8 / 48
『賢者の石』とファイナルシャウト
しおりを挟む
「ここに私の離宮を築くぞ」
第二王子、ご乱心‼王都に帰るんじゃないのかよ‼ほら、お付きの方々が…あんまり慌ててないな…良くある事?…我が儘言ってんじゃねぇよ‼とっとと帰れよ‼
「離宮と言っても常駐する訳じゃないぞ」
あ、そうなんですね…じゃなくて‼とっとと帰れ‼
離宮建設に伴い、生産組が駆り出される事となった…と言っても、現状,『調理師』の二人だけで、他は工房で頑張っている…『錬金術師』ちゃんが寂しがってるかな…?
「余ってる食材で『賢者の石』作りました‼」
…ジャガイモと人参と玉ねぎと豚肉で…?
「あと、水と食用油と小麦粉も使いました‼」
…ほぼカレーの材料で?
「あと、コリアンダー、クミン、ターメリック…」
…カレーに使うスパイスだね。
「調合比率と合成用の魔力がモノを言うんですよ‼」
…で、出来上がったのが、これ?
「炊いた米と一緒じゃないと、『賢者の石』にならないのがネックなんですけどねぇ…」
うん。カレーライスだね。見た目も匂いも…
「冷めても美味しく頂けますよ?」
食べるんだね?やっぱり…
「経口補給で魔法の深淵に至れるんですよ?スゴくないですか?」
何だろう…他の錬金業者の皆様方に謝った方が良いような偉業だよ?
「ありがとうございます」
褒めてないよ。
第二王子の護衛を兼ねて『外回り組』が王都に向かった。第二王子がこちらに来る時もやったけど、もう一度王都までの進路を掃除した上で、王子一行外周部の護衛を担当するとの事…魔獣・魔物関係は、あまり深追いしない様に…盗賊・刺客・謀反人は容赦しない様に…と、一応の釘は刺しておく…そう言えば、工房の前にダ〇ラム、放置して行きやがった…必要な事態が来たらどうするつもりだ?…ああ、『ゴーレムマスター』が一から造るのね?今度は別の作品になるだろうと…だったらせめて『アー〇ード・トルー〇ー』サイズにしなさい…『コン〇ット・〇ーマー』サイズは大き過ぎるから…
さて、あたし達『セーラーキャプチャー』の事務組の何人かが討伐任務に就くことになった。時期的に魔物・魔獣の出現率が高くなるらしく、攻略組の手が廻らなくなったのだ。これは、あたし達が拠点にしている小都市の周辺村落も同様で、現在、討伐内容の確認の為に村落の代表の家にいる…地域信仰ってあるからね。一般的には魔物・魔獣でもその地域では神聖化してる場合もあるし、周辺の村落に悪影響が出ていないなら、無理に討伐する理由もない訳で…勿論、該当村落が困窮していなければ…って前提はあるけど…
「奴らを滅ぼして下され‼」
いきなり物騒な発言をする村長は鬼気迫る迫力で訴えて来た。あ、ちなみに今回のパーティリーダーはあたし『マネージャー』です…『プレジデント』さんもいるんだけどね‼
彼の言い分では、こちらに迫って来る魔物の群れは、種族的に彼等には受け入れ難い存在らしい…野蛮で卑劣な単一種族って考えしかない様だ…ゴブリン族的には…
うん。彼等はあたし達のいる国では市民権を持っている。勿論、他の国では認めていない場合もある。ただ、女神の教えの中に、いわゆる知能を持った『人型の魔物』を差別する事を禁じている内容もあるらしく、ゴブリン以外に、オーク、オーガ、コボルド…果てはドラゴンまで、申請すれば市民権を得られるとの事。この辺は汎ヒト族と交配可能かどうかの問題はあるようだけど…その他、市民権獲得の条件として、同一種族との交配が可能か?と言う条件もある。種族によっては単一の性別しか誕生しない事もある為、その辺りはシビアな面もあったりするし、別性別が誕生可能であっても、一部のゴブリン種やオーク種に見られる、ヒト攫い行為が種族の伝統と言い張る集団もあったりする…
…で、このゴブリン村長が危惧しているのは隣のコボルド集落の人口増加である…
…コボルドとゴブリン…ファンタジー世界では定番のザコ種族…なのか?
