クイーンズ・メモリー!   ☆大魔王は勇者がお気に入り☆

桜華 剛爛

文字の大きさ
6 / 40
第一章:第一節

3:大魔王もビックリ?

しおりを挟む
 しかしこの思いは、杞憂に終わった。

 なぜかと言うと、エリザが抱き上げ手を放してしまった赤ん坊が、エリザの胸にひしっと、しがみ付いていたからであった。

 これに関しては当事者であるエリザはもちろん、その光景を見ていたマリーも目を白黒させ驚いていた。
「エリザ様に触れて・・・ひきつけを起こさない子なんて私・・・初めて見ました。しかも、よく見たらこの子・・・男の子ですよ。普通だったら弱っているから死んでしまいますよ。それなのに必死にしがみ付いているなんて、考えられませんよ」
 マリーが不思議に思いその様に語りながら、いまだ気絶している少女と、もう一人の女の子の赤ん坊を抱き上げた。

 その言葉を聞きながら一番驚き不思議がっていたエリザが語った。
「一番驚いているのは、私なんだけど?よくよく考えたら私、赤ん坊にこんなに長く触った事が無いわよ。しかも自分からしがみ付いて来る子なんて、初めてよ」
 エリザはその様に語りながら、しがみ付いていた赤ん坊を抱きなおした。

 それに今迄は殆どの子供達は初見ではエリザが近付いただけで、ひきつけを起こし泡を吹きよくて気絶、悪くて死亡していたはずだ、それに例え少しでも耐性があったとしても恐怖で子供達の思考は停止していた。
 なので今迄まともにエリザに近づけた子供はおらず、エリザもまともに子供に触った事がなかったのである。

 しかも子供は特にだが、大人でも男性であれば、近づくだけで泡を吹き倒れるか、もし耐性があっても膝を折りひれ伏すという結果になっていたのだ。

 それはエリザの大魔王と言われる根源である魔力の巨大さと、身体から漏れ出す王の覇気と魔素によるものである。
 しかし、エルザ自身は子供好きであったのだが、この身体の為にどうしようも無いとあきらめて、考えないようにしていた。それなのに今回その事を忘れていて、咄嗟とは言え1回は手を放し自分にしがみ付いちた赤ん坊を抱きながら不思議になり声をだした。

「なのになぜかしら、この子は平気どころか・・・自分から私にしがみ付いていたわよね?そう思わないマリー」
 しがみ付いた赤ん坊を再度抱き上げ顔を除き込んだら、どうも先程命を削って魔力に変換していた影響なのか若干その赤ん坊の顔が青ざめていたので、エリザはすかさず回復魔法をかけた。
 するとその赤ん坊の顔色は精気を取り戻し、そして安心するようにエリザの胸でスヤスヤと、安らかな顔をして寝息をたて眠りについたのであった。

「しかし、不思議な子ですよね。確かに私も初めて見ましたよ。しかもエリザ様に抱かれて、こんな安らかな寝顔で寝てるなんて・・・?」
「あらっ、この子の魔力が回復しだした。・・・えっ、私から魔素を吸収しているの?」
 エリザが自分から漏れでている魔力を、この赤ん坊が吸収して自身の魔力を回復しているのを感じとって不思議に思っていた。

 何せ、大魔王であるエリザの魔力は、通常の魔力と違い毒にも等しい魔力なのだから、ましては人族に対しては特に害になる魔力を赤ん坊が、安らかな寝顔で吸収していた。しかもこの赤ん坊は聖なる気の魔力を放っていたのに、いよいよエリザの魔力を吸収するとは考えられなかったのだ。

 この世界では使用できる魔力には、色々と存在していた。しかも複数の力があった。

 まずはこの世界で一番数多く存在しているのが魔素で、これは吸収する種族によって己の体内で自分の力、魔力に変換する。

 たとえば魔族で多いのが魔の力が濃い魔力へ変換でき、獣人族は体内にある気孔へ、それにエルフやドワーフなどの妖精族は精霊の力である聖霊気へと変換している。
 ただし人族に関しては事実上万能であり、魔素を極平凡な魔力や聖なる力の魔力へ変換できる。まれに精霊の力である精霊気や体内にある気の気功などを使用できる人族もいるのである。
 ただ神族と天使族などは魔素でなく、聖なる気、聖光気や神なる気、神光気等があり、これもまれに人族の中にも存在していたのである。

 しかし、基本的に魔力はその性質上、同じ性質の魔力か身体の内部で生成される魔力でないと吸収、補充できないのだ。 だがこの赤ん坊は、エリザが今抱いている赤ん坊は、直接エリザの漏れ出した魔力を問題なく吸収しているのだった。

 そのうえ、エリザの腕の中で安らかに眠っていて、なおもエリザにしがみ付いているのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

転移先は日本でしたが、あまりにも楽しいのでスローライフを目指します!~従者(ヤンデレ)がついてきた件~

雨宮 叶月
ファンタジー
異世界の公爵令嬢だった私は、ある日突然、日本に転移してしまった。 しかし、思っていたよりも楽しい。 パンケーキは美味しいし、猫カフェは心地いいし、大学も意外と楽しい。 ここでのんびり暮らしていこう。そう決めた、はずだった。 「お嬢様……やっと見つけました」 現れたのは、かつての忠実な従者——だったはずなのに、明らかに様子がおかしい。 「……誰と会っていました?」 「そんなバイトなど行かずとも、私が養えます」 え、待って。日本でスローライフするんじゃなかったの? 平穏な日々を取り戻したいクールな元令嬢と、独占欲強めなヤンデレ従者。 とりあえず、甘いもの食べに行きたい。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...