巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

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第6章 王都シルフォードに到着、城で何かあるかもしれない。

6-15 式典の後には・・・?

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 そうして今回のシルフィー達を襲って、この国の転覆をはかっていた黒幕は捕まったのだった。



 ただ、この時には英雄であるはずの仮面の騎士ユフィルスと第三王女であるシルファリアは、事実上この世からいなくなった事になったのである。

 この場でその事を悲しむ者も多数いた。王妃様も最初は驚いて顔を青ざめていたけど、王様のそばに来たユウマを見て安心して、みんなに覚られないようにその場からユウマを引き連れて退室していった。

「皆の者よ、この場はすまぬが静まって欲しい。真に遺憾ではあるが、此度の不祥事は我々の落ち度であった。まさか上層部に反乱分子がいようとは思わなかった。それに我が娘と仮面の騎士ユフィルスまで失うとは・・・。すまぬが此度の二人の葬儀は後日行なうとする。出来ることならすまぬが、あまりこの事は公にして欲しくない。それでは皆の者よ葬儀の発表まで内密に頼む」
 その場は国王様が悲しそうな演技で語りかけ、後日葬儀を行なう事になった。

 まあ、何人かと実際正体を知っている人達は、そんな事を思ってもいなかったが、とりあえず黙って従うようにしたみたいだ。実際この場の騎士達も、それほど慌てていないし、おおごとになっているような雰囲気が全然ないので、この式典に出席している人達も不思議に思い大人しくしていた。

 それに国王様の態度が一番おかしいと感じていたようだ、だって自分の娘を目の前で殺された筈なのにすごく落着いていたからだ。勘のいい人達は何かの儀式か、催し物か何かと噂しだしていたのである。

 そしてこの後すべての行事が終わり、事情が解っている者とフィリアが王城の談話室に集まっていた。

 この場で第一に声をあげたのは、今回の式典の為に上京してきていたトライアの領主であるロベルトだった。
「はははっ、何かねユウマ君、今回の騒動は計画も無しにやったって事かね。流石にビックリしたよ。あの爆発で2人共が消えた時には、でもやはり私の見込んだ男だ」
 このときユウマは『何を見込んでいたんだろう』と、思っていたが声には出さなかった。

「うむ、流石にあの時は肝が冷えたぞ。まさか2人とも爆発に巻き込まれてしまい、何が起こったのだと驚いていると、今度は突然ユウマが玉座に現れて書状を持って来た時にはな。そのときはもう化けて出たのかと肝を冷やしたぞ」
 王様とトライアの領主であるロベルトは、爆発の時の話で盛り上がっていた。

「でも、よくあの短時間の間に、そんな事を思いつきましたよね」
「ああっ、えっと、ホントは防いでも良かったのですけど。この後、城を出て行くのに後腐れがない様にしようとして、利用しました」
「えっ、それはどう言うことですか?」
 王妃様の何か信じられない言葉を聞いた様な顔をしていた。

「へっ、俺達この行事が終わったら、明日にでも城を出ていきますけど。なにか問題でも?」
 その言葉を聞き今度は、シルフィーがユウマにしがみ付き尋ねた。

「それでは、ユウマ様は結局わたくしもおいて行くとおっしゃるのですか?」
 ユウマの胸に顔を沈めて小声で泣き出した。
「へっ?あのうっ、シルフィーさん。あなたも一応死んだ事になってますよ。だから俺達と一緒に来て貰わないとおかしな状況になりますよ。死人が城内を歩いているのと同じですから」
「ぐすっ、えっ、それはどう言う事ですか?」
 シルフィーは、ユウマの胸から視線を上げ、目を見つめて首を傾げて不思議がっていた。

「ほら、王様達と約束していたのでしょう。この後は自由に生きていく事と、それと王妃様の約束で一緒に連れて行く事を、それにおいて行ったら王妃様に何されるか解りませんから」
 そう語りながら王妃様の方に視線を向けた、すると王妃様が驚き笑顔を向けて。
「それではユウマ様、シルフィーと・・・」
「あっ、連れて行くって言っても、婚約とかは無しですからね」
 シルフィーは、喜んで抱き付いて来たが、ユウマの最後の言葉を聞き頬を膨らまし少し残念な顔をした。

 そんなユウマとシルフィーの仲睦まじい光景を見ていた、アリアとメイリーは負けじと近づいてきて気になっていた事を聞いてきた。
「そういえばさぁ。ユウ兄ぃ、なんで仮面なんて着けてたの?」
「ウンウン、何でですの。ユウ兄様」
「ああ、あれはね。正体を隠す「悪巧みをするためでしょう」・・・・・・」
 質問に答えようとしていたら、何故かメイリーはユウマの横にしがみ付き、アリアはユウマの後に周り首にしがみ付いた。
 そしてユウマが説明を邪魔するように、今まで黙っていたフィリアが割り込んで喋って酷い事を言ってきた。
「あのさー、フィリアさん。それはちょっとひどいのでは、それに何故2人とも俺にしがみ付いてるの?」



 何故かシルフィーに対抗して、アリアとメイリーまでもが、ユウマにしがみ付いてる光景を見た全員が語りだした。


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