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王子と王子夫人候補達の事情
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…ギルドからの調査団が到着したのは一時間後、今回は幸いにして、専属の護衛付きで来てくれた。何でもルートの開拓速度上昇を願っているらしい。その理由として、他のクランが新ルートを見付けられず、早々にリタイアしているから。まぁ、ギルドの調査職員付きの護衛がリタイアした冒険者パーティって事で頷けるが…
「じゃあ、ここはお願いしますね?」
第一夫人候補が調査団に丁寧にお辞儀する。その横で、
「ああ?誰だ?俺のオンナに色目使うヤツぁ?」
王子様が威圧する…いや、あれじゃあ、ガラの悪いチンピラだよ…
…その後、ちょっとしたトラブルがあったが、当事者が問題なしと言うので触れないでおく…いや、単に、第一夫人候補の放った右ストレートが王子の顔面を捕らえ、王子をKOした程度だから…
我々は変わらず、北へ向かう様に指示を受けた。と言うか、これは当初のギルドからの指示で、新エリアを見付けても北に向かう様に‼と言われているのだ。まぁ、最初の越境の指示が発見済みの『薬草園』に向かう予定だったので、今回の件はイレギュラーなのだろう…正直に言おう…我々『セーラーキャプチャー』は国や領主、ギルド上層部向けの客寄せパンダ的存在なのだ…新ルート開拓の本気度を有力者に示す為に呼び集められただけ…だから、我々は本気出してルート開拓しなくとも良いのだ…むしろ、どこぞの国の王子様の護衛の側面が強いかも知れない…と言うのも、このどこぞの国の王子様御一行にこの国のお姫様がいるから…ちなみに、第二夫人候補がそのお姫様…豪奢なドレスに身を包みつつ、直径三十センチはある棘付き鉄球を頑丈な鎖の先端に付けて振り回しておられます…あ、そうそう、夫人候補以外をハーレム要員と言ってましたが、実際は夫人候補のお付きのご令嬢方で、各国の高位貴族に仕えていた低位貴族出身者が殆どらしい。戦場に出る機会の多い魔境周辺の領地出身者で構成されているらしく、夫人候補に何不自由ない環境で攻略を進めてもらう為のスペシャリスト。いわば、お姫様専属のグランピング要員。
そんな中でも、異質なのが第三夫人候補に仕える集団。彼女達は第三夫人候補である『聖女』様のお側仕えらしい。
『聖女』とはこの世界の神の代弁者…なのかな?…まぁ、『聖』属性魔法に長けた女性の中でも神に認められた者の総称との事。総称の名がある通り、唯一無二と言う訳ではなく、行使する『聖女』の奇蹟も人によって様々…治癒や治療の様な医療系に長けている方もいれば、悪霊や不死者、悪魔などの調伏に長けている場合もある。
第三夫人候補は後者…戦闘聖女に属するらしく、神敵系の討伐だけでなく、フツーに魔物の討伐も請け負うらしい。と言うのも、彼女、元は冒険者でバリバリの前衛切り込み隊長だったらしい。当時の得物はダガーで二刀流。超接近戦で容赦なく相手を切り刻む姿と整った容姿から『血の聖女』と呼ばれていたとか…転機が訪れたのは救援物資の受け渡しに立ち寄った教会で、神の祝福?を受けた事…?付きなのは祝福…と言うか、神からのお言葉の内容から…
「え?このコ?間違いじゃないの?…まぁ、そんな訳だ‼精進せぇよ‼」
教会の集会所の長椅子で、うとうとしてたら、そんな言葉が聞こえて来たらしい。いや、実際はイビキ掻いて、寝てたとか…
…で、その時、運が良いのか悪いのか、神官さんが神の加護の授惠者特有の光に包まれている彼女を発見。大至急、確認した所、『聖女』であると判明‼
「そっからは、怒濤の展開‼『血の聖女』が本物の聖女になったって、街やギルドは大騒ぎ‼今まで、あたしを蔑んでた教会の連中はへこへこし出すし、貴族教育?とか言うのをやらされるし、『聖』属性魔法の練習とかで、何書いてあるんだか訳分らん巻物…あ、経典か…そんなの読まされるし…あ、そうそう、『血の聖女』が本物になったって騒いでる連中の中でバカ笑いしてたヤツらはその場で鉄拳制裁してやったがな‼」
清楚な雰囲気を纏っていた深窓の令嬢が、ヤンキーのお姉ちゃんに変身しました。誰ですか?夕食にお酒を用意したのは?一応、ダンジョン攻略中ですよ?
