セーラーキャプチャー

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『幼女』と『魔法少女』のお供の、扱いの違い

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「ただいま~‼」
 あたし『マネージャー』は『幼女』を抱えながら、拠点に到着した。
「え?このお城がお姉ちゃん達のおウチ?」
 そうだよ?だから、いい加減に降りなさい。
 その言葉に締め付けていた『幼女』の足が緩むので、上体を支える。
「あ、あたしが支えようか?」
 『調理師』さん、大丈夫です。そこまで重くないので。
 そのまま、『幼女』を拠点の床に立たせる。
「…やっぱ、小さいね?」
 …小さいと言うよりは細いんですよ…子供的なプニプニ感がなくて…
「怪我とかしてないか、診てもらう?」
 ああ。歩いている時に、脚が擦れているかも…
「大丈夫‼どこも痛くない‼」
 我慢はダメ‼…え~と…『保健委員』…じゃない、『牧師』さんは?
「外の巡回に出てるかな?…あ、戻って来た」
 『調理師』さんの言葉に、視線の先を見ると、『巫女』ちゃん、『陰陽師』、『牧師』さんの三人の姿が見える。あ、『陰陽師』が刀を持っているから物理攻撃系が…
「あ、カワイイ子、発見‼どうしたのぉ?」
「そんなの『マネージャー』が拾って来たんだよ‼なぁ?」
「そんな訳ないでしょ?でも、いくらカワイイからって攫って来ちゃダメですよ?」
 よし。『陰陽師』と『牧師』さんって、あたしをそんな風に見てたって分かりました。
「冗談よ。それで、その子を検査するの?」
 怪我がないかだけで、とりあえずは充分です。
「一応、栄養状態も見るわ」
 お願いします。で、『陰陽師』は報告‼
「お、おう…トラブルはなかったよ。酒場も通常営業。色町もお盛んだ。」
 …昼間だって言うのに…
「景気が良いらしいな。南側の空き地に店が建つみたいだし」
 え?何、出来るの?
「悪い、聞けなかった。王都辺りの大店が貴族逃れに建てているっぽい」
 ああ、『商系貴族』になりたくないから。
「店長になるらしい人に一応、挨拶はしたけど…あれは長く続かないな」
 将来、空き店舗になった時の為に、この街の商業ギルド支部に相談してみる。
「それはやっておいた。先に根回しされると厄介だからな」
 盗賊とかの隠れ家にされると問題だからね。
「それと…これはまだ、それらしい動きがあるってだけで、調査中なんだが…どうも、ウチの巡回領域に、他の地域の貴族の小間使いが動き回っている」
 ?そんなの珍しくもないじゃん。勧誘でしょ?ウチにも来たし。
「家を訪ねてるって言うよりは、何かを探してるっぽいな」
 盗難品を探してるのかな?
「商店には行ってないな…あ、でも、奴隷商には入ったか…」
 それって、貴族の知られちゃいけない秘密を知っちゃったとか…?
「まぁ、あたしの式神は貴族の屋敷にまでは潜入出来ないからな」
 ああ言う場所は結界が厳しいからね。機密も取り扱っているだろうし。
「報告するのはそのくらい…あ、小間物屋のミーコが子供産んだ‼」
 え⁈マジ⁈
「すんごく可愛かった…一匹、抱っこさせてもらった…」
 あ~‼あたしも見たい‼撫でたい‼抱っこしたい‼
「里親、探してるって言ってたけど、どうする?」
 うぐ‼…そ、それは…ダメだ…現状の拠点では飼えない…‼せめて、良い里親を紹介するくらいしか出来ない…‼
「一応『テイマー』…今は『盗賊』…?に話は振っておくけど?」
 あ…あんまり期待してないけど…お願い…
「『プレジデント』さんとかにも会ったら、言っておくな」
 …そう言って、『陰陽師』はその場を去った…
「『マネージャー』さんって、『陰陽師』さんと仲良いんですね?」
 前の世界の幼馴染のクラスメイト。アイドル活動する前は二人でバカやってた。
「ああ、だから『マネージャー』さんが本気で怒らない領域を知っているんですね?」
 今は昔以上に遠慮がなくなっているっぽく思うけど?あ、一応『巫女』ちゃんも、何か気付いた事ってある?
「あ…あたしは『陰陽師』さんみたいに、上手く言葉にできませんけど…」
 それでも気付いた事は教えて。『巫女』ちゃんみたいな特殊な魔法職の感性は、あたし達みたいな集団の中じゃ、バカにならないから。
「その…拠点の雰囲気、変わってませんか?」
 ん?あたしは良く分かんないけど…?
「ああ。じゃあ、あたしの気のせいかも知れませんね」
 …そう?
「それと、さっきの『幼女』、名前とか聞いてないんですか?」
 ウチには名前を公表していない現地人しか居ないでしょ?
「…そうでしたね…」
 …彼女なりの納得をしてくれた事で、彼女もこの場を立ち去った…
 実際、この世界のヒトの何割かは名前を公表していない。これは名前を明かす事で不当な契約が魔法的に結ばれてしまう恐れがあるからだ。あたしもこの街のヒトの何人かが、自分達と同じ『職能』を名前にしているヒトを知っているし、そもそも、あたし達の後ろ盾になって頂いている『第二王子』の名前も知らない。もっとも、一般で『技能』や『職能』を名前にしているヒトは大概が借金取りから逃げているのが現状らしいが…
 もう一つ、名前を明かさない理由が、存在の固定化を防ぐ為らしい。まぁ、これは神霊系のお話…例えば、我々をこの世界に拉致した『狭間の女神』様。本当は名前があるのだが、それを知られると権能が弱まるらしい。関連する名前から、どう言った人物が元になっているのかが判明され、その人物の得意・不得手で権能に万能性が失われてしまう事があるらしく、実際、『狭間の女神』様にもお姿のモデルとなっている人物が存在したらしい。まぁ、大抵の場合は、その『神』の熱心な信者か信仰していた一族の有力者、もしくは、その能力を開花させ、世に広めた人物の名前らしいが…

