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【第1部】終章 感謝祭
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「マーレット、マーレット」
クレイン殿下が、私の名前を呼びながら部屋に入ってくる。
「どうしたのですか、クレイン殿下」
「マーレット、聞いてくれ、公務が入った」
珍しく、クレイン殿下が慌てている。
私たちは、既に何度か公務をこなしていた。
「そんなに慌てて、いったいどのような公務なのですか、クレイン殿下」
「先ほど、国王陛下から、感謝祭の主宰を仰せつかったのだ。こんなに名誉なことはないのだが、そなたの意見が聞きたくてな……」
感謝祭は、民の育てた穀物により暮らしていけることについて、国王陛下が民に感謝の意を表す行事であり、国民は国王陛下を拝顔することができるため、警護も厳重に行う必要がある大変な公務である。
感謝祭の主宰は、有力な王族が執り行うことになっており、毎年、国王陛下が主宰者を指名をするのだ。
初めての公務から数ヶ月が経ち、私たちはいくつかの公務をこなしていたが、このような重大な公務を命じられのは初めてである。
これまでの公務とは、規模も重みも違うのだ。
「マーレット、私は、そなたとなら感謝祭を成功させれると信じている。確かに、感謝祭を主宰するとなれば、大変なことが多いだろう。それでも私は、私を信頼して指名をしてくれた国王陛下の期待に応えたいのだ。それに……」
クレイン殿下は、私の顔を見つめた。
「……いや、何でもない」
クレイン殿下は、言い掛けた言葉を飲み込んだ。
私は、クレイン殿下からお気持ちを伝えて頂いた時から、クレイン殿下を支えると決めていたのである。
今回の公務についても、クレイン殿下が決断されれば全力で支えるつもりでいた。
私が、クレイン殿下と共に公務を務めたい言った時、クレイン殿下は本当に喜んでくれた。
私は、先ほどクレイン殿下が飲み込んだ言葉が気になったが、クレイン殿下が話してくれるのを待つことにした。
クレイン殿下が、私に右手を差し出して微笑む。
「マーレット、感謝祭の後にも舞踏会が開催される予定だ。久しぶりに踊らないか」
私は、クレイン殿下の手を取る。
クレイン殿下は、私の前髪の上辺りを見る。
「どうされましたか、クレイン殿下」
「いや、ティアラの箱に入っていたそなたの手紙のことを思い出して……」
私は、恥ずかしくて頬を赤らめる。
クレイン殿下は、私の目を見つめながら言う。
「マーレット、誓って私は、2度とそなたを悲しませはしない、約束する」
「クレイン殿下……」
私たちは、しばらくお互いのことを見つめていた。
クレイン殿下が、私の名前を呼びながら部屋に入ってくる。
「どうしたのですか、クレイン殿下」
「マーレット、聞いてくれ、公務が入った」
珍しく、クレイン殿下が慌てている。
私たちは、既に何度か公務をこなしていた。
「そんなに慌てて、いったいどのような公務なのですか、クレイン殿下」
「先ほど、国王陛下から、感謝祭の主宰を仰せつかったのだ。こんなに名誉なことはないのだが、そなたの意見が聞きたくてな……」
感謝祭は、民の育てた穀物により暮らしていけることについて、国王陛下が民に感謝の意を表す行事であり、国民は国王陛下を拝顔することができるため、警護も厳重に行う必要がある大変な公務である。
感謝祭の主宰は、有力な王族が執り行うことになっており、毎年、国王陛下が主宰者を指名をするのだ。
初めての公務から数ヶ月が経ち、私たちはいくつかの公務をこなしていたが、このような重大な公務を命じられのは初めてである。
これまでの公務とは、規模も重みも違うのだ。
「マーレット、私は、そなたとなら感謝祭を成功させれると信じている。確かに、感謝祭を主宰するとなれば、大変なことが多いだろう。それでも私は、私を信頼して指名をしてくれた国王陛下の期待に応えたいのだ。それに……」
クレイン殿下は、私の顔を見つめた。
「……いや、何でもない」
クレイン殿下は、言い掛けた言葉を飲み込んだ。
私は、クレイン殿下からお気持ちを伝えて頂いた時から、クレイン殿下を支えると決めていたのである。
今回の公務についても、クレイン殿下が決断されれば全力で支えるつもりでいた。
私が、クレイン殿下と共に公務を務めたい言った時、クレイン殿下は本当に喜んでくれた。
私は、先ほどクレイン殿下が飲み込んだ言葉が気になったが、クレイン殿下が話してくれるのを待つことにした。
クレイン殿下が、私に右手を差し出して微笑む。
「マーレット、感謝祭の後にも舞踏会が開催される予定だ。久しぶりに踊らないか」
私は、クレイン殿下の手を取る。
クレイン殿下は、私の前髪の上辺りを見る。
「どうされましたか、クレイン殿下」
「いや、ティアラの箱に入っていたそなたの手紙のことを思い出して……」
私は、恥ずかしくて頬を赤らめる。
クレイン殿下は、私の目を見つめながら言う。
「マーレット、誓って私は、2度とそなたを悲しませはしない、約束する」
「クレイン殿下……」
私たちは、しばらくお互いのことを見つめていた。
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