実は、先に隣のコボルド村に行って、同じ内容でゴブリン村を滅ぼしてくれと懇願されたのだが、まさか、同じ希望だったとは…
「『マネージャー』、ちょっと…」
村長以外の村人の事情聴取を終えた『会計』さんが手招きする。
「何か?」
『プレジデント』さんに話相手を交代しつつ、あたしは『会計』さんの元に…
「いや、どうも、村長同士の仲が悪いんだよねぇ」
…二人に聞かれない距離で『会計』さんが語り出す…
何でも、事あるごとに彼らは張り合う関係らしく、今回話題の村民の人口数から、狩猟成果を含む食物収量、危険な魔物の討伐数、旅客宿泊数、特産品の企画・製造・販売、標準語の識字率から国の奉税額まで…その辺りは両村民が辟易しているらしい…
「向こうの村で話、聞けたの?」
「いや、前回の訪問調査が、向こう側だったから」
実際、今季、あたし達が駆り出されるのは、今回で四回目で、コボルド集落の担当も彼女だったらしい。
「…どうする…?」
…どうすると言われても…彼らは正式な国民だし、出来れば仲良くしてほしいし…
…元の世界でも、民族の違い以外に、主義主張の違いだけで戦争始める事もあるし、まして、種族が違えば、思想も習慣も違う訳で…どちらが上とか下とかは…まあ、種族的な優位性をお互いに張り合うってのは…逆に、平和だからなのかねぇ…
「共通の敵がいれば、手を取り合うと?」
共通の敵が消えたら、ふりだしじゃん…まぁ、思想的には分からなくないけど…
「何なら、あたし達が脅威になってあげる?」
止めてよ‼ただでさえ、あたし達、異界の存在って事で警戒されてんだから‼
「やぁやぁ。解決案を受けてもらったよ‼」
え?『プレジデント』さん、何言ったの?
「簡単な内容だし、上手く行けば恒例行事になるかもよ‼」
…良い笑顔でVサインだ…そして、不安でしかない…
…数日後…
「青コーナー‼ゴブリン族代表‼ゴブリンA~‼」
歓声の中、登場する筋骨隆々の巨躯のゴブリンと
「赤コーナー‼コボルド代表‼コボルドC~‼」
同程度の歓声と共に、同程度の体格のコボルドが登場。
場所はあたし達が特別に原野を切り開いたちょっとした広場。陸上競技の二百メートルトラックが入る程度の大きさで、中央にはリングが設置。周囲には観客と屋台…あ、あの焼きそば美味しそう。あとで作ってもらお‼
リングの上に立った二人の巨漢は…正直、戸惑っている…
「やれ‼叩き潰せ‼」
「容赦するな‼」
…はっきり言って、ヒートアップしているのはお互いの村長だけで、仕方なく両種族が歓声を挙げている状態だ…茶番感がハンパない…
何が起ころうとしているか?と言おうと、両種族代表のボクシング対決。グローブを着用された両種族代表がリング中央に向かい、レフリーのあたしが、最低限のルールを二人に伝える…一旦、お互いのコーナーに戻って、セコンドである各村長の檄を受ける二人…
「ん?」
「お?」
と、リング上の二人が、セコンドの二人を首根っこ捕まえて、リングに上げ、
「ファイ‼」
ゴング一発‼あたしは手を素早く交差させる仕草で二人に開戦を告げる。
「おい‼ちょっと待て‼」
「なんの真似だ⁈」
あたしに詰め寄る二人。まぁ、当然の反応だろうな…
「これは両選手からのお願いです」
溜め息一つで、大きく息を吸い込み、
