続きは第一図書室で

蒼キるり

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33.謎の先輩

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 いつもと同じ授業がひどく長く感じる。
 多分、いつもだったら放課後になったら第一図書室に行こうと思っていて、それを楽しみにしていたからだと思う。
 やっと昼休みになったけど、なんとなくクラスの奴と食べる気分じゃなくて、誘いは断って教室を出た。
 どこで食べようかなんて考えるのも億劫で、まだ寒いからあまり人が居ないと皆が言っている中庭に向かった。
 幾つもベンチがあるのに人が驚くほど少ない。
 さほど寒くもないのになと思いながら、鞄に入れていたパンを取り出した。
 メロンパンと焼きそばパン。
 俺は焼きそばパンはあんまり好きじゃないんだけど、母さんが買い置きしてくれていたパンが、メロンパンと焼きそばパン二つとコロッケパンだったから美奈が俺が狙ってた二つを持って行ったらしい。
 あいつ、両方惣菜パンて。
 食べ過ぎだろ、文化部のくせに。
 焼きそばパンにはあまり手をつける気になれなくて、メロンパンの包装紙だけ破いて一口だけ齧る。
 甘い。今日はあんまり食欲がない。
 朝から『……好きなんでしょ?』って言った美奈の言葉が耳から離れない。
 そう言われて、ああそうかと納得してしまう自分に納得ができなくて、ぐるぐると考え込んでしまう。
 考えたって、もう浩也には会いに行かない……行けないのに。
 その時、ふいに近づいて来る人がいる事に気づいた。
 横を見ると、おそらく先輩の女の人で見た事がある気がした。
 肩まで伸びた柔らかそうな髪が風に揺れていて、優しげに笑っている。
 美奈とは全然違う雰囲気の人だ。

「こんにちは」

 微笑みを浮かべたまま言われる。
 なんて返事すれば良いのか分からなくて、小さく頭だけ下げると「隣、良い?」と何故かベンチの空いたスペースを指差している。

「えっと……俺、どけましょうか?」

 もしかしたらいつも使っているベンチなのだろうかと、腰を浮かした途端、ふるふるとその先輩さんは首を振った。

「あなたとちょっとお話してみたいなって思ったから」

「えっと……」

 知り合いでしたっけ?と続けそうになって、横に座られてふいに気づいた。
 昨日、浩也と一緒に居た人だ。
 出かけ先で見たのは横顔だったから、なかなか気づかなかった。

「……浩也の彼女さん、ですよね?」

「ええ?」

 一瞬驚いた顔をして、くすくすと笑い始めた。

「もしそうだったら、どうする?」
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