【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん

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第148話 広場へ備えて

薬師局の診療所には、いつになく慌ただしい空気が流れていた。
 王都広場での公開治療――それは民衆の前で真実を示す決戦の場となる。
 準備は一刻の猶予も許されなかった。

◇ ◇ ◇

 ティノは机に文書を広げ、淡々と声を上げる。
「広場の中央に診療用の台を設置する。周囲には記録用の書記を配置し、治療の工程を逐一記録する。……医師団との整合性も確認しておこう」

 その姿にシエラが半ば呆れ顔で笑う。
「さすがティノ、段取りが細かすぎるよ。でも、こういうとき頼りになるんだよね」

◇ ◇ ◇

 ミリアは香薬の調合机に座り込み、黙々と手を動かしていた。
 瓶から立ちのぼる甘い香りが室内に広がる。
「群衆の緊張を和らげる香薬と、患者の呼吸を助ける吸入薬……。どちらも必須」

 レイナはその横に腰を下ろし、薬草の束を仕分ける。
「病を示すサンプルも必要だね。正しく調合すれば“作られた病”だと証明できる」

◇ ◇ ◇

 ガンじいは火加減を確かめながら、保存用の薬を煮詰めていた。
「広場じゃ保存が効かんからのう。瓶詰めは早めに仕上げておかんと」

 背中を丸めながらも、その手際は老練そのものだった。

◇ ◇ ◇

 一方、シエラとミリーナは荷車の前で汗を流していた。
「これ全部広場に運ぶの!? 重いよ!」
 シエラが薬箱を抱えながら声を上げる。

 ミリーナは苦笑しつつ矢筒を背負い直した。
「だからあたしがいるんでしょ。荷物の警護は任せて。敵が襲ってきても撃ち落としてみせるから」

◇ ◇ ◇

 やがて全ての準備が整い、仲間たちは顔を見合わせる。
 レイナが深く息を吸い、静かに告げた。
「明日――王都の広場で、すべてを示そう」

 その瞳は決意の光に燃えていた。
 仲間たちもまた、頷き返す。

 ――薬師局とセリオス派の真実をめぐる戦いは、いよいよ王都の中心で幕を開けようとしていた。
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