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妊娠編
怖い……怖い……怖い、、、。
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サンドイッチが入っていたカゴに花かんむりを入れて瑠那さんと近道を歩く。
ここは人通りが少ないがまだ13時だ、大きな声で叫べば大通りもあるから助けも来てくれる。
そう思って歩いていたら
「お前、琉架か」
そう聞こえた。
僕はこの声の主を知っている。
ひゅっと息がつまるのを感じた。
目の前に立つ男に顔を向けられない。
「んで、そっちは瑠那か、成長したな」
「……琥珀さん……」
瑠那さんはそう呟いた。
どうして瑠那さんとこの男が知り合いなのかは知らないが逃げなきゃ、、、
でも足が硬直して動かない。
「あー琉架、お前なに下向いてんだ? 俺の顔忘れたか?」
タバコを持った手をちらつかせた。
怖い、、、怖い、、、。
でも言うこと聞かないと
上を向くとやはりあの男だった。
実の父親である
「ははーまぁ良い感じに育ったんだな、日暮に弄ばれてると思ってたけど、俺のとこ離れて何年だっけ?」
「……3年くらいです」
ごくりと唾を飲み込む。
息ができない、倒れたらきっとこの男は僕を潰しに来る、そしてこのタバコで皮膚を焼くだろう。
「3年か、早いもんだな、あー掌だせ」
ビクっと震える。痛みを覚悟して掌を出した。
それは予想通りのことが起こる。
タバコの火消しだ。
「ぐっ……」
唇を噛んでそれに耐える。
「お前、良い表情になったじゃないか、日暮にもこうやって煽ってるのか?」
そ、そんなことしてないし、されてない。
でも怖くてなにも反論できない、、、。
顎を掴まれ目が合う
この男は目が死んでいる。
なにも感情がないのだろう、人をどう扱ってもいいと思っている目だ。
だから僕はこの目と声を恐れている。
怖いと思いながらも従わないといけない、じゃないと僕の命なんて簡単になくなってしまうと思うからだ。
さらに顔を近づけ耳元こう告げる。
「お前が日暮、ジャスミンの店にいれば迷惑かけるってこと分からないか? お前がいるだけで不幸になる者もいるだろうな、お前はそういう立ち位置なんだ」
きゅっと喉がしまる。
「あの店潰すか」
!?
「ダ、ダメです……」
「お、やっと返事もらえた、ならお前がまた犠牲になるか? そのほうが手っ取り早いよな?」
「…………」
どうしたらこの場から逃げられるか、瑠那さんは全身ガタガタと震え耳を塞いでいた。
「お前がいるから瑠那だって怖がってるんだぞ、分からないのか?」
聞きたくない、でもじわじわと神経をむしばっていく声と僕の中にある不安が一緒に混ざり合ってもうあの場所に戻らないといけないんだと思い知らされる。
この幸せだった3年間はきっと神様がくれたご褒美だったのかもしれない。
戻らないと、、、。
僕のせいでみんなに迷惑をかけてしまう。
「琉架」
僕はまたこの男の元に行く、帰るんだ。
ここは人通りが少ないがまだ13時だ、大きな声で叫べば大通りもあるから助けも来てくれる。
そう思って歩いていたら
「お前、琉架か」
そう聞こえた。
僕はこの声の主を知っている。
ひゅっと息がつまるのを感じた。
目の前に立つ男に顔を向けられない。
「んで、そっちは瑠那か、成長したな」
「……琥珀さん……」
瑠那さんはそう呟いた。
どうして瑠那さんとこの男が知り合いなのかは知らないが逃げなきゃ、、、
でも足が硬直して動かない。
「あー琉架、お前なに下向いてんだ? 俺の顔忘れたか?」
タバコを持った手をちらつかせた。
怖い、、、怖い、、、。
でも言うこと聞かないと
上を向くとやはりあの男だった。
実の父親である
「ははーまぁ良い感じに育ったんだな、日暮に弄ばれてると思ってたけど、俺のとこ離れて何年だっけ?」
「……3年くらいです」
ごくりと唾を飲み込む。
息ができない、倒れたらきっとこの男は僕を潰しに来る、そしてこのタバコで皮膚を焼くだろう。
「3年か、早いもんだな、あー掌だせ」
ビクっと震える。痛みを覚悟して掌を出した。
それは予想通りのことが起こる。
タバコの火消しだ。
「ぐっ……」
唇を噛んでそれに耐える。
「お前、良い表情になったじゃないか、日暮にもこうやって煽ってるのか?」
そ、そんなことしてないし、されてない。
でも怖くてなにも反論できない、、、。
顎を掴まれ目が合う
この男は目が死んでいる。
なにも感情がないのだろう、人をどう扱ってもいいと思っている目だ。
だから僕はこの目と声を恐れている。
怖いと思いながらも従わないといけない、じゃないと僕の命なんて簡単になくなってしまうと思うからだ。
さらに顔を近づけ耳元こう告げる。
「お前が日暮、ジャスミンの店にいれば迷惑かけるってこと分からないか? お前がいるだけで不幸になる者もいるだろうな、お前はそういう立ち位置なんだ」
きゅっと喉がしまる。
「あの店潰すか」
!?
「ダ、ダメです……」
「お、やっと返事もらえた、ならお前がまた犠牲になるか? そのほうが手っ取り早いよな?」
「…………」
どうしたらこの場から逃げられるか、瑠那さんは全身ガタガタと震え耳を塞いでいた。
「お前がいるから瑠那だって怖がってるんだぞ、分からないのか?」
聞きたくない、でもじわじわと神経をむしばっていく声と僕の中にある不安が一緒に混ざり合ってもうあの場所に戻らないといけないんだと思い知らされる。
この幸せだった3年間はきっと神様がくれたご褒美だったのかもしれない。
戻らないと、、、。
僕のせいでみんなに迷惑をかけてしまう。
「琉架」
僕はまたこの男の元に行く、帰るんだ。
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