「まぁまぁ。こういう機会がないと、彼女も吐き出せませんから」
第二夫人候補様。心情だけでなく、胃の中味まで吐かせようとしていませんか?
「それより、簡易陣地とは思えない居住性ですね」
『築城師』さんの拘りです。
そう。現状、我々は九つのエリアを縦断した所で夜のエリアに突入。夜間行動の危険性を考慮し、本日の行軍は終了‼となり、休憩と就寝の為に構築した防御陣地内の居住エリアの食堂で夕食を摂っている…『セーラーキャプチャー』の五人と王子一行の一人が見張りに立ってもらっているが、このエリアの魔物なら、陣地に仕掛けた罠を突破するモノはいないだろうと『識者』さんが回答してくれているが、用心しないよりはした方が安心度は高まる…いやね?実の所、無理して陣地形成する必要はなかったんですよ…だって、転移柱の近くだし…一旦戻って、翌日朝からの攻略でも良かったはずなのに、ギルドの人達が押し切ってきて…
あ、そうそう…今回、我々が入ったエリア、全部、新発見エリアでした…攻略速度と転移柱の近くに防御陣地を建てた事でもお分かり頂けるだろう…その度にギルドに連絡入れるのが大変と言うか…面倒臭いのだ…報告に人員を送るにしても、同じ者ばかりじゃ不公平‼って事で、じゃんけん大会が開かれたかと思うと、三回目からは「今度からは同じ人にしてくれないか?」とギルド側から懇願され、六回目から「ああ、今度からは二人で良いよ…クラン代表者一名ずつって事ね」と憐みの目線を向けられ、さっき戻ったら「…もう後で纏めて報告して…」と諦められた…うん、あれは諦めてた…この事情を何故知っているかと言うと、あたし『マネージアー』がじゃんけん大会で負けたからだよ‼
「この辺、夜しかないエリアとかじゃないよね?」
見回りから戻った『剣士』さんが聞いて来る。
…そうか…考えもしてなかったが極夜の可能性もあるのか…
「それは大丈夫‼植生が温暖地域のモノだったし、気候も寒くないでしょ?」
『錬金術師』ちゃん。異世界相手に向こうの世界の常識が通用すると思う?しかも、ここは異世界の中の異世界なんだから…
「その辺は時間が経過すれば分かるだろ…?」
…お気楽だなぁ…ちょっとは緊張感持とうよ…
ほら‼あそこの王子一行…第一王女候補様のお付きの方々の緊張感、凄いよ‼張り詰めてるよ‼あれぞ常在戦場の心得だよ‼
「いえ。これは王子の奇行に備えてです」
…あ…そうですか…で、その王子様は?
「…‼しまった‼者共‼王子が姿を暗ませた‼全力で捜索せよ‼」
「御意‼」
え⁈第一夫人候補のお付き様達の姿が消えた‼
「彼女達は、わたくし専属の護衛も務めておりますので」
あ、ああ…確か、お国では王家を超える最大勢力の公爵家のご長女だったと…
「…あれも、昔は大人しかったんですけどねぇ…」
…幼馴染の許嫁か…貴族としては避けられない運命でしょうか…
「良く二人だけで遊んだものです」
ああ、なんだか微笑ましい光景が…お庭を駆け回ったり、一緒におやつ食べたり、お昼寝したり、たまに市井に出向いて冒険したり、それを爺やとか、婆やに咎められたり…
「市井で流行している『お医者さんごっこ』なるモノで遊んでいた時は至福でしたわ」
…聞き間違いでしょうか…?…『お医者さんごっこ』と言いましたか?
「はい。わたくしが医師で王子が重症患者で」
え…と、聞きたくないんですけど、王子にはどのような処方を?
「そんなモノ、医師の行う、あらゆる治療を施して差し上げましたわ‼」
うわ‼本格的に聞きたくねぇ‼こっちの世界の医療行為ってどんな罰ゲームだよ‼
「特に座薬を処方する際の王子の声は耳から離れませんわ‼」
いきなり座薬の話かよ‼…ってか、それって、素人が施術して良いのかよ⁈
「筆頭侍従医に立ち会って頂きましたわ‼」
権力で大人を巻き込みやがった‼こえーよ‼公爵家令嬢‼
「…あまりに良い声で鳴かれるので、幾つ入るか、試してしまいました…」
…健全なヒトに治療効果のある座薬を処方するのはどうかと…
「そこは疑似座薬を公爵家お抱えの職人に秘密裏に作らせましたわ」
こっちはコネ以外に金の臭いがするな。
「実際には糞尿の臭いですが」
上手い事、言わないで下さい。その上、汚いです。食事時にする話ではありません。
「まぁ、当時の王子に十個詰め込む事には成功致しましたわ」
…あの…話の最中に親指を立てているのは何故ですか?
