セーラーキャプチャー

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バーベキューだか、報告会だか…

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 あたし『マネージャー』が『セーラーキャプチャー』の本部に戻ると、外回りの『コマンダー』が『軍師』を殴殺する現場を目撃した。もちろん、『コマンダー』は手加減しているので、首が取れてもいないし、死んでもいない。また、ロクでもない言葉でも吐いたのだろう。あ、その前に止めた。と…
 とりあえず、この日はバーベキューを開催‼ご近所のお姉様とそのご家族&一緒に探索している王子のクランを招いて、大々的に‼あ、アルコールはダメだぞ‼向こうの世界で未成年って意味で止めてるんじゃないよ‼酔っぱらって暴走した挙句、翌日悶え苦しむのは自分だぞ‼…よ~し…分かったら、カンパ~イ‼って、これ、アルコール‼

 …付き合いだけで一杯飲んで、それ以降は果汁ジュースを飲む…一応代表格なので挨拶周りにお酒を注ぎ回る…ちょっと、メンドい…
 あ、お菓子差し入れして頂いたお姉様。あれ、美味しかったです。
「まぁ~、気に入ってくれた?」
 はい。今度、売っているお店、教えてください。
「ははは。あれはウチの手作りだよ‼売りモンじゃないよ‼」
 え?そうなんですか?今度、『調理師』ちゃんにレシピ教えてあげてください‼
「お安い御用だよ‼あんたらが居てくれるお陰でこの辺の治安も良くなったからね‼」
そう言ってもらえると、嬉しいです。
 あ、ワインですね?…ととと…では、挨拶周りが残っているので…
 …実際、この辺りは、あたし達『セーラーキャプチャー』が来る前は、スラム化しつつあったらしいが、あたし達が拠点化した事で、治安も良くなったらしい。まぁ、ウチの連中なら、騎士団の精鋭だろうと、闘技場一の剣闘士だろうと一太刀で黙らせる位の腕の持ち主しかいないしね。はっきり言うとこれは基本‼魔法もそんなカンジ…まぁ、チート集団だ。自分で言うのも何だけど…他にも地域貢献って事で、冒険者目指している子に武器の扱いや簡単な鍛錬、魔法の才能のある子には魔法発動や基礎の魔法の使い方を教えていたり、同時に読み書き計算も教えたり、持ち込んだ薬草で簡単な薬を作ったり、怪我や病気の人達を治療したり…もちろん、夜間の巡回や、自警団や騎士団と合同で窃盗団の摘発をしたり…それに、この手の地域貢献は冒険者クランの義務みたいなモノだとギルドでも言っていたし、悪くはないのだろう…うん…ちなみに、薬草から作る薬は地域で商売されている薬屋さんに配慮して、作成数量と効能の制限を付けています。ただ、パンデミック的な大流行が起きたら、自重しません‼とは、薬種ギルドには宣言してます。

 次に行くのは王子一行…あ、王子がお姉様の一人を口説いてる…あのお姉様の旦那は怖いんだよなぁ…あのお姉様、美人だから…あ、旦那が口説いてるのに気付いた‼ちょ…いきなり、デン〇シーロールのステップで近寄らないで‼うわ‼嵌めたぁ‼国際問題‼
「大丈夫ですよ。あの程度の連打では死にません」
 第二夫人候補様‼あれ、大丈夫なんですか⁈
「その程度で死なない様に鍛えておりますので」
 いや…まぁ…見てると不安になるんですけど…
「打たれ強さは、王族の必須スキルですわ」
 それは物理的ではなく、精神的なモノでは?
「いざと言う時に自らの身を守れなくては王族として…いえ、王たる者としてその座を継げません‼」
 そう言えば、お世継ぎは、あの王子しかいないのでしたか?
「ええ。ですから、ヨワヨワでは困るのですよ」
 だからって厳し過ぎませんか?現状、王族はガチガチに警護されているんじゃないんですか?それとも、王子の国の王族警護ってヨワヨワなんですか?
「あら?それは私の口からは語れない機密事項ですわよ?」
 はい、忘れます。
 あ、こちらはエールですか…どうぞ…
「あら?気が利くわね?『セーラーキャプチャー』を辞めたら、ウチの親衛隊に入りませんか?好待遇で受け入れますよ?」
 辞める事はないですね。あたし達は運命共同体ですから。一人も欠かさずに目的を果たす事が、あたしと皆の至上命題なので。
「残念。あなたなら即オモテでもウラでも働けそうですのに」
 買い被り過ぎです。では。