「決着付けるなら、てめぇらだけでやれ‼」
一喝を叩きつける‼
そんなあたしの喝にこれまで以上の歓声が沸き起こり、
「ファイ‼」
あたしの声に、仕切り直しのゴング‼さらなる歓声が上がる‼
うん。今回の対決、あらかじめ、AさんとCさんから相談されていたのだ。曰く、そんなにお互いが気に入らないなら、村長同士で闘り合うべきだ‼と懇願して来たのだ。何でも、二人は穏健的平和主義者な上に、農耕愛好者。戦う事は超苦手で異種族どころか同族とも喧嘩した事もないチキンハートの持ち主らしい。ちなみに、あの巨躯は隔世遺伝との事。伝え聞く所によると、そのご先祖様も穏やかな性格だったとか…
正直、良かった‼アレが暴れたら、あたしじゃ抑えられない‼
そして、現実に目を向けると、やる気マンマンの村長二人…
「まさか、この拳で貴様を下す事になるとはな…‼」
ゴブリン村長がジャブを繰り出す中、
「何だ?おまえ、俺に勝とうなどと思っていたのか?」
軽いフットワークで、コボルド村長が拳を払う。
…なんか、フツーにボクシングの試合になってる感じだ…
試合の流れは、序盤はコボ村長のフットワークを生かしたアウトファイトに対し、ゴブ村長が機を見たインファイトに持ち込もうとする展開…三分間の感覚が身体に刻まれている様でラッシュを何度か逃れている。その内、ラッシュを避ける為のクリンチが多くなり、ノックアウト系ではない玄人好みの試合巧者同士の試合展開を見せる。
まぁ、はっきり言って、見ていて面白くない。更に言えば、誰もポイントなんて取ってねぇぞ‼あんたら、気付いてんのか?ってか、皆、出店の方に夢中だよ‼誰もボクシングなんて観てねぇよ‼ほら、マッチョな二人もほんわかオーラ全開で語り合っているよ‼あたしもいい加減、あんたらのクリンチ解くのイヤになってんだよ‼
そんなこんなで最終ラウンド…ここで倒れなかったらどうするんだろう?二人共、立っているのがやっとな状態…いや、演技だな…こいつら…この後、一発当てる振りしてクリンチする動き…分かるぞ…そもそものファイティングスタイルが消極的だ…
あ、何かムカついて来た…拳を交えて芽生えた友情と言うより、べったりクリンチの協議談合が見えて来るぞ…神聖なリングの上で何やってんだ⁈こいつら‼
「そんなお前ら、しゅーせーしてやるうううぅぅぅう‼」
目の前の茶番と、粉モン&ソースの焦げた臭いと、イライラ交じりの空腹が、あたしの拳を村長共の顔面にめり込ませ、『会計』さんのカウントが十回…終了‼
「え~ど〇あ~ん‼」
足元に沈む村長を前に、あたしは拳を突き上げ叫んだ…やっちまった…
第二王子、ご乱心‼王都に帰るんじゃないのかよ‼ほら、お付きの方々が…あんまり慌ててないな…良くある事?…我が儘言ってんじゃねぇよ‼とっとと帰れよ‼
「離宮と言っても常駐する訳じゃないぞ」
あ、そうなんですね…じゃなくて‼とっとと帰れ‼
離宮建設に伴い、生産組が駆り出される事となった…と言っても、現状,『調理師』の二人だけで、他は工房で頑張っている…『錬金術師』ちゃんが寂しがってるかな…?
「余ってる食材で『賢者の石』作りました‼」
…ジャガイモと人参と玉ねぎと豚肉で…?
「あと、水と食用油と小麦粉も使いました‼」
…ほぼカレーの材料で?
