セーラーキャプチャー

o2ca

文字の大きさ
11 / 29

過去の恥辱が追いかけて来た

しおりを挟む
前回のブラックウルフの大集団に関しては、調査中らしいが、現場は魔物の死体も残らない程のクレーターがあるだけで難航中…ただ、単一種といっても、あれだけの大集団など自然に集まる訳もなく、人為的な魔法なり、魔道具なりの影響があると『セーラーキャプチャー』の魔法職たちは見ている…街役場の魔獣対策課に文句を言いたいが、若輩揃いの新興クランとなると、戦力が整っていても信用がない…その上、女神様信仰の教会と第二王子の後ろ盾を得ている組織など、地方の役人集団にとっては煙たいだけの存在だろう…正直、その辺も分かっていたから、偉い人とは縁を結びたくなかったのだが、今更か…魔獣討伐以外の地域貢献を考えねば…‼

「我々もアイドルデビューするぞー‼」
 よし‼誰の案だ?
「我と、街の議員とやらぞ‼」
 そうか。お姫様と街の議員さんか…
「『マネージャー』‼いざ、愛らしい衣装で舞うのだ‼」
 あたしは舞いません‼他を当たって下さい‼それより、『セーラーキャプチャー』アイドル化計画を言い渡した議員を闇討ちするので、教えてください‼
「その様な理由では教えられんぞ?」
 あたしは目立ちたくないんですよ‼
「だが、他の連中では『萌え』が足りぬのだ」
 そんなモノ、あたしには要りません‼そして誰だ⁈姫様に『萌え』なんて教えたのは⁈
「第二王子ぞ?」
 …殴りに行きてぇ…あのイケメン…‼
「だが、我は衆人環視の下、恥じらいつつも懸命に舞うお主を見たいぞ?」
 やめて下さい。逆に、姫様があの様な衣装で、あの様な踊りを見せられますか?
「我は構わぬ‼人前に立つのは王族の務めでもある故な‼」
 生粋の王族なら耐えられるでしょうけど、あたしは平民ですよ?『マネージャー』と言うのは、単純に、『セーラーキャプチー』を纏める能力があるからで…
「我の目には纏められている様には見えんがの?」
 戦闘時の統率能力って意味です。日常生活まで面倒見ません。
「なるほど。だから、数人におちょくられておるのか」
 誰ですか?おちょくってんのは?
「いや。我の目で見て…と言う意味でだが…迫らんでくれ…ちょっと、コワいぞ…」
 …後日、姫様から聞き出した数人をぶん殴った…合議の上、謹慎を言い渡された…

「書類仕事が捗ったよ」
 『会計』さん。『プレジデント』さんにもやらせてください。
「あのコは外交向きでしょ?」
 …書類仕事も出来るんでしょ?その上、武術も魔法も天才的だって聞きますし…
「この世界に来る前も生徒会長だったしねぇ…」
 そう言えば、同じ学校でしたね?
「雲の上の存在で話もしたことはないよ…クラスだって一緒になった事ないし、中学だって一緒じゃなかったからね」
 …それでも、今は名前を覚えていないんですよねぇ…
「そうだねぇ…顔も容姿も声も仕草も覚えているのに、名前だけが浮かばない」
 …良いじゃないですか…今は仲良くなったんだし…
 …そんな事を語り合いながら、書類仕事を続けると、
「やだやだやだやだやだやだアアあああぁぁぁああ‼」
 お?『プレジデント』の駄々っ子が発動している。しかし、
「やじゃやじゃやじゃやじゃやじゃやじゃアアあああぁぁぁああ‼」
 ヤバい‼姫様まで駄々っ子モードだ‼そこに、事務所に駆け込んでくる足音。
「『マネージャー』‼これ着て、踊ってください‼」
『魔法使い』ちゃん、いきなりだな⁈そして、その『アルファベット三文字』グループだか、『坂道』系に似た衣装はなんだ⁈どこから出した⁈
「『召喚士』さんに出して貰いました‼それより、急いでください‼
 …聞きたくないけど、何が起きてるの…?
「『マネージャー』のプロデュースに二人が乗り出したんです‼」
 あのガキ共‼
「緊急事態だ‼行って‼」
 言われなくても‼
「ああ‼でも、穏便に…」
「それは無理っぽいですね」
 …走り出したあたしの背後で、二人がそんな事を語っていたとか…

