたいだ。
「ユウ兄!さっきまで迷ってた人達がこっちに向けて動き出したよ!」
「でも、おかしいよね!さっきまでは同じところグルグル廻っていたのに、変な風が吹いたと思ったら・・・」
 確かに先程までは、森の上空には晴れていたのだが、いつの間にか霧の様なモノが漂っていたのである。

「ああ、解ってる!ただ、どうしてここの場所が解っているかだ。さっきまで解らずフラフラとあっちこっちと動き廻っていたのにな?それとあの霧って・・・」
 森の上空が霧で覆われるのは大体が空を飛んだ時に、その飛んでいる者だけにしか現われない現象なのだが・・・それが今森の上、ちょうどこちらに向かって来ている2つの部隊の上空だけに存在していたのだ。

 俺がミナとユアにそう答え霧の事を気にしていると、エリーゼ姫が俺達に声を掛けてきた。

「ユウマ様、それにミナ様、ユア様!ちょっとよろしいでしょうか?・・・実は今こちらに向かって来る者達の事と、先程私達がここまで来た事に関してです・・・」
 どうやら今向かって来ている部隊の事と、エリーゼ姫達が迷わす俺達の元に来た事についての話しらしい。

 それでエリーゼ姫の話を聞くところによると、どうやら今こちらに向かって来ているのは鬼人とエルフの戦士達であるのだが、どうもちょっと複雑な心境になっている事を説明してくれた。

 最初は何故俺達の位置というより、シロスラのいる場所が解ったのかは、最終的には確かにシロスラの出していた微々たる聖なる気だったそうなのだが、どうやらそれまでの間はエルフであるエリーゼ姫とリーファ、そしてセレーナが森の木々に思念で話しかけ、進む方向と探していた人物の気や生命力を感知していたらしいのである。
 それにシャナ姫も多少は気を感知する能力を持っているのと、鬼人特有の力で簡単ではあるが周囲の状況を知る能力があるようだ。それについては詳しく説明出来ないそうである。
 ただ、今その部隊の上空にある霧は、その力を酷使して出来たモノだろうと説明してくれた。

 それで先程は最終的にはシャナ姫とエリーゼ姫達7人は、殆ど迷わず俺達のいる丘の方に向かってこれたらしい・・・でっ、今こちらに向かって来ている部隊も同じ事をような事をしているそうだ。

 ただおかしいのである・・・確かにシャナ姫達鬼人とエリーゼ姫達エルフが一緒に協力したら、恐らくかなりの確立で場所を察知出来、位置の把握が出来るだろうが、今こちらに向ってきてるのは・・・・。
「あれ?でも、こちらに向ってきているやつ等って・・・ホントに鬼人とエルフなのかな?」
 もしホントに鬼人とエルフ達なら、その力を使いこちらに向って来ていると考えて、ほぼ間違いないと思うがあきらかに違うような?

「えっ、どう言う事ですか?間違いなく私達と同族の者達のはずですよ。ただ、最近変な事や戦士達の様子がおかしいのは確かですが・・・」

 あれあれ?どうもおかしい感じがする。同族と言っているが・・・ここにいる7人以外は、殆ど魔獣モンスターと言ってもいいと思うのだがどう言う事だ?ますます解らん。でも、なんかどっかで同じ様な事があったような・・・?
「う~ん・・・ちょっとここでは良く解らん。とりあえず俺達の拠点に行こう。そこで詳しい話を聞いて、調べようか・・・」

「えっ、でも、恐らく私達の位置が判明したのだと思います。少しであれば周囲も能力で見えますし。それにユウマ様達の治療により我々の体力と魔力、それに鬼人特有の妖力が著しく回復して、その気配で発見し易くなったかもしれません。各部隊には優秀な感知スキルを保有している者もいますので・・・」
「そうですね。それに皆が負傷している状態では、進むスピードも遅くななるので、このままでは、ここから移動したとしても夜中には追いつかれてしまいます。恐らくは・・・」
 まあ、確かに位置を把握されたら、今迄のシャナ姫達の移動スピードなら追いつかれるだろうけど、こちらにはあるアイテムもあるし、いざとなったら俺の転移魔法で拠点にはすぐ戻れる。

「ユウ兄!どうするの?確かにこのままじゃ、今こっちに向かって来ている奴らは、シャナちゃん達にすぐ追いついちゃうよ?」
「そうだね。どうするの?例のもの使う?・・・ねえ、ユウ兄!」
 ミナとユアもその事には流石に気にしているし、どうやらシャナ姫とエリーゼ姫の事を既に気に入っているようで、もう助ける事を前提に動こうとしていたのである。

 ・・・まあ確かに、この7人、特にシャナ姫とエリーゼ姫は、この暗黒に森の中心部、俺達の拠点に連れて行くのは問題ないと思うが、俺としては・・・こちらへと進軍してくる2つの部隊が流石に気になる。何せシャナ姫達から感じる気と、2つの部隊から感じる気が、全く違いどうしても同じような種族とは思えない。



 不思議と何かが引っ掛かる気がするのだ。それに何となくではあるが思うところがあったのである。


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