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第三話 未来日付のレシート
しおりを挟むスーパーのレジで、いつも通り買い物を終える。
私の手に渡ったレシート。
日付は今日ではなく、三日後。
「……未来?」
一瞬、周囲を見回す。
誰も気にしていない。
でも文字は確かに、私の目の前で印字された。
商品名も金額も合っている。
財布の残高も変わっていない。
ただ日付だけが、未来。
⸻
次の日も、同じ店で買い物。
レシートは今日ではなく、また未来の日付。
日にちを数えてみる。
未来は、どんどん先へ伸びる。
私が受け取るレシートは、必ず「あと三日後」を指している。
⸻
気になって、試してみる。
財布に一万円札を入れ、
未来の日付のレシートで支払ったら、どうなるか。
三日後、財布を確認する。
一万円、ちゃんと消えている。
購入履歴も、未来に記録されていた。
つまり――
私は、先に支払いを済ませている。
しかし誰も、それを知ることはない。
レジの店員も、何も気づかない。
会計の音も、私の手元だけ少し遅れているように感じる。
⸻
ある日、買った商品が勝手に壊れ始める。
三日後のレシートに記された品が、今壊れる。
袋から取り出した瞬間、
パックのジュースが割れる。
昨日買ったはずの卵が粉々になる。
未来に起こるはずのことが、
私の現在で現実化する。
⸻
スーパーを出る。
通りを歩くと、他人の財布やスマホも、
三日後の未来の状態に少しずつ変わっていく。
見慣れた景色が、
知らない時間に少しずつずれている。
私は気づく。
これはレシートだけの現象ではない。
小さなズレが、世界中に広がっている。
誰も知らないうちに、
時間は少しずつ狂い始めている。
そして、私だけがその兆しを知ってしまった。
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