「あと、コリアンダー、クミン、ターメリック…」
…カレーに使うスパイスだね。
「調合比率と合成用の魔力がモノを言うんですよ‼」
…で、出来上がったのが、これ?
「炊いた米と一緒じゃないと、『賢者の石』にならないのがネックなんですけどねぇ…」
うん。カレーライスだね。見た目も匂いも…
「冷めても美味しく頂けますよ?」
食べるんだね?やっぱり…
「経口補給で魔法の深淵に至れるんですよ?スゴくないですか?」
何だろう…他の錬金業者の皆様方に謝った方が良いような偉業だよ?
「ありがとうございます」
褒めてないよ。
第二王子の護衛を兼ねて『外回り組』が王都に向かった。第二王子がこちらに来る時もやったけど、もう一度王都までの進路を掃除した上で、王子一行外周部の護衛を担当するとの事…魔獣・魔物関係は、あまり深追いしない様に…盗賊・刺客・謀反人は容赦しない様に…と、一応の釘は刺しておく…そう言えば、工房の前にダ〇ラム、放置して行きやがった…必要な事態が来たらどうするつもりだ?…ああ、『ゴーレムマスター』が一から造るのね?今度は別の作品になるだろうと…だったらせめて『アー〇ード・トルー〇ー』サイズにしなさい…『コン〇ット・〇ーマー』サイズは大き過ぎるから…
さて、あたし達『セーラーキャプチャー』の事務組の何人かが討伐任務に就くことになった。時期的に魔物・魔獣の出現率が高くなるらしく、攻略組の手が廻らなくなったのだ。これは、あたし達が拠点にしている小都市の周辺村落も同様で、現在、討伐内容の確認の為に村落の代表の家にいる…地域信仰ってあるからね。一般的には魔物・魔獣でもその地域では神聖化してる場合もあるし、周辺の村落に悪影響が出ていないなら、無理に討伐する理由もない訳で…勿論、該当村落が困窮していなければ…って前提はあるけど…
「奴らを滅ぼして下され‼」
いきなり物騒な発言をする村長は鬼気迫る迫力で訴えて来た。あ、ちなみに今回のパーティリーダーはあたし『マネージャー』です…『プレジデント』さんもいるんだけどね‼
彼の言い分では、こちらに迫って来る魔物の群れは、種族的に彼等には受け入れ難い存在らしい…野蛮で卑劣な単一種族って考えしかない様だ…ゴブリン族的には…
うん。彼等はあたし達のいる国では市民権を持っている。勿論、他の国では認めていない場合もある。ただ、女神の教えの中に、いわゆる知能を持った『人型の魔物』を差別する事を禁じている内容もあるらしく、ゴブリン以外に、オーク、オーガ、コボルド…果てはドラゴンまで、申請すれば市民権を得られるとの事。この辺は汎ヒト族と交配可能かどうかの問題はあるようだけど…その他、市民権獲得の条件として、同一種族との交配が可能か?と言う条件もある。種族によっては単一の性別しか誕生しない事もある為、その辺りはシビアな面もあったりするし、別性別が誕生可能であっても、一部のゴブリン種やオーク種に見られる、ヒト攫い行為が種族の伝統と言い張る集団もあったりする…
…で、このゴブリン村長が危惧しているのは隣のコボルド集落の人口増加である…
…コボルドとゴブリン…ファンタジー世界では定番のザコ種族…なのか?
