クイーンズ・メモリー!   ☆大魔王は勇者がお気に入り☆

桜華 剛爛

文字の大きさ
11 / 40
第一章:第一節

8:結局4人共お持ちかえりです。

しおりを挟む
 エリザは、仕方無いと思いせっかく助けたのだから、最後までこの子達の面倒をみようと考え。

 それで城に連れて帰る事にした。
「しょうが無いわね。せっかく助けた命だから、最後まで私が面倒を見ましょう」
「エリザ様、そんな事言ってますが、ホントはその子の事が一番気に入ってるんでしょう。ずっと抱いたまま離そうともしませんし、それにその子も満更でもないみたいですから・・・でも、不思議ですよね。エリザ様の体質が変わった訳でもないですし、それに先程も・・・」

「まあ、ね。この子は私の波動にも平気みたいだし・・・それに、感じる。マリー」
「えっ、これって・・・まさか、この子?」
 エリザも実を言うと先程気が付いたのであるが、エルザの抱いている赤ん坊からエリザと同じ波動を、僅かではあるが感じていた。最初は気のせいだと思っていたが、マリーにも確認して貰い、それで間違いないと感じたのである。

 その間、シスターの少女をセシリーが介抱したかいがあり、意識を取り戻した。
「うっ、うう・・・?」
「あっ、目を覚ましましたね。エリザちゃん。先程の子が目を覚ましましたよ」

 セシリーの声を聞き、エリザはマリーとの話を一旦終らせ、馬車の中に入って行った。
「どうその子の様子は?」
「今から確認します。大丈夫ですか?ここがどこかわかりますか?」
「えっ、・・・あれ?ここはどこですか?あのう、私は誰でしょうか?」
 この少女の言葉を聞き3人共お互いを見て確認した。

「もしかして、これって・・・」
「そうみたいですね。恐らくは・・・」
「はぁ、これはどうしようも無いわね」
 3人が、考えたとおりその少女は自身の記憶がなくなっており、自分が何者か何処の出身かを完全に忘れていた。ただ、なぜかシスターである事だけは理解していたのであった。

 これはどうしようもないので、このシスターの少女も城に連れて行く事にした。どの道、この焼け払われた村に置いて行く訳にも行かないし、それに他の子達も連れて行くので問題はない。

 この時、エリザはある事を思い出していた。当たり前の様にシスターの少女と話しているいる事に、それはここにいる子達もそうなのだが、このシスターの少女も当たり前のように自分と話していたのに驚いていた。
「ねえ、マリーもしかして私の体質って治ってるのかしら、この子達私と一緒にいて平然としてるから」
「そんな事ないでしょう。私と姉様ならまだしもこんだけ近くでエリザ様の波動を?・・・あれ、そうですよね。なんですかこの子達は」

 そう今ここにいる子達は人族であって魔族ではないからである。しかも普通なら気絶するか泡を吹いて倒れるはずなのに、そのシスターの少女は平然とエリザと話していたからであった。

 それらの事があったが、とりあえず全員馬車に乗せ、城に連れ帰る事にした。

 今回の件については後日、調査隊を派遣する事にして、今回助けた不思議な赤ん坊の男の子と女の子、それと小さな女の子とシスターの少女は城に連れて帰る事にした。

 赤ん坊2人と小さな少女は、何故か城に向う間もエリザにべったりの状態であり、そして、シスターの少女も先程は、一旦目を覚ましていたがその後安心しきってまた意識を失い、今は静に寝息を立てていたのである。

 次の日の昼ごろには、大魔王城には着き直ぐに調査隊を派遣した。もちろん2人の赤ん坊に名が無いのは困る為、エリザ自身が2人の赤ん坊に名を与えた男の子をアレス、女の子の方にはセリカと名付けた。 それでもう1人の小さな女の子の方は、実は自分の名前を覚えていてレイカと名乗っていたのでそのままレイカと呼ぶ事にしたのだ。

 それから数年後、3人は大魔王エリザの元で元気に、すくすくと育っていたのであった。

 それとあと、あの時のシスターの少女は、結局自分の名も何もかも思い出さず、セシリーよりマリアと名づけられてマリーと同じ様に、セシリーの妹として育てていたのである。もちろんマリーも大体同じ様な年齢だったので一緒に稽古をしたり、勉強もしていたのである。

 そのマリアは、今ではアレス達3人のお世話係と大魔王の付き人みたいな事をやっているのであった。しかも人族でありながら、いつの間にかマリーと肩を並べるほど強くなっていたのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...