「これが平均的と言いましょうか」
分かりました。
「この位の太さの…あ、当時の太さでしたわ」
分かったから、その件はお終いにしてください‼
…話を聞く限り、どうも女の子苦手になったのって、あの第一夫人候補の影響だろう…まぁ、幼少期に良いオモチャにされたんだろうな…多分だけど、他にもいぢめられていたんだろうな…でも国内最大派閥のお嬢様だから王子と言えども逆らえなかったか…空気を読む能力はあったって事か…なんか、ちょっと同情する…
とは言え、行方不明状態はよろしくない‼最悪、外になんて出られたら色々と厄介だからな。もちろん、夜這い目的で陣地内に隠れられているのもイヤだけど…
「何やら、騒がしいが?」
あ、『忍者』さん。王子が見当たらないんです。
「ああ、王子なら『巫女』ちゃん達の部屋の天井に張り付いていたぞ」
聞きましたか⁈大至急向かって取り押さえて下さい‼
ものの数分で、王子は捕縛された…いわゆるミノムシ状態のグルグル巻きだ。
「おのれ…もう少しで、乙女の着替えが覗けると思ったのに…‼」
何です?その犯罪行為?王族でもやって良い事と悪い事があるんですよ?
「わたしに見初められると言う事は、最高の栄誉だ‼」
そんな栄誉も名誉も要りません‼覗きは立派な犯罪です‼
…とりあえず、今回のダンジョン探索、色々と問題があり過ぎる…
昼間の攻略は行き付く先が新エリアばっかりで情報がないし、夜間は夜間で、暴れ種馬をどうにかしないといかんし…
「いっそ、『DUNGEON』にでも放り込む?」
『築城師』さん、ナイスアイディア‼
「え?『ダンジョン』と聞こえたんですけど…ダンジョンの中にですか?」
ああ、第二夫人候補様。『DUNGEON』は我々の住んでいた世界の別の国の言葉で『土牢』と言う意味です。
「では、王子を牢にぶち込むと?」
そちらで引き取って頂けるなら、そこまでしませんが?
「そこは控えさせていただきます」
やっぱり?
「だって、今の王子ったら、『お医者さんごっこ』させてくれないんですから」
…王子の身の安全の為に、王子を『DUNGEON』にぶち込む事となった…
「じゃあ、ここはお願いしますね?」
第一夫人候補が調査団に丁寧にお辞儀する。その横で、
「ああ?誰だ?俺のオンナに色目使うヤツぁ?」
王子様が威圧する…いや、あれじゃあ、ガラの悪いチンピラだよ…
…その後、ちょっとしたトラブルがあったが、当事者が問題なしと言うので触れないでおく…いや、単に、第一夫人候補の放った右ストレートが王子の顔面を捕らえ、王子をKOした程度だから…
我々は変わらず、北へ向かう様に指示を受けた。と言うか、これは当初のギルドからの指示で、新エリアを見付けても北に向かう様に‼と言われているのだ。まぁ、最初の越境の指示が発見済みの『薬草園』に向かう予定だったので、今回の件はイレギュラーなのだろう…正直に言おう…我々『セーラーキャプチャー』は国や領主、ギルド上層部向けの客寄せパンダ的存在なのだ…新ルート開拓の本気度を有力者に示す為に呼び集められただけ…だから、我々は本気出してルート開拓しなくとも良いのだ…むしろ、どこぞの国の王子様の護衛の側面が強いかも知れない…と言うのも、このどこぞの国の王子様御一行にこの国のお姫様がいるから…ちなみに、第二夫人候補がそのお姫様…豪奢なドレスに身を包みつつ、直径三十センチはある棘付き鉄球を頑丈な鎖の先端に付けて振り回しておられます…あ、そうそう、夫人候補以外をハーレム要員と言ってましたが、実際は夫人候補のお付きのご令嬢方で、各国の高位貴族に仕えていた低位貴族出身者が殆どらしい。戦場に出る機会の多い魔境周辺の領地出身者で構成されているらしく、夫人候補に何不自由ない環境で攻略を進めてもらう為のスペシャリスト。いわば、お姫様専属のグランピング要員。
そんな中でも、異質なのが第三夫人候補に仕える集団。彼女達は第三夫人候補である『聖女』様のお側仕えらしい。
『聖女』とはこの世界の神の代弁者…なのかな?…まぁ、『聖』属性魔法に長けた女性の中でも神に認められた者の総称との事。総称の名がある通り、唯一無二と言う訳ではなく、行使する『聖女』の奇蹟も人によって様々…治癒や治療の様な医療系に長けている方もいれば、悪霊や不死者、悪魔などの調伏に長けている場合もある。