実は、先に隣のコボルド村に行って、同じ内容でゴブリン村を滅ぼしてくれと懇願されたのだが、まさか、同じ希望だったとは…
「『マネージャー』、ちょっと…」
村長以外の村人の事情聴取を終えた『会計』さんが手招きする。
「何か?」
『プレジデント』さんに話相手を交代しつつ、あたしは『会計』さんの元に…
「いや、どうも、村長同士の仲が悪いんだよねぇ」
…二人に聞かれない距離で『会計』さんが語り出す…
何でも、事あるごとに彼らは張り合う関係らしく、今回話題の村民の人口数から、狩猟成果を含む食物収量、危険な魔物の討伐数、旅客宿泊数、特産品の企画・製造・販売、標準語の識字率から国の奉税額まで…その辺りは両村民が辟易しているらしい…
「向こうの村で話、聞けたの?」
「いや、前回の訪問調査が、向こう側だったから」
実際、今季、あたし達が駆り出されるのは、今回で四回目で、コボルド集落の担当も彼女だったらしい。
「…どうする…?」
…どうすると言われても…彼らは正式な国民だし、出来れば仲良くしてほしいし…
…元の世界でも、民族の違い以外に、主義主張の違いだけで戦争始める事もあるし、まして、種族が違えば、思想も習慣も違う訳で…どちらが上とか下とかは…まあ、種族的な優位性をお互いに張り合うってのは…逆に、平和だからなのかねぇ…
「共通の敵がいれば、手を取り合うと?」
共通の敵が消えたら、ふりだしじゃん…まぁ、思想的には分からなくないけど…
「何なら、あたし達が脅威になってあげる?」
止めてよ‼ただでさえ、あたし達、異界の存在って事で警戒されてんだから‼
「やぁやぁ。解決案を受けてもらったよ‼」
え?『プレジデント』さん、何言ったの?
「簡単な内容だし、上手く行けば恒例行事になるかもよ‼」
…良い笑顔でVサインだ…そして、不安でしかない…
…数日後…
「青コーナー‼ゴブリン族代表‼ゴブリンA~‼」
歓声の中、登場する筋骨隆々の巨躯のゴブリンと
「赤コーナー‼コボルド代表‼コボルドC~‼」
同程度の歓声と共に、同程度の体格のコボルドが登場。
場所はあたし達が特別に原野を切り開いたちょっとした広場。陸上競技の二百メートルトラックが入る程度の大きさで、中央にはリングが設置。周囲には観客と屋台…あ、あの焼きそば美味しそう。あとで作ってもらお‼
リングの上に立った二人の巨漢は…正直、戸惑っている…
「やれ‼叩き潰せ‼」
「容赦するな‼」
…はっきり言って、ヒートアップしているのはお互いの村長だけで、仕方なく両種族が歓声を挙げている状態だ…茶番感がハンパない…
何が起ころうとしているか?と言おうと、両種族代表のボクシング対決。グローブを着用された両種族代表がリング中央に向かい、レフリーのあたしが、最低限のルールを二人に伝える…一旦、お互いのコーナーに戻って、セコンドである各村長の檄を受ける二人…
「ん?」
「お?」
と、リング上の二人が、セコンドの二人を首根っこ捕まえて、リングに上げ、
「ファイ‼」
ゴング一発‼あたしは手を素早く交差させる仕草で二人に開戦を告げる。
「おい‼ちょっと待て‼」
「なんの真似だ⁈」
あたしに詰め寄る二人。まぁ、当然の反応だろうな…
「これは両選手からのお願いです」
溜め息一つで、大きく息を吸い込み、
「決着付けるなら、てめぇらだけでやれ‼」
一喝を叩きつける‼
そんなあたしの喝にこれまで以上の歓声が沸き起こり、
「ファイ‼」
あたしの声に、仕切り直しのゴング‼さらなる歓声が上がる‼
うん。今回の対決、あらかじめ、AさんとCさんから相談されていたのだ。曰く、そんなにお互いが気に入らないなら、村長同士で闘り合うべきだ‼と懇願して来たのだ。何でも、二人は穏健的平和主義者な上に、農耕愛好者。戦う事は超苦手で異種族どころか同族とも喧嘩した事もないチキンハートの持ち主らしい。ちなみに、あの巨躯は隔世遺伝との事。伝え聞く所によると、そのご先祖様も穏やかな性格だったとか…
正直、良かった‼アレが暴れたら、あたしじゃ抑えられない‼
そして、現実に目を向けると、やる気マンマンの村長二人…
「まさか、この拳で貴様を下す事になるとはな…‼」
ゴブリン村長がジャブを繰り出す中、
「何だ?おまえ、俺に勝とうなどと思っていたのか?」
軽いフットワークで、コボルド村長が拳を払う。
…なんか、フツーにボクシングの試合になってる感じだ…
