巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

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第12章 新しい家族と新しい場所

12-9 住民が増えています?

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 まあその殆どは人族ではなく、亜人種やエルフやドワーフ、それに鬼人種と人魚種の者達なのだった。



 実は今回はその住人達の様子と、ある種族の受け入れ状況の確認を行なう為に、視察まがいな事をミーアとメグミさんと一緒に行なう為に、連れ立って行動を行なっている。
「ほら、あそこにも集落があるみたいだよユウ君!」
「あっ、ホントだな。ミーアあそこの集落の確認を・・・」
 俺が声をかける前に、既にミーアは行動に出ていた。

「ユウ君!何かしたの?ミーアちゃん昨日からあんな感じだけど、まあ、さっきは普通どおりだったけど・・・」
「・・・・」
 先程は何事も無くミーアは受け答えしてくれたが、ちょっと前というより朝方出発するまでの間は、全く口も聞いてくれない状態だった。まあ元を正せば俺が悪いのだが・・・。

「いや、あのちょっと、色々と・・・」
「まあ、いいけど。早く仲直りしてよね!ミーアちゃんの知識が今は必要なんだからね」
 今回はミーアが学園で学んできた知識を頼りに視察を行い、今後その場所をどうするのかを、考えてる予定なのだ。

 実はかなり前にみんなを連れて、この土地の開拓方法や運営方法を決める為にその場所の状態や土地の広さを確認しつつ、住居区の製作方法や田畑の拡張を検討してもらった。それでその運営をみんなに任せる為に、その中で何人かはペアを組んでその作業に取組んで貰っていたのだ。
 それで数人で開拓や建設、それに庭やら農園と言ったものを作ってもらっている。もちろん貴重な薬草や珍しい植物を育てる畑仕事みたいなのはミナとエリーゼに今迄どおり任せており、水路の拡張等の土木工事的な作業はユアとシャナに任せている。
 もちろん作業用の人材は、別に集めてもらう様にして貰っている。ただ今のところ鬼人とエルフ達が殆どで、せっかくスレリア大陸のスフィードの村に移り住んだのに、何故か大半がこちらに移住を望んで作業を手伝いと言ってきたので、極力受け入れるようにしている。
 ただその人選に関しては、シャナとエリーゼに任せているし、基本的に若い世代が殆どだという事だ。まあ確かにかなり長い間だ生きてきた者達は、スフィードを発展させる為に残るようだが、それでも数人は信仰深い者がいて、女神のいる地に移住したいとか言っているらしいが、その人達には申し訳ないが遠慮して貰っている。
 何せ堅苦しいし、お祈りばかりしていて、はっきり言って迷惑であるからだ。

 後はみんな自分達で考えたとおりの作業を行なって貰っているのだ。

 それで現状ミーアが俺に対して機嫌が悪いのは、俺とミーアがある場所の開拓をする為にペアを組んでいたのだが・・・。実は俺がミーアが来れない間に、違う場所での作業を行ない夢中になってた為に、すっかりミーアと計画していた事をせずにいた事が始まりだった。

 大体ミーアも俺がやっている事に対して気付いていて、俺が夢中になっている事も解っていた筈だ。
 それに約束していた計画を進めていない事にも、薄々気付いたなら言葉をかけてくれればいいのに、何も言ってはくれずに・・・前日になってすごい剣幕になり機嫌を悪くしていたのだ。

『・・・大体ミーアもあの時に俺がある場所の作業をする事は、賛成してくれていたじゃないか、それにたかだか2日から3日の間に、予定の計画を進めず何もしなかったくらいで、腹を立てなくても・・・』
 実際にはミーアと約束をして開拓する予定の場所は、殆ど何もしていないその事に対して、突然機嫌が悪くなり口を聞いてくれなかったのだ。