第三夫人候補は後者…戦闘聖女に属するらしく、神敵系の討伐だけでなく、フツーに魔物の討伐も請け負うらしい。と言うのも、彼女、元は冒険者でバリバリの前衛切り込み隊長だったらしい。当時の得物はダガーで二刀流。超接近戦で容赦なく相手を切り刻む姿と整った容姿から『血の聖女』と呼ばれていたとか…転機が訪れたのは救援物資の受け渡しに立ち寄った教会で、神の祝福?を受けた事…?付きなのは祝福…と言うか、神からのお言葉の内容から…
「え?このコ?間違いじゃないの?…まぁ、そんな訳だ‼精進せぇよ‼」
教会の集会所の長椅子で、うとうとしてたら、そんな言葉が聞こえて来たらしい。いや、実際はイビキ掻いて、寝てたとか…
…で、その時、運が良いのか悪いのか、神官さんが神の加護の授惠者特有の光に包まれている彼女を発見。大至急、確認した所、『聖女』であると判明‼
「そっからは、怒濤の展開‼『血の聖女』が本物の聖女になったって、街やギルドは大騒ぎ‼今まで、あたしを蔑んでた教会の連中はへこへこし出すし、貴族教育?とか言うのをやらされるし、『聖』属性魔法の練習とかで、何書いてあるんだか訳分らん巻物…あ、経典か…そんなの読まされるし…あ、そうそう、『血の聖女』が本物になったって騒いでる連中の中でバカ笑いしてたヤツらはその場で鉄拳制裁してやったがな‼」
清楚な雰囲気を纏っていた深窓の令嬢が、ヤンキーのお姉ちゃんに変身しました。誰ですか?夕食にお酒を用意したのは?一応、ダンジョン攻略中ですよ?
「まぁまぁ。こういう機会がないと、彼女も吐き出せませんから」
第二夫人候補様。心情だけでなく、胃の中味まで吐かせようとしていませんか?
「それより、簡易陣地とは思えない居住性ですね」
『築城師』さんの拘りです。
そう。現状、我々は九つのエリアを縦断した所で夜のエリアに突入。夜間行動の危険性を考慮し、本日の行軍は終了‼となり、休憩と就寝の為に構築した防御陣地内の居住エリアの食堂で夕食を摂っている…『セーラーキャプチャー』の五人と王子一行の一人が見張りに立ってもらっているが、このエリアの魔物なら、陣地に仕掛けた罠を突破するモノはいないだろうと『識者』さんが回答してくれているが、用心しないよりはした方が安心度は高まる…いやね?実の所、無理して陣地形成する必要はなかったんですよ…だって、転移柱の近くだし…一旦戻って、翌日朝からの攻略でも良かったはずなのに、ギルドの人達が押し切ってきて…
あ、そうそう…今回、我々が入ったエリア、全部、新発見エリアでした…攻略速度と転移柱の近くに防御陣地を建てた事でもお分かり頂けるだろう…その度にギルドに連絡入れるのが大変と言うか…面倒臭いのだ…報告に人員を送るにしても、同じ者ばかりじゃ不公平‼って事で、じゃんけん大会が開かれたかと思うと、三回目からは「今度からは同じ人にしてくれないか?」とギルド側から懇願され、六回目から「ああ、今度からは二人で良いよ…クラン代表者一名ずつって事ね」と憐みの目線を向けられ、さっき戻ったら「…もう後で纏めて報告して…」と諦められた…うん、あれは諦めてた…この事情を何故知っているかと言うと、あたし『マネージアー』がじゃんけん大会で負けたからだよ‼
「この辺、夜しかないエリアとかじゃないよね?」
見回りから戻った『剣士』さんが聞いて来る。
…そうか…考えもしてなかったが極夜の可能性もあるのか…
「それは大丈夫‼植生が温暖地域のモノだったし、気候も寒くないでしょ?」
『錬金術師』ちゃん。異世界相手に向こうの世界の常識が通用すると思う?しかも、ここは異世界の中の異世界なんだから…
「その辺は時間が経過すれば分かるだろ…?」
…お気楽だなぁ…ちょっとは緊張感持とうよ…
ほら‼あそこの王子一行…第一王女候補様のお付きの方々の緊張感、凄いよ‼張り詰めてるよ‼あれぞ常在戦場の心得だよ‼
「いえ。これは王子の奇行に備えてです」
…あ…そうですか…で、その王子様は?
