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27.もう聞けない
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第一図書室に入る前から言おうと決めていたのに、言うタイミングが掴めなくなった。
浩也にいつもと同じように話しかけられればそれに応えてしまう。
「妹さん、足は大丈夫?」
「母さんが朝は送っていったし、全然大袈裟な怪我じゃないから大丈夫だろ。ピンピンしてたし」
良かった、と隣で笑った気配がしたけど、浩也の顔が見られなかった。
見て話せば酷い事を口走ってしまいそうなのが怖かった。
「……佐武」
浩也に触れられた肩が意図せずに震えた。
「あのさ、浩也……」
語尾が微かに震える。
やっぱりなんでもないって言えと頭の中で言う自分も居たけど、意を決して口を開く。
「もう、練習……やめよう」
「は?」
浩也の声と少し力の入った手で、驚いている事は伝わってくるけど撤回する気にはなれなかった。
「……彼女でも出来た?」
「出来るわけないだろ、放課後ずっとここに来てるし」
「じゃあ……なんで」
そう言う浩也の声が心なしか震えている気がした。
「なんで……」
「浩也は!」
声を張り上げると触れていた浩也の手が離れる。
それで落胆してしまう自分はなんなんだろう。
「誰にでも出来るんだろ……練習なんて」
椅子から立ち上がるとがたりと思ったよりも音がした。
「浩也は……彼女いるんだろ」
「は?」
「なんで俺にキスなんてしたんだよ!」
理不尽なのは分かっていても、言わずにはいられなかった。
どうしてキスなんかしてきたのだろう。浩也とのキスなんて知らなければ……もっと一緒にいられたのに。
「……帰る」
多分、もう来ない。
というか、どんな顔をして来たら良いのかなんて分からない。
振り向いて、浩也の顔だけ見てみようかと、一瞬だけ思ったものの決心が鈍る気がしてそのまま戸に手を掛ける。
「……な、」
浩也が何か言っていた気がするけど、戸を開ける音で掻き消された。
掻き消したのかもしれない。
俺が掻き消した。
後ろ手で閉めた戸に軽く寄りかかって、もう浩也のまた明日は聞けないんだなってそれだけ思った。
浩也にいつもと同じように話しかけられればそれに応えてしまう。
「妹さん、足は大丈夫?」
「母さんが朝は送っていったし、全然大袈裟な怪我じゃないから大丈夫だろ。ピンピンしてたし」
良かった、と隣で笑った気配がしたけど、浩也の顔が見られなかった。
見て話せば酷い事を口走ってしまいそうなのが怖かった。
「……佐武」
浩也に触れられた肩が意図せずに震えた。
「あのさ、浩也……」
語尾が微かに震える。
やっぱりなんでもないって言えと頭の中で言う自分も居たけど、意を決して口を開く。
「もう、練習……やめよう」
「は?」
浩也の声と少し力の入った手で、驚いている事は伝わってくるけど撤回する気にはなれなかった。
「……彼女でも出来た?」
「出来るわけないだろ、放課後ずっとここに来てるし」
「じゃあ……なんで」
そう言う浩也の声が心なしか震えている気がした。
「なんで……」
「浩也は!」
声を張り上げると触れていた浩也の手が離れる。
それで落胆してしまう自分はなんなんだろう。
「誰にでも出来るんだろ……練習なんて」
椅子から立ち上がるとがたりと思ったよりも音がした。
「浩也は……彼女いるんだろ」
「は?」
「なんで俺にキスなんてしたんだよ!」
理不尽なのは分かっていても、言わずにはいられなかった。
どうしてキスなんかしてきたのだろう。浩也とのキスなんて知らなければ……もっと一緒にいられたのに。
「……帰る」
多分、もう来ない。
というか、どんな顔をして来たら良いのかなんて分からない。
振り向いて、浩也の顔だけ見てみようかと、一瞬だけ思ったものの決心が鈍る気がしてそのまま戸に手を掛ける。
「……な、」
浩也が何か言っていた気がするけど、戸を開ける音で掻き消された。
掻き消したのかもしれない。
俺が掻き消した。
後ろ手で閉めた戸に軽く寄りかかって、もう浩也のまた明日は聞けないんだなってそれだけ思った。
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