 それで実のところを言うと、その約束とはある場所の開拓後には、別荘みたいなモノを建てるのと、ミーア村の者達を移住させる為の場所を開拓する予定であったのだが、その場所どころか予定地の場所も全くと言ってもいい程に何もしていない。それを自身の目で見たミーアが・・・先程また機嫌が悪くなっている感じだ。
「やっぱり一緒に来るんじゃなかったかな?メグミさんにミーアを任せてから、俺だけで例の場所を開拓したほうが良かったような・・・」
「なに、言ってるのよユウ君!そんな事したらミーアちゃんに一生口を聞いてもらえなくなるわよ。大体今日のこの視察を行なうのだって、始めはユウ君はいらなかったけど、ミーアちゃんがどうしてもって言うから、ユウ君を連れて来てるのよ」
 ・・・はい?そんな事になってたのか?あれ、でも元々この視察は1週間前に予定してた筈だよな?なんで・・・。

 まあそんな事を深く考えても仕方が無いので、引き続き視察を行なう事にした。本来行なう筈だった俺達が視察するルートは、スレリア大陸側に造っている巨大な正門の方に向かうルートだ。中央の池から延びている大通りの通路を引き続き移動している。

「・・・まあ、後でちゃんとミーアには謝っておくかな・・・」
 俺はこの後の事を考えながら、綺麗に整地されている通路を歩きながら進んでいる。
 この通路は防衛壁を完成した後に、整地してユアとシャナの3人で石材を加工使用して、綺麗な石畳の大通りの通路として造りだしたモノだ。
 それで最近この整地した大通り通路の側付近に、小さな集落や村みたいなモノが複数で来ているとの報告があったのでその確認の為の視察なのだ。というより視察を行なうつもりでいるが、殆どぶらぶらと散策を行ない歩いているのだ。
 別に俺達があれやこれやと文句を言う事ではないが、ただ勝手に予定に入ってない場所に集落や村を造ってもらっては困るので、もし邪魔になる場所なら移動して貰い、問題なければそのままその場所を自分達の手で開拓して貰う事にしている。

 まあそのうち他の場所の整地をして、ちゃんとした建物を建設してその場所に移り住んで貰おうと考えてる。しかし、今迄見てきた集落と村に関しては、殆ど問題ないのでそのまま頑張って貰おうと思っているのだ。

 それよりも知らない内に、周囲は疎か問題なく出来ている集落や村に、感心しつつ元気に遊び廻る子供達を見ながら微笑ましい状態になっている事に、ほのぼのしながら歩いているのだ。
「たまには島の外を散歩するのもいいよな。色々な発見があるし、まさかな展開がおきてるなぁぁ・・・」
 最初は視察だと真面目に行なっていたが、ランの家族である狼達や集落とか村の様子をみる限りでは、平和で困った事等は無いようで、こちらとしても感謝をすれども文句を言うような問題も無かったのだ。

 すると機嫌をなおしたのか、ミーアが俺の側に来て話し掛けてきた。
「お兄ちゃん!なんでほのぼのしてるの?今日は散歩じゃなくてさぁ、この先どうするかの確認をメグミお姉ちゃんとするんだよ。いっつもサボって!他のお姉ちゃん達に任せてるから、今日はちゃんとして貰わないと、開拓が進まないよ」
 機嫌をなおし話し掛けてきたかと思ったが、ミーアが呆れ顔で俺を注意してきたので。

 ・・・いや、決して俺がサボってる訳では・・・。まあ、確かに土地をあまりにも広げ過ぎたのは、今更ながら後悔している。それに他の娘達が頑張ってくれてるので、俺は自由に他の案件に取組めている。

「あのう。ミーアさん!俺は決してさっ・・・!?」
 俺が言い訳をしようとしたが、ミーアに睨まれたので途中で言葉に出すのを辞めた。確かにこの間の事と約束を護って無い事、それに最近あまり構ってなかったし、昨日も学園で何かあったようだ。
 それにどうやら最近はランも殆どこの地にいるからな。それに先程までそこまでなかったのにどうしたのだろうか・・・。



 どうにかミーアの機嫌を、みんなと同じ様に取らないと、そのウチにホントに口を聞いてくれなくなるかも知れないので、早急に手を打つ事にした。


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