巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

文字の大きさ
135 / 557
第6章 王都シルフォードに到着、城で何かあるかもしれない。

6-8 式典開催。ちょっとその前に・・・?

しおりを挟む



 そんな事を考えている間に、前夜祭のパーティーは終わっていったが、この後まだ色々と行事に関する事などや話し等を行なって夜は更けていった。



 そして時間は若干さかのぼり、ある場所に向けて冒険者ギルドと公国からの依頼で調査と探索クエストが行なわれていた。
 まずは例の聖碑のある村に復興の為の、物資を運搬する事になっていた。 

 その村からの依頼でもあり、冒険者ギルド内で決めた事でもあったのだが、何処からか解らないが情報を集めた各商会と、良心のある貴族達が一斉に支援を要請してきたのだった。

 しかもその村を救ったのは、たしかにユウマなのであるのが、この所業には名を伏せているはずだった。
 しかし、この情報が何処からか解らないが漏れていた。

 この国の一大事を救った冒険者としてフィリアだけでなく、何故か新人冒険者であるユウマの名前までもがあがっていた。事実ではあるのだが聖碑も短時間で修復を行い、それに関係した者達を救って見せた事も公になってしまっている。まあ、かなり尾ひれがついて脚色されているが。

 そのため冒険者ギルドには、護衛依頼だけでなく各種の討伐依頼が多数入っていた。しかも何故かその依頼にはユウマ達への指名依頼ばかりであったのだった。
 しかしその指名依頼は他に廻される事になっている。

 基本的に指名依頼は、余程の事が無い限り指名が通る事はない。と、言うよりギルマスが許可しない。

 しかも、今回入ってきた依頼は例の聖碑のある村までの護衛依頼だった。

 しかし、普段ならギルマスも許可しただろうが、この指名依頼は遂行される事はない。
 なにせその本人達は、2日後の式典に参加しなくてはいけないからだ。
 なので明日の朝から出発する護衛依頼は出来ないのである。

 ギルドとしてはこの指名依頼だけは、むげには出来なかった。何せ聖碑の村とその他の村への物資だったからである。
 これは冒険者ギルドの要請した物資だけでなく、公国の貴族関係者と各商会が協力してくれているからであった。

 でも、何故ユウマ達への指名依頼が来るのかは、訳が解らなかった。

「ねぇ、おねえちゃん。あっ、いえギルマス!この依頼どうしましょう。ユウマさんは、まだここで正式に登録していませんし。それに何処から情報が漏れたのか色々すごい事になってるみたい。それにこの依頼はハッキリ言って無理だと思うの」
 ヨーコがこの依頼に関しての資料を持ってきて、ギルマスであるフィリアに相談していた。

 するとフィリアがその資料を一通り目を通してから、一旦目をつぶり考えてからある決断をした。
「それなら、この依頼はあの子達が丁度良いのじゃない。一応ユウマの関係者だし信頼も出来るから」
「えっ、あの達って《銀翼の翼》の子達の事を言っているのですか。フィリア様?」
 そのフィリアの意見を聞き、サブマスの1人であるホノカが答えた。

「そっ、その子達。丁度いいのじゃない。それにこの依頼書には、ユウマ本人とは書いてないし。ユウマの関係者ならいいのじゃない。ホノカ早速あの子達を呼んで頂戴」

『でも、どうしてユウマの情報が漏れてるのかしら、まだこの間の依頼も公に出てないし。まともに依頼もこなしてないはずなのに?』
 ホノカに直ぐ《銀翼の翼》を呼ぶように指示をだし、何故この間ユウマの行なった事の情報が漏れているかを考えていた。

 フィリアは色々考えていてふと、ある事を思い出していた。
 そう言えば、冒険者と騎士達には釘をさしたけど、乗合馬車の乗客と商会ギルド職員、そして老夫婦の貴族に口止めするのを忘れていた事を思い出した。しかも村人達と馭者の人達にもで口止めす事も忘れていたのである。
『あっ、全員の口止めするの忘れてたわ。どうしようユウマにどう言い訳しよう』
 その事を思い出し若干青ざめていた。

 そして、フィリアが頭を抱え悩んでいる間に、ホノカは一旦ギルド職員に《銀翼の翼》を呼ぶように指示をだしてから、ヨーコと今回の護衛の件で話しあった。それから調査と護衛を併用して依頼を提出する事に決めた。
 その内容は、まずは荷馬車の護衛で一旦村まで行動を共にして、そのあと村で情報を仕入れて、村人が捕らえられていた施設の調査を行なう事になった。

 それから黒幕である魔人族の情報収集と、残党もしくは魔獣モンスターの討伐実施と、さらわれた村人達の捜索を行なう事になっていた。

 この調査と探索クエストには、複数の冒険者を投入する事になった。
 なにせこの依頼では、脅威である魔人族と新種の魔獣モンスターが出現する可能性があるあるからだ。

 そのため比較的に上位クラスのパーティと上位ランクの冒険者を算出する必要があったからである。

 何故そう言う体制で臨んだかと言うと、上位クラスのパーティである《獅子の咆哮》のパーティの証言と実際その場にいたフィリアとヨーコの証言があったからである。それにその時は、護衛で騎士もいるし、その場には複数の目撃者もいたからであった。その事も含めてこの様な体制で行なう事になった。

