【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん

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第150話 真実を掲げて

王都広場。
 群衆の歓声と、不安を煽る叫びが交錯し、熱気と混乱が渦を巻いていた。

「騙されるな! 奴らこそ病をばらまいた張本人だ!」
 セリオス派の扇動者たちが口々に叫び、群衆の一部がざわつく。

「でも……治ってるんだぞ」
「本当に罪人なら、どうして命を救う?」
 人々の心は揺れていた。

◇ ◇ ◇

 レイナは壇上で一歩前に出る。
 その両手には、奪還した小瓶と調合記録の束。
 声を震わせぬよう、強い眼差しで群衆を見渡した。

「皆さん。ここにあるのは“病を人工的に作り出した痕跡”です。
 薬師局は、病を治すことしかしていません。どうか、真実を見てください!」

 その声は広場に響き、人々の視線が一斉に瓶と書類へと注がれた。

◇ ◇ ◇

 扇動者のひとりが前に出て叫ぶ。
「そんなもの、捏造だ! 奴らが勝手に作った薬にすぎん!」

 すかさず、ティノが記録紙を掲げ、冷静に言葉を返す。
「この配合記録は、医師団の調合式と一致している。
 しかも病原を培養した痕跡は、自然界には存在しない手法だ。――数字と記録は、嘘をつかない」

◇ ◇ ◇

 なおも騒ぎ立てる扇動者たちの前に、治療を受けた患者が立ち上がった。
 「俺は……確かに救われた! 薬師局がいなければ、今も病に苦しんでいた!」
 「子どもを助けてもらったんだ! あれが嘘のはずない!」

 次々と患者たちが声を上げ、広場に響いていく。

◇ ◇ ◇

 ミリアが香薬を掲げ、香りを広場へと広げた。
 穏やかな香気が群衆の心を落ち着け、不安に飲まれかけていた空気を和らげていく。

 ガンじいが杖を突き、堂々と声を張り上げた。
「薬師とは命を救う者じゃ! わしらが広場で示しておるのは、その一点だけよ!」

◇ ◇ ◇

 群衆の声はやがて扇動を上回り、広場全体を包み込んだ。
 「薬師局を信じる!」
 「レイナ局長に任せよう!」

 その波の中で、セリオス派の扇動者たちは顔を歪め、後退していく。

◇ ◇ ◇

 レイナは胸の奥で小さく息を吐いた。
(……これが、みんなの力。真実を守るために必要な声なんだ)

 広場を包む声は、もはや一つになっていた。
 それは薬師局が王都に認められる瞬間でもあった。

 ――だが、陰で動くセリオス派が完全に退いたわけではない。
 新たな嵐が、すでに迫っていた。
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