「…‼しまった‼者共‼王子が姿を暗ませた‼全力で捜索せよ‼」
「御意‼」
え⁈第一夫人候補のお付き様達の姿が消えた‼
「彼女達は、わたくし専属の護衛も務めておりますので」
あ、ああ…確か、お国では王家を超える最大勢力の公爵家のご長女だったと…
「…あれも、昔は大人しかったんですけどねぇ…」
…幼馴染の許嫁か…貴族としては避けられない運命でしょうか…
「良く二人だけで遊んだものです」
ああ、なんだか微笑ましい光景が…お庭を駆け回ったり、一緒におやつ食べたり、お昼寝したり、たまに市井に出向いて冒険したり、それを爺やとか、婆やに咎められたり…
「市井で流行している『お医者さんごっこ』なるモノで遊んでいた時は至福でしたわ」
…聞き間違いでしょうか…?…『お医者さんごっこ』と言いましたか?
「はい。わたくしが医師で王子が重症患者で」
え…と、聞きたくないんですけど、王子にはどのような処方を?
「そんなモノ、医師の行う、あらゆる治療を施して差し上げましたわ‼」
うわ‼本格的に聞きたくねぇ‼こっちの世界の医療行為ってどんな罰ゲームだよ‼
「特に座薬を処方する際の王子の声は耳から離れませんわ‼」
いきなり座薬の話かよ‼…ってか、それって、素人が施術して良いのかよ⁈
「筆頭侍従医に立ち会って頂きましたわ‼」
権力で大人を巻き込みやがった‼こえーよ‼公爵家令嬢‼
「…あまりに良い声で鳴かれるので、幾つ入るか、試してしまいました…」
…健全なヒトに治療効果のある座薬を処方するのはどうかと…
「そこは疑似座薬を公爵家お抱えの職人に秘密裏に作らせましたわ」
こっちはコネ以外に金の臭いがするな。
「実際には糞尿の臭いですが」
上手い事、言わないで下さい。その上、汚いです。食事時にする話ではありません。
「まぁ、当時の王子に十個詰め込む事には成功致しましたわ」
…あの…話の最中に親指を立てているのは何故ですか?
「これが平均的と言いましょうか」
分かりました。
「この位の太さの…あ、当時の太さでしたわ」
分かったから、その件はお終いにしてください‼
…話を聞く限り、どうも女の子苦手になったのって、あの第一夫人候補の影響だろう…まぁ、幼少期に良いオモチャにされたんだろうな…多分だけど、他にもいぢめられていたんだろうな…でも国内最大派閥のお嬢様だから王子と言えども逆らえなかったか…空気を読む能力はあったって事か…なんか、ちょっと同情する…
とは言え、行方不明状態はよろしくない‼最悪、外になんて出られたら色々と厄介だからな。もちろん、夜這い目的で陣地内に隠れられているのもイヤだけど…
「何やら、騒がしいが?」
あ、『忍者』さん。王子が見当たらないんです。
「ああ、王子なら『巫女』ちゃん達の部屋の天井に張り付いていたぞ」
聞きましたか⁈大至急向かって取り押さえて下さい‼
ものの数分で、王子は捕縛された…いわゆるミノムシ状態のグルグル巻きだ。
「おのれ…もう少しで、乙女の着替えが覗けると思ったのに…‼」
何です?その犯罪行為?王族でもやって良い事と悪い事があるんですよ?
「わたしに見初められると言う事は、最高の栄誉だ‼」
そんな栄誉も名誉も要りません‼覗きは立派な犯罪です‼
…とりあえず、今回のダンジョン探索、色々と問題があり過ぎる…
昼間の攻略は行き付く先が新エリアばっかりで情報がないし、夜間は夜間で、暴れ種馬をどうにかしないといかんし…
「いっそ、『DUNGEON』にでも放り込む?」
『築城師』さん、ナイスアイディア‼
「え?『ダンジョン』と聞こえたんですけど…ダンジョンの中にですか?」
ああ、第二夫人候補様。『DUNGEON』は我々の住んでいた世界の別の国の言葉で『土牢』と言う意味です。
「では、王子を牢にぶち込むと?」
そちらで引き取って頂けるなら、そこまでしませんが?
「そこは控えさせていただきます」
やっぱり?
「だって、今の王子ったら、『お医者さんごっこ』させてくれないんですから」
…王子の身の安全の為に、王子を『DUNGEON』にぶち込む事となった…
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