 …そして、あたしは暴動発動中の二人の頭にゲンコツを落とし、沈静化させた…
 …現在、二人には板間に正座で反省してもらっている…頭にたんこぶ作って、ぐずっているが、ギャン泣きしていないのは、あたしの監視下にあるからだ…
…『プレジデント』は知っているよな?あたしが目立つのが苦手だって…
「いや、克服したかなぁ…と…」
「それに、克服するチャンスじゃろう?」
 克服しなくても、生きていけるんだよ。ってか、人前に立たずに生きていきたいんだよ。恥ずかしい格好なんてしたくねぇんだよ。
「恥ずかしいと思うから恥ずかしいんだよ‼」
「そうだ‼我らを見よ‼」
 う‼…坂道系のその衣装は確かに似合ってるけど…それはあたしには似合わねぇよ‼あんたらみたいな永遠のロリと天然のロリだから似合うんだよ…‼
「え~?そんな事ないよ~?」
「着てみるがよいぞぉ?」
「色々なストレスが発散されるぞぉ」
「一時、遊んでおっても、誰も文句は言わぬぞぉ」
「カラオケなんて、しばらくやってないだろぉ?」
「歌は気晴らしに良いぞぉ?」
…くぅっ‼チューチュー〇レイン的なローリングで、催眠術掛けやがって…‼…ってか、誰が正座を解けと言ったぁ…‼
「硬い事、言うなよおぉ…」
「ゆるゆるいたそうぞおぉ…」
 …ま、負けるかぁあぁ……‼

 え~…語りト書きを『会計』に変えます…
「中々、粘りますねぇ…さすが、我らが『マネージャー』です」
 あれは意固地になってるだけだよ、『魔法使い』ちゃん。とは言え、ロリコンビも必死だ。ここで諦めたら、ゲンコツが飛んで来る。
「それにしても、何で、そこまで、人前に出るのを嫌がっているんですか?」
 …『マネージャー』の顔、見憶えない?
「…あ‼すごく整った顔だなぁ…とは思ってたけど…」
 忘れてね。あのコに怒られるから。
「…は、ハイ…」
 納得してくれて、有難いわ…
「あ、墜ちましたね」
 身体の力は抜けているのに、顔は怒りに満ちているな。
「あれは責任感なのでしょうか?」
 どうだろうなぁ…とりあえず、他の連中は『マネージャー』の指示を継続‼
「了解‼」
 …『魔法使い』ちゃんを見送って、あたしも書類整理に戻る…

「中々、粘られましたな」
 …とは言え、これで、こやつも我らの僕ですぞ…姫様…
 あ、語りト書きは、あたし、『プレジデント』に交代…
「それにしても、本当に良かったのかの?」
 今更ですぞ。まぁ、後で叱られるでしょうが。
「ははは‼左様であるな‼」
 さて、ブラックウルフの件はどこまで進展しておりますか?
「あまり進んでおらぬな。だが、どうやら、我ら『魔族』関係の仕業だの」
 そっちかぁ…魔力の残滓でもありましたか?
「それもフェイクであるかも知れんが、濃厚な線ではあるな」
 まったく、いざこざをこちら方面に持って来るのは、やめて欲しいですな‼
「それを払い除けるだけの能力はあるであろうよ」
 力があるのも困りモノですよ。
「力がある事から目を逸らす為の、『マネージャー』殿のアイドル活動かえ?」
 ストレス発散の一環ですよ。あのままでは潰れてしまう。
「それは見て分かるがの…何も、あそこまで嫌がる事をさせんでも…」
 あのコは、昔、芸能活動に身を入れておりまして…
「やはり、芸に身を置いておった者か…雰囲気が洗練されておったわ」
 …とは言え、あたし達が拉致される一年前に、アイドルグループを辞めたけど…
「その様な者を芸能の道に戻すのか?」
 芸能が楽しかった時代に記憶も気持ちも戻してます。ウキウキで、踊り狂いますよ。
「それは楽しみだの‼」

…語りト書きは、『マネージャー』に戻ります…
「みんな~‼げんきぃ⁈」
 …サイリウムもどきの光の波…あたしのコールにファンのアンサーが会場に響く。
「じゃあ、次の曲、いっくよ~‼」
 待ちわびるファンの声に負けない声で、あたしは歌う…
 …数日後、あたしはアイドルソングを踊り歌っていた…場所は、街の公会堂で、会場は満員御礼の三千人。熱狂は三日続き、四日目に暗示が解けた…とりあえず、チケットが捌けている分はやらにゃならんと要請され、恥ずかしさを押し殺し、やった…やり切ってやった‼終わったら、三日間、引き篭もった‼
 …とは言え、懐かしい夢を見ていた気分だった…
 …ある意味、あたしはこの世界に拉致されて良かったと思っている…正直、あたしの知らない世界であたしを知らない人々と冒険する事に期待していた…何人かはあたしの事を知っている人もいたが、気を使ってくれている事にすごく感謝もしているけど、申し訳ない気持ちの方がやはり強く感じてしまう…まぁ、今は感謝かな?

 とりあえず、いつまでも引き篭もってもいられないので、さっさと、『プレジデント』と姫様を力尽くで𠮟り付けたいと思う。ガキ共‼何処だあああぁぁあ‼
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界配信〜幼馴染みに捨てられた俺を導く神々の声(視聴者)

葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。 だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。 突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。 これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~

たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。 たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。 薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。 仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。 剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。 ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派
ファンタジー
 勇者と魔王の戦いの舞台となっていた、"ルクガイア王国"  その戦いは多くの犠牲を払った激戦の末に勇者達、人類の勝利となった。  そんなところに現れた一人の中年男性。  記憶もなく、魔力もゼロ。  自分の名前も分からないおっさんとその仲間たちが織り成すファンタジー……っぽい物語。  記憶喪失だが、腕っぷしだけは強い中年主人公。同じく魔力ゼロとなってしまった元魔法使い。時々訪れる恋模様。やたらと癖の強い盗賊団を始めとする人々と紡がれる絆。  その先に待っているのは"失われた過去"か、"新たなる未来"か。 ◆◆◆  元々は私が昔に自作ゲームのシナリオとして考えていたものを文章に起こしたものです。  小説完全初心者ですが、よろしくお願いします。 ※なお、この物語に出てくる格闘用語についてはあくまでフィクションです。 表紙画像は草食動物様に作成していただきました。この場を借りて感謝いたします。

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

とある執事の日常 ~お嬢様の中身は恐らくギャル~

冬兎
ファンタジー
うちのお嬢様は絶対におかしい。 「道路やばくない? 整備しよ」 「孤児院とか作ったら?」 「困ってる人助けるのなんか当たり前っしょ」 貴族令嬢らしからぬ口調で突拍子もない提案を次々とぶつけてくるお嬢様、レティシア・リオネール。執事の俺、クラウスは今日も彼女の無茶振りに振り回される。 不思議なことに、お嬢様の理想論は必ず実現し効果を発揮する。 孤児院は完成し、医療制度は整い、領地は驚異的に発展していく。 元勇者の伯爵様、脳筋騎士団長、くのいちメイド長、双子の妹たち―― 濃すぎる面々に囲まれながら、俺は今日もお嬢様の思いつきを形にしていく。 気づけば、振り回されることに悦びを感じ始めている俺はもう手遅れかもしれない。 R8.1.20 投稿開始

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...