小さな怪獸

枝浬菰

文字の大きさ
上 下
65 / 68

会長と甘いデート

しおりを挟む
「おい、なんで俺はこんな格好をしているんだ?」

「それはもう今日が俺とのデートの日だからだよ」

学園祭実行委員の企てにより決まったキス権により眞鍋会長とのデートの日を静香は迎えていた。
付き添いはなし、影から見守るのはあり、だがお忍びで…… 

そして、駅前で待ち合わせし洋服屋に入ったと思ったら着替えさせられ今に至る。
恰好は短めのワンピースに薄手のコートを着ていた。

「それでは行こうか」
と手を差し伸べてきたので赤面しながらもその手に掴んだ。
恋人繋ぎをしたまま街を探索する。

「今日は僕がエスコートしてあげるからね、静香ちゃんは僕とのデートを楽しんでね」


「はいはい」
もうなんでもいいやと思い会長の隣を歩き始めた。
会長との身長差は25cm差。

「ねぇあれ見て男の人背高い、しかもイケメンだし」
「女の人も可愛い、あのワンピースどこで買ったんだろ、いいセンス」
「足と腰の細さが尋常じゃない、可愛い」

と行きかう人々から囁かれてしまう結果に。
会長は上から静香ちゃんの赤面している顔を見てにやけていた、それに気がついた静香は引いた顔をしながら。
「会長きっも」
と一言漏らした。

「あ、そうだ今日は会長じゃなくて篤あつしって呼んでよ」
「やだ」

「えーなんでよ」
「会長は会長だから」


「ぶー」
いじけながらも最初の場所に向かう
「映画館?」

「そう今日は特別な日だからね」
すごく喜んだ顔でこちらを見ていた。
チケットを発券して撮影ブースがあったので2人で写真を撮ってもらった。

「焼き増しするね」
「いらなっ」

会長にポップコーンと飲み物がセットになったトレーを渡された、そこに描かれていたのは、
「俺?」

「そう、よくわかったね、本当に似てるでしょ」


そう、今日見る映画は会長が大好きなゲームがアニメ化した話だった。
タイトル「私はヒーローよ」の主人公静香…… 名前まで一緒だとモデルになったの俺じゃないかと少し不安になった。

上映ルームに移動している間も、
「え、本物?」
「ウソ、似すぎじゃない」
「可愛い」
「萌え」
などなど……
ファンからの目線や言葉が聞こえてきた。
会長はご満悦という顔になっていたのでそこでも引いた。


映画が始まり、よくわからないながらも、ポップコーンを食べながら見ていると不意に横から手を握られた。

「ちょっ、会長?」
「しっ今いいシーンだから」

「……」

今日はもうあきらめよう、いろいろ考えても仕方がないと腹をくくった。


映画が終わりランチタイムに
「静香ちゃん食べたいものとかある?」
「いや、適当に……」

「そしたら予約してるレストランあるからそこに行こうか」
(予約している? 今の会話は必要だったのか?)

疑問に思っていると腕を引かれ会長に連行された。

レストランは映画館と同じ建物の最上階にあり、とても見晴らしがいい。
少しひんやりとした風が膝を包み
「さっむ」

「こっち」
と案内されると個室に案内され食事を始めた。
(高そう…… なにこの高級感…… 未知だ)

と思いながらも食事をした。

正直会長と話すことはそれほどない、というよりも会長が一方的に会話をして、静香は頷いているだけ。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

運命の番(同性)と婚約者がバチバチにやりあっています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,527pt お気に入り:30

ひきこもりニートの俺がVTuberアイドルになった話

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:18

待ち遠しかった卒業パーティー

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,772pt お気に入り:1,295

【短編】不良に囲われる僕

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:42

俺、悪役騎士団長に転生する。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:12,006pt お気に入り:2,506

ダンジョン配信

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

役目を終えて現代に戻ってきた聖女の同窓会

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,572pt お気に入り:79

処理中です...