 『幼女』はすぐに、『セーラーキャプチャー』の皆に受け入れられた。礼儀正しい辺りが少し子供らしくないが、一歩引いて出しゃばらず、皆をおだてて、時には悪ノリに付き合って、食べ物の好き嫌いは…ピーマンはダメか…って感じで、時には子供らしさを見せた事で、皆の母性本能…Jクラスは姉性本能?をくすぐり、『テイマー』ちゃんの貰って来たミーコの子供と共に、皆の人気者となった。ちなみに、ミーコとは小間物屋さんで飼っている『シルバータイガー』の事で一般的には最強クラスの魔獣らしい。どうやって繁殖したのか?…ああ、単為生殖が可能なのね…栄養などの条件によって増えるらしい…
 そこに異を唱える存在が一人…一人で良いのか?アレ?
「マスコットの位置は私のモノだぁ‼」
 『魔法少女』さんのお供である。捨てたはずが魔族のお姫様が拾って来て、お姫様の遊び相手という名の拷問の日々を送っていた存在である。最近のお姫様は『プレジデント』さんとの格闘訓練が楽しいらしく、順調にお供の身体は元に戻っているモノの、己の存在価値…つまり、お姫様の遊び相手を熟していない事に焦燥感を抱いているらしい…
「…おかしいと思いませんか?…何でお嬢様は『プレジデント』さんと殴り合っているんですか?あれに何の意味があるんですか?」」
 あたしに聞かれても困ります。そして、元の飼い主?…ってのは、全力否定している『魔法少女』さんに迷惑を掛けない様に。特に、お風呂に一緒に入ろうとしない‼
「え?だって、キレイにしないと嫌われちゃうじゃないですか?」
 はっきり言うけど、お前、オスだろ‼そんな人型丸出しのオスと一緒に風呂になんか入れるかよ‼せめて虚勢しろ‼自分で出来ねぇなら医者か保健所に行け‼
「この世界の医療技術でやれと言うんですか?もちろん、やりませんけど‼」
「だったら、ここから出て行け‼お前の食費は他のメンバーの三倍は掛かっているんだ‼経費削減の為に、その身を犠牲にしろ‼要は働けぇ‼」
 …通りかかった『会計』さんが堪らず、怒鳴り込んで来た…びっくりした…
「ちょっと待って下さい‼ここには働いていない人達がたくさん…はいないまでも、数人いるじゃないですか⁈彼女達は働かなくて良いんですか⁈」
 …何か勘違いしている様だから、はっきり言うが、魔族のお姫様からも『ロボット』さんからも、国やギルドから身元預かりの為のお金は出ているんだよ。しかも、貰って困るくらいの額を‼
「え?あの『受付』ってねぇちゃんは?」
 あの人、スゴイ仕事できる人だぞ?ぐーたらポンコツな振りして、持ち込んだ山の様な仕事、神速でこなしているの見たからな。実際、あの人の滞在費、迷惑料込みで、自費で出してるって言ってたし。
「お、お金余っているんなら、僕一人働かなくても…」
 そうはいかん。全員の示しが付かないからな。
「…って言うか、あんたらがやってる仕事、フツーの人間に出来ると思っているんですか⁈どこの危険地帯に生息する何て希少素材を獲って来いって言うんですか⁈無茶振りにも程がありますよ‼そんな依頼をホイホイ受けるから貴族が付け上がるんですよ‼」
 ほう?そんな社会体制に異を唱えるなら、表に出てアピールして来い。それで憲兵に捕まって、きっちり思想統制されて来い。その時、あたし達を巻き込まない様に、あたし達の記憶はすっぽり抜いてやるから、やらかす時は一声掛けろよ。
「やだなぁ。そんな事する訳ないじゃないですか。『マネージャー』さん、目にいつものハイライトが入っていませんよ?ものすごく昏い深淵が宿った瞳を…」
 …そんな事より、お前、ご近所に言い触らしているらしいな…
「な、何をですか?」
 あたし達が顔とスタイルが良いだけのメスゴリラ集団だって。
「ち、違います‼メスゴリラだなんて言ってません‼そもそもこの地域の人達がゴリラなんて生き物知っていると思っているんですか?あの大型類人猿の存在を‼」
じゃあ、何て言い触らした?
「そんなの決まっているじゃないですか‼」
 …そこでヤツが口にしたのは、この地方でも出現する凶悪な人型類人猿だった…うん。向こうの世界で『ゴリラ』と言って通用する魔獣…
 こいつ、どうやら、あたし達がその魔獣を討伐していないと思って、思いっ切り口を滑らしやがったので、この前、群れを掃討したと戦果を語ったら、逃げ出しやがったが、すぐに捕まった。捕まえたのは『精霊術師』ちゃん。単純にぶつかっただけだけど。
「頼む‼助けてくれ‼ついでにおっぱい見せてくれ‼」
 その一言で、『精霊術師』ちゃんはお供の頭を鷲掴みにして、あたしの元に差し出した。
 …あたし達は、お供を吊るして、ご近所訂正行脚に向かった。大概は笑って許してくれたが、中には、あたし達を見て泣き出す子供もいた…お姉ちゃん達、怖くないよ~‼
 …あの時の『精霊術師』ちゃんのハイライトの消えた昏い瞳を忘れられなかった…
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