【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん

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第149話 広場に集う視線

朝の王都広場は、すでに群衆で埋め尽くされていた。
 露店が並ぶ市場の喧騒とは違う、張り詰めた空気。
 「薬師局が罪人か、それとも救世主か」――人々はその真実を知ろうと、息をひそめて見守っていた。

◇ ◇ ◇

 壇上に設けられた台の上に、レイナと仲間たちが立った。
 ティノが手元の記録紙を整え、周囲の書記や医師団の補佐役と段取りを確認している。
 ミリアが香薬の瓶を開け、広場にほのかな香りを漂わせていく。
 群衆の緊張が、わずかに和らいでいくのが分かった。

 シエラとミリーナは荷車の横に立ち、人混みを鋭く見張っていた。
 その手はいつでも武器を取れるように準備されている。

◇ ◇ ◇

 やがて、レイナの前に数人の患者が連れて来られた。
 咳に苦しむ者、歩けずに抱えられてきた者――王都の外れで密かに広がっていた病の症状を示す人々だった。

 レイナは膝をつき、優しく声をかける。
「大丈夫。私たちが必ず治します」

 その声に、ざわめいていた広場が静まり返る。
 彼女の手が薬草を調合し、湯気を立てる煎じ薬を生み出していく。
 患者の口にそっと運ばれると、見る間に呼吸が楽になり、顔に血色が戻っていった。

「……治ってる……!」
 「奇跡だ!」
 群衆の間から歓声が広がる。

◇ ◇ ◇

 だが、その喜びの声に混じって、別の叫びが響いた。
「騙されるな! 奴らは病を撒いた張本人だ!」

 群衆の端に立つ男が声を張り上げる。
 その背後には、目立たぬ外套の一団――セリオス派の扇動者たちが控えていた。

 ティノが険しい目を向ける。
「……やはり来たか。奴らは広場そのものを混乱させるつもりだ」

 カイルが剣に手をかけ、低く呟く。
「俺たちの治療が広まる前に、潰す気だな」

◇ ◇ ◇

 レイナは立ち上がり、広場を見渡した。
「……だからこそ、正しく示さなきゃいけない。病は作られたもの――証拠はここにある!」

 彼女が掲げた瓶と記録の束に、群衆の視線が一斉に集まる。
 だが同時に、扇動者の影がじりじりと前へ迫っていた。

 ――公開治療は、希望と陰謀のせめぎ合いの場となろうとしていた。
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