試合の流れは、序盤はコボ村長のフットワークを生かしたアウトファイトに対し、ゴブ村長が機を見たインファイトに持ち込もうとする展開…三分間の感覚が身体に刻まれている様でラッシュを何度か逃れている。その内、ラッシュを避ける為のクリンチが多くなり、ノックアウト系ではない玄人好みの試合巧者同士の試合展開を見せる。
まぁ、はっきり言って、見ていて面白くない。更に言えば、誰もポイントなんて取ってねぇぞ‼あんたら、気付いてんのか?ってか、皆、出店の方に夢中だよ‼誰もボクシングなんて観てねぇよ‼ほら、マッチョな二人もほんわかオーラ全開で語り合っているよ‼あたしもいい加減、あんたらのクリンチ解くのイヤになってんだよ‼
そんなこんなで最終ラウンド…ここで倒れなかったらどうするんだろう?二人共、立っているのがやっとな状態…いや、演技だな…こいつら…この後、一発当てる振りしてクリンチする動き…分かるぞ…そもそものファイティングスタイルが消極的だ…
あ、何かムカついて来た…拳を交えて芽生えた友情と言うより、べったりクリンチの協議談合が見えて来るぞ…神聖なリングの上で何やってんだ⁈こいつら‼
「そんなお前ら、しゅーせーしてやるうううぅぅぅう‼」
目の前の茶番と、粉モン&ソースの焦げた臭いと、イライラ交じりの空腹が、あたしの拳を村長共の顔面にめり込ませ、『会計』さんのカウントが十回…終了‼
「え~ど〇あ~ん‼」
足元に沈む村長を前に、あたしは拳を突き上げ叫んだ…やっちまった…
0
あなたにおすすめの小説
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
裁判を無効にせよ! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!
サイコちゃん
恋愛
十二歳の少女が男を殴って犯した……その裁判が、平民用の裁判所で始まった。被告はハリオット伯爵家の女中クララ。幼い彼女は、自分がハリオット伯爵に陥れられたことを知らない。裁判は被告に証言が許されないまま進み、クララは絞首刑を言い渡される。彼女が恐怖のあまり泣き出したその時、裁判所に美しき紳士と美少年が飛び込んできた。
「裁判を無効にせよ! 被告クララは八年前に失踪した私の娘だ! 真の名前はクラリッサ・エーメナー・ユクル! クラリッサは紛れもないユクル公爵家の嫡女であり、王家の血を引く者である! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!」
飛び込んできたのは、クラリッサの父であるユクル公爵と婚約者である第二王子サイラスであった。王家と公爵家を敵に回したハリオット伯爵家は、やがて破滅へ向かう――
※作中の裁判・法律・刑罰などは、歴史を参考にした架空のもの及び完全に架空のものです。
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
まさか私が王族の一員であることを知らずに、侮辱していた訳ではありませんよね?
木山楽斗
恋愛
王城の使用人であるメルフィナには、ある秘密があった。
彼女は国王の隠し子なのである。
その事実は、半ば公然の秘密となっていた。公にされたことは一度もないが、嗅覚に優れた者達はそれを察知していたのだ。
しかし中には、そうではない者達もいた。
その者達は、メルフィナを一介の使用人として考えて、彼らなりの扱い方をした。
それは許されるものではなかった。知らぬうちに王家に牙を向けた者達は、その行為の報いを受けることになったのだ。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】前提が間違っています
蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった
【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた
【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた
彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語
※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。
ご注意ください
読んでくださって誠に有難うございます。
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる