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第13.5話 静かなる香り、そして眼鏡越しのまなざし
――ミリア視点
マリエンヌという人は、冷たいようで、どこか澄んだ香りがした。
あの白衣、清潔に整えられた髪、視線の奥にある熱――
そのすべてが、わたしの中で静かに響いていた。
香料棚を見られた時は、少しだけ緊張した。
でも彼女は、何も言わずに香瓶に指を沿わせ、しばらく目を閉じていた。
「……この制御精度は驚きです」
その一言が、胸の奥にぽっと灯った。
わたしの作る薬は、香りで治す薬。
香りは、空気と人の感情のあいだにある“ゆらぎ”を伝えるもの。
だから、見えないし、記録に残りづらい。
でも、彼女には伝わった。
レイナ局長と出会ってから、ずっと目指してきた“誰かに届く香り”が、ほんの少しだけ。
(……もっと、作れる気がする)
レイナ局長と、マリエンヌ医師。
医学と薬草術。
香りの架け橋は、たぶんわたしにしかできないものかもしれない。
静かに、でも確かに、心が前を向いた。
――ティノ視点
「君の薬が、君たちのやり方が、ちゃんとここにある。それが、不思議としっくり来る」
そう言った時、彼女は笑った。
草のように静かで、でも太陽のようにあたたかい笑顔だった。
(……ああ、まただ)
気づけば目で追っている。
論理よりも感覚を信じる、不思議な少女――いや、もう少女ではない。局長として、人の命を救う存在。
マリエンヌ医師の来訪は、驚きだった。
中央医師団の若きエース。
噂は聞いていたが、実物は想像以上に“切れる”人物だった。
だが、彼女とレイナが言葉を交わすうちに、不思議な調和が生まれていた。
異なる理論、異なる常識。けれど、交わることで新しい何かが生まれそうな気配。
(君は……やっぱり、ただの薬師じゃない)
王族であるとか、奇跡の薬だとか、そんなことよりも。
“人を救いたい”という想いが、君のすべてを動かしている。
――だから、僕は君を信じている。
感情に名前をつけるのは、まだ早い。
でも、手伝いたいと思う。その未来を、隣で見ていたいと思う。
マリエンヌという人は、冷たいようで、どこか澄んだ香りがした。
あの白衣、清潔に整えられた髪、視線の奥にある熱――
そのすべてが、わたしの中で静かに響いていた。
香料棚を見られた時は、少しだけ緊張した。
でも彼女は、何も言わずに香瓶に指を沿わせ、しばらく目を閉じていた。
「……この制御精度は驚きです」
その一言が、胸の奥にぽっと灯った。
わたしの作る薬は、香りで治す薬。
香りは、空気と人の感情のあいだにある“ゆらぎ”を伝えるもの。
だから、見えないし、記録に残りづらい。
でも、彼女には伝わった。
レイナ局長と出会ってから、ずっと目指してきた“誰かに届く香り”が、ほんの少しだけ。
(……もっと、作れる気がする)
レイナ局長と、マリエンヌ医師。
医学と薬草術。
香りの架け橋は、たぶんわたしにしかできないものかもしれない。
静かに、でも確かに、心が前を向いた。
――ティノ視点
「君の薬が、君たちのやり方が、ちゃんとここにある。それが、不思議としっくり来る」
そう言った時、彼女は笑った。
草のように静かで、でも太陽のようにあたたかい笑顔だった。
(……ああ、まただ)
気づけば目で追っている。
論理よりも感覚を信じる、不思議な少女――いや、もう少女ではない。局長として、人の命を救う存在。
マリエンヌ医師の来訪は、驚きだった。
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噂は聞いていたが、実物は想像以上に“切れる”人物だった。
だが、彼女とレイナが言葉を交わすうちに、不思議な調和が生まれていた。
異なる理論、異なる常識。けれど、交わることで新しい何かが生まれそうな気配。
(君は……やっぱり、ただの薬師じゃない)
王族であるとか、奇跡の薬だとか、そんなことよりも。
“人を救いたい”という想いが、君のすべてを動かしている。
――だから、僕は君を信じている。
感情に名前をつけるのは、まだ早い。
でも、手伝いたいと思う。その未来を、隣で見ていたいと思う。
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