 まあなにせ今回の依頼では、その時戦った実績のある人達は参加できないからであった。
 その者達は皆、今回ある叙勲式と報酬授与の式典に出席するからである。
 余程の事が無い限りは出席する様に言われている。

 そうこうしている間に《銀翼の翼》である少女達がギルドにやってきて、先程の説明をフィリアより受けていた。
「・・・・と、言う事なので申し訳ないけどユウマの代わりにあなた達にお願いしたいのよ。どうかな?」

「えっ、何でそんな事になってるの?」
「フィリア様、先輩と何やったんですか?」
 ミナとリンカがフィリアの話を聞き尋ねた。

「まあ、色々あるによ。それはそうとして。この依頼受けて貰えるかしら」
「あっ、はい、この子達がいいなら問題ないですけど。ユウマさんの出る叙勲式を見るの楽しみにしてたみたいですけど」
「えっ、いいよ別に、良く聞いたらユウ兄は個人じゃ受け取らないって聞いたし」
「そうですね。おそらくユウ兄様なら人前に出て行かないと思いますものね」
「そうそう、あの先輩だよ。よくイベントなんかサボって姿をくらますのに、参加するだけ不思議でだよ」
 何故か少女達は、ユウマの性格をよく知っているようで今回の依頼は受ける事になった。
 

 それで今回の依頼に参加するパーティは、3つのパーティと上位冒険者の5人が参加する事になり、人数としては25人が参加する事になった。
 ただ、このうち1つのパーティと上位冒険者達は、村に到着したらそのまま数日間は村に滞在して護衛をする事になっている。

 そして参加しているパーティは、《銀翼の翼》と《メルビスの匙》、それと《薔薇の女神》だ。
 おのずと知れた《銀翼の翼》は例の少女達であり、今回のユウマがらみで指名依頼が来ていたので少女達に任せる事になったので絶対に外せない。

 次に《メルビスの匙》のパーティであるが、こちらは《獅子の咆哮》に並ぶ上位冒険者のパーティで、この二つのパーティが護衛の後に、情報収集と周辺の調査をメインで行なう事となる。

 残りの《薔薇の女神》と冒険者5人は、到着後に数日間は村の護衛と周辺の魔獣モンスターの討伐を行なう予定だ。

 そのため村までの荷馬車の護衛に同行するのは、この25人の冒険者となる。
 荷馬車の護衛だけでは、人数が多すぎるのではと思うかもしれないが、15台の馬車を引き連れていく事になっているので問題はない。
 それに実はその聖碑の村だけでは無く、周辺の被害を受けた村の支援も行なう予定にもなっているからである。

 そして一向は魔獣モンスターにも一度も遭遇する事も無く、予定の時間よりかなり早く村についていた。

「おいおい、どうなってんだ?魔獣モンスターどころか盗賊にも遭遇しなかったぞ」
「そう言えばそうですね。この辺りは盗賊と闇ギルド関連の襲撃者が最近良く出る噂を聞いていたのですが?」
「逆にこの雰囲気は、・・・・」
 色々とここまで一緒に来ていた冒険者達が話していて、今回依頼を受けた冒険者たちは余りにも簡単な護衛だったので拍子抜けしていた。

 そして、村の様子を見てさらに驚いていた。

 なにせシルフォードのギルドでの報告では、強力な新種の魔獣モンスターや魔人族と名のる非常に危険な存在がいた事を聞いていたのと、村全体は酷い有様になっているので尽力して復興に手を貸して欲しいとも言っていたが、それなのにもう殆ど修復が終わりかけ外壁を新たに製作していた。

 何でここまで修復が早く進んでいるのかを、今回の全体を指揮する予定の《メルビスの匙》のリーダーが村長をさがして尋ねる事にした。

 その為にまず村長を探す為に、村の入口で作業をしている人に尋ねる事にした。
「すいません。ちょっとよろしいですか?」
「あっ、はい、何でしょうか。あっ、あなた達はシルフォードの冒険者様達ですか?」
 何故か入口で作業をしていた人は、慌てて作業をやめて冒険者であるのかを尋ねてきた。

「えっ、あっはい、そうですけど? あの村長さんはどちらにいますか」
「ちょっと、待っていて下さい。直ぐに呼んでまいりますから・・・」
 そう言葉を残し急いで奥の方に駆けて行った。

 その駆けて行く、青年を見ながら《メルビスの匙》のリーダーである、エミルとメグミがお互いを見て、どうしてそんなに慌てているのかと不思議に思っていた。

 そして先程の青年が、村長らしき老人を連れて来てくれた。
「この度は、私ども村の為に沢山の資材と物資を届けてくださり、まことに感謝のしだいで御座います。して今回はどの様な用件で?」



 ここの村長が深々と頭を下げてお礼をしてきた事に対して不思議に思っていたのと、早い復興について尋ねる事にした。



しおりを挟む
感想 798

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

神々の寵愛者って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

処理中です...