 …第二夫人候補、コエ~…王子の暗殺企ててるって『忍者』さんの情報、確度高そうだな…いや、王族警護の質を気にするって事は、何処か、別の勢力のクーデターもあると第二夫人候補は考えている…?…いや、第二夫人候補はこの国のお姫様だから、王子の国の戦力を計っている最中か…本気で嫁ぎに来たのか、王子の国の転覆を謀っているのか…
「難しい顔してどうした⁈おい‼」
 うわ‼第三夫人候補‼既に、出来上がってませんか?
「いや~‼酔える酒は久々でなぁ‼」
 あ~…禁欲生活はやっぱり、厳しいですか?
「いや、隠れて飲んでたぜ‼それにヒデ~んだぜ?あたしは粥みたいなスープと堅いパンが御馳走だったってのに、あたしのお付きとか言う連中は、あたしに寄進したって食い物とか酒を隠しもせずに食い漁りやがって‼」
 それは上層部に訴えたら?
「上層部の連中は、あたしが集めた金で豪遊三昧だよ‼あたしは歩く賽銭箱かよ‼あのブタ共、肥えさせる養豚業者かよ‼いつか絞めんぞ‼」
 うわ‼絡み酒だ‼え~と…『会計』さん‼お相手願います‼
「え?おい!あたしは外回り組の報告を…」
 あたしが聞いておきます‼外回り組の…『コマンダー』と『軍師』、退避‼
 …あたしは『会計』さんを犠牲にして、別のテーブルに移った…ごめんなさい。後で何でも言う事聞きます…でも、書類整理程度で、どうか…
「お?ちょうど良かった」
 あ、『識者』さんのテーブルか…って、ちょうど良いって?
「『軍師』ちゃんに聞きたい事があったんだ」
「『識者』さんが知らない事、あたしが知っているとでも?」
「凡例がない事だからな」
 ああ、攻略中のダンジョンの件ですか?
「何?空間隔絶系だっけ?」
「聞いていると思うが、あたし達が次の空間に行くと必ず新発見の領域に着くんだ。お前はこれの原因が何だと思う?」
「え?う~ん…あたしらに共通する事って…」
 …『軍師』が唸る事、数秒…
「『空間収納』じゃないか?」
 え?このゲーム的便利機能?
「『狭間の女神』様に無理言って付けてもらった天恵だが、はっきり言って無茶苦茶だぞ」
 そうかな?
「そうなんだよ。そもそも、この空間に穴を開けて別空間を展開するんだぞ?前の世界の空想科学的に言えば、ワープと亜空間の掛け合わせだ。それにどれ程のエネルギーが必要だと思っている?」
 あ、いや…純SF設定は、さすがに…
「…それでも聞いてもらうぞ。『セーラーキャプチャー』の存続にも関わるんだからな…」
 …『軍師』の話を、向こうの世界の定理や公式、それと難しい部分を省いて説明すると、『セーラーキャプチャー』の面々には、この世界に影響が出ないだけの極微弱な空間的な歪みが常に発生しているらしい。その歪みが空間隔絶の力場を形成する魔法に反応して、あたし達を『人』として判断せずに、別の空間に移動させているらしいとの事…
「…多分だが、一人や二人なら反応しないのかも知れないが、三十人で移動すれば大々的に異物反応するだろうな…」
 じゃあ、今更だけど、今回のダンジョン攻略は止める?
「一度は受けたんだから、そのまま進めれば良いんじゃないか?それに進めて行けば、鉱物採掘可能エリアにぶち当たりかも、だろ?」
 あああ‼採取制限がなければ、『薬草園』や『牧草地』や『三角州』や『海浜公園』を掘り返せるのに‼
「資源回復の問題があるからな。ダンジョンの不思議だな」
 …獲って三日で回復するってズルよ…ダンジョンの魔力で回復するってのも、元の世界の常識から考えても、おかしいし…
「こっちの世界でも、普通の鉱山は掘り尽くしたら終わりだけどな」
ダンジョンの魔力が尽きるまで採掘可能だから、ダンジョン産に拘るのか。
「それと、あたし達が集合している人数も絶妙だな」
 三十人が?
「一か所に三十人以上が集まれば、通常の空間に歪みが発生し兼ねない」
 え?じゃあ、今、ヤバいんじゃない?
「一時的な集合なら問題ないよ。長期間はヤバいけど」
 そっか。じゃあ、一安心。
「まぁ、外回り組を作ったのは、ある意味、英断だな」
 ああ、『プレジデント』さんの発案だったね。
「それともう一つ。今回の空間隔絶系のダンジョンで危惧する状況がある」
 何?
「あたし達が、本来攻略すべき、時空の歪みのダンジョンで、同じ…と言うか、似た事態が発生する可能性がある」
 ん?具体的には?
「全員が遠くに引き離されるか、別々のエリアに運ばれるか」
 …そんな可能性が?
「まぁ、これは飽くまで可能性だ。そうなるとは限らない…が、そうなった時の備えはしておくべきかな?」
 …長期間の単独行動訓練か…どのくらいの期間を想定すれば良いか…
「そこは『プレジデント』と『会計』と相談だな」
 ん。後で話す。
 …それから後は、四人で報告会…近況報告が主だったかな?…って、これ以上の酒はいらん‼記憶飛ばすまで飲ますつもりか⁈
「よおおぉぉおし‼乗って来たぁ‼一芸披露だ‼」
 誰だ⁈『プレジデント』さんに飲ませたの‼あの人、身体小さいんだから、酔いが回るの早いんだよ‼
「良いぞ~‼脱げ~‼お前の貧乳、見せてやれ‼」
 『軍師』‼煽るな‼お前も飲み過ぎ‼
「では、言い出しっぺのあたしから‼取って置きのアメリカンジョーク‼」
 あ、アレやるんですか?
「がちょ~ん」
 …場が一瞬にして、凍り付いた…
 …誰か、「何処のアメリカンだ⁈」と突っ込んであげてください…
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