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ロック王国物語編

Episode.9

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なにか良い方法はないのだろうか。
この者の存在を消し去ることができることが。

「ビオラ様どうされましたか?」
目障りな陛下の犬が来た。

「これはこれはザスール様、少しヒスイ様と本を読んでましたの」と言うが
「そうですか、もしなにかあればビオラ様を先に疑わせていただきます」と脅された。


……。みんながみんなヒスイ様を守っている、どうしてαの私ではなく男のΩ風情が、
きっとにらみ付けその場から立ち去ることにした。

「ヒスイ様ご無事ですか?」
「はい……僕はここにいていい存在なのでしょうか?」
「やはりなにか言われたのですね」


「はい……」
「正直なところ城はヒスイ様のお迎えをほぼ反対しておりました」
「え?」


「ですが陛下は迎え入れると押し切りました、どうなるか我々にも分かりません、なので私は見守ることにしました。まだまだ反対意見を述べている侯爵や伯爵などもいます。ヒスイ様身の回りだけは本当にお気をつけください、城とは言えあなたを陥れる者は多いです」


「わ、分かりました」


落ち込まれている、そりゃそうだ。
Ωとして国に入りそして飼われたのが城だ。
Ωじゃなくてもこの窮屈な環境になれるのは一苦労だろう。
でもヒスイ様のIQはαと同等またはそれ以上かもしれないその点だけとるときっとヒスイ様はうまく潜り抜けると信じたい。


信じたかったが……。

「今なんと言ったか?」
「も、申し訳ございません、ヒスイ様を見失いました」


βの衛兵、つまり護衛役のロジャーが走ってきて伝えたのがこれだった。


「どこで見失ったのですか?」
「地下の入り口付近です、【なぜ中に入るのですか?】と伺ったところ
【ここに必要なものがあるからと】と仰ってその後一緒に入ろうとしたのですが後ろから何者かに襲われ【お逃げください】と言ったところ地下迷宮に入っていったのです」


「その襲われたのって結局なんだったのですか?」
「くせ者でした、捕らえ牢に入れてあります」
「なら騎士を呼べ、牢のくせ者に自白剤を飲ませなぜこのようなことをしたのか問いただす」
「承知しました」


と向かおうとしたが

「申し上げます」と走ってきた衛兵がいた。

「次はなんだ?」
「ビオラ様が何者かに囚われたようです」
「……囚われたというのは監禁、つまり拉致ということですか?」

「はい、このような申し紙が来ておりまして、陛下とビオラ様が結ばれないとなればこの国は終わりだという脅迫状です」

「……なるほど」

「ビオラ様を優先したほうが」
「……バカをいうな、ヒスイ様を優先しろ」
「え? ぎょ…御意」


陛下にとって姫の順位は差が出るほどだろう。

まずはヒスイ様を捜して同時にビオラ様も捜索隊を出させる。


「おやおや、なにやら困っているのかな?」
「オスカル侯爵殿」
衛兵は頭を下げた。

「今取り込み中なので」
「……そういうではない、ビオラ様の件は私の騎士に捜させよう」
「この件は内密に行動してくださいね」
「分かった」


唯一モアΩをこの城に招き入れることに賛成だった、オスカル侯爵、なにが目的かは分からないが今は時間が惜しい、少しでも早くヒスイ様を見つけなければ。


-------------------
「ヒスイ様、この城の地下は迷宮になっております、一番最下層にはとても珍しい宝石があります、それを陛下にお渡しすればきっとあなたは一生ここにいても良いということでしょう」
「それは皆に認められるということですか?」

「ええ、そういうことです」
ビオラがそう呟いた。

怪しさしかない、でも陛下やザスール様以外に僕がここにいてもいいということを証明しなければいけない。


陛下にもザスール様にも怒られるかもしれない、その後処刑もありえる。
でも僕は僕の存在意義を伝えたい。


護衛としているロジャーをどうにか巻きたいが
「ヒスイ様、ここに入られるのですか?」
「ちょっと見てみたいなと思いまして」


「見てみるとは迷宮をでしょうか?」
「はい……あっ危ない!!」

「くっ!!!? ヒスイ様早くお逃げください」

ロジャーが何者かに襲われている、でもここから立ち去ったらもうきっと迷宮には入れない。

「ダメです!! そちらには!!」
僕はロジャーを無視して迷宮に入った。


とても冷たい風が体を包んだ。
「階段は」と探すがそこはただ広い空間だった。

もう少し進めばきっと階段などあるのだろう。

大きな柱が立っていて時折なにか大きな声がした。
とてつもなく怖い。


小部屋に入ると狭い階段がありここを降りていくことにした。


ピチャンと雨水なのか雫が落ちる音が聞こえた。

それになぜ城の下に人がいるんだ。
まさか発掘者とか?


その者達は大きな荷物を抱えピッケルなような物で掘っているように見えた。




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