Rotstufen!!─何もしなくても異世界魔王になれて、勇者に討伐されかけたので日本に帰ってきました─

甘都生てうる@なにまお!!

文字の大きさ
86 / 173
第3章 (元)魔王と勇者は宇宙樹の種子と

20話2Part (元)魔王と勇者の皇国魔王軍対策会議(?)

しおりを挟む
 同時刻、ヴァルハラ独立国家敷地内の畑に、沢山のトラックがやって来ていた。......と、そこに1人の少女が真面目な面持ちでそれを見つめながら佇んでいた。


「っおいおいおいおい!!」

「......」

「おい!!!聞いてんのか!!」

「はあ......何よ、聞こえてるわ。何?何の用?」


 その元にとある青年が大声を発しながら走って近づいてきた。The日本人な焦げ茶の髪と瞳、悪魔っけなど全くないその風貌ながら下界第13代目(元)魔王という位を持つ青年·緑丘 望桜みどりがおか まおだ。

 どうやら彼は畑にまだまだどんどんやって来るトラックとその周りについて警備している重装備の近衛兵達を見て、誰かが何かやらかそうとしているのではないかと来てみたらしい。


「お前こんな厳戒態勢で何を運びこもうとしてんだよ!!実は俺たちの首を狩るための騎士団でした~とか勇者軍でした~とかだったら許さねえからな!!」

「違うわ。......これは、キャッサバ芋よ」

「......は?」


 限りなく真剣な表情で聖火崎が告げた言葉に、固唾を飲んで続きを待っていた望桜は拍子抜けしてしまった。

 思えばこんな気持ちになったのは最終決戦の時に"ポータルを使ってここから逃げろ"と言われた時以来ではなかろうか。......今、なんと仰って?


「14代目魔王軍に対抗するためのものよ」

「いやいやいやいや、お前何言ってんの!?あんな芋っころとぷにぷにしたつぶてサイズの粒で悪魔に対抗出来るわけねえだろ!?」

「出来るわよ!!......アスタロト軍なら、追い返せるわ」

「お前馬鹿じゃねえの!?」


 ダメだこいつ......と落胆する望桜なんか心底どうでもいいといったふうに真剣な顔つきのまま、トラックを眺める聖火崎。望桜の至極真っ当な言い分をことごとく無視し、聖火崎はまだ他の"新たな魔王軍対抗策"を羅列し続ける。


「これだけじゃないのよ、例えばチーズINバーグディッシュの作り方とか......」

「アスモデウス対策!?ドッキリモンキーのメニューじゃねえか!!」

「八咫烏の卵の取り方と更に美味しいチキンライスの作り方、それから半熟オムレツの作り方とマヨネーズとケチャップを作る方法とか......」

「ルシファー対策もかよ!!あ、ならあとりんごカード100万円分とか追加するといいと思うぜ!!」

「ル〇バとかダイ〇ンとか、あとダス〇ンに空気清浄機のセット......」

「ベルフェゴール対策!!ってかあいつもう日本に永住するつもりなんだが......って違あああああああう!!!!」


 なんかもう日本の物をここウィズオート皇国にみだりに伝来していいのかとか、ベルフェゴール対策超完璧じゃんとか本当に伝えたい事とは別の事ばかりがほいほい湧き出てくるのを脳内でなんとか霧散させて、望桜はなんとか言いたい事を口にした。


「何よ!!大声出さないでちょうだい、耳に響くでしょ!?」

「お前本気でそんなんで魔王軍に対抗できると思ってんのか!?ってさっきも似たような事言ったような気が......」

「そんな事はどうでもいいのよ。今は少しでも生き残る可能性に賭ける!!それこそが勇者の使命!!」

「何言ってんの!!ほんとお前何言ってんの!?ってかお前スマホも伝来させただろ!!」


 そして東方市街で昨日見た光景を思い出して、それについても勢いに任せて言った。......ふわふわパウンドケーキを目の前にスマホでパシャパシャ写真を撮りまくった後で、『超カワイイ~!!これTritterつりったーに上げよ~☆』って言いながら画面をたぷたぷと操作している若者達だ。

 Tmitterじゃないんだ、Tritterなんだとかこちらに関しても思う事が多々あるものの、そもそもスマホやウィズオート皇国版Tmitterがある事に驚いていた。......お前の仕業か?と望桜は問うたつもりだったのだが、聖火崎の反応はまたしても望桜を拍子抜けさせた。


「......は?ちょっと何言ってるか分かんない」

「は?だってお前......」

「ウィズオート皇国には、元からスマホあるわよ」

「......は?いやいや、お前俺を騙そうったってそうはいかな......」

「そんなに私の事が信じられない?ならこれを見てちょうだい」

「これ、スマホ......ん?」


 聖火崎の言葉がどうしても信じられない、といったふうの望桜に聖火崎は1台のスマホを渡した。

 一見は日本で使われているものと大差ないのだが、画面を起動させてみたりバージョン数やアプリの内容、その他確認できる限り全てをよーく見てみると......


「......これ、日本のじゃない......?それどころか、地球で売ってるものでも......」

「これがウィズオート皇国で使われている物よ。見た目だけ見れば地球の物と変わりはないけど、性能は天地の差があるわ」

「へえぇー......うわ、マジだ。バージョン数がえげつない事になってる」


 設定画面から見ることのできるiOS端末情報の欄の1番上、"端末バージョン"の所には"端末バージョン  101.0.β"と記されている。

 いや、101の時点でなんかもう次元が違うのは分かるんだが、βって何だよ......αとかγがあるってか......?と望桜の頭の中はこの情報だけでいっぱいいっぱいなのだが、そこに更に情報を聖火崎は付け足した。


「日本でも使えるAR、Tritter、ウィズオート皇国版MINEのFINEファインはもちろん使えるわ。まあ基本的には電話の代わりとして"テレパシー"、カメラとして"シーンキーパー"、オンライン回線やインターネットとして"イデアシェアラー"を神気消費無しで使える魔法道具ミーティアとして1個日本円で安いやつは15万円位で売ってあるわ」

「便利だけど高ぇんだな......」

「当たり前よ、中級法術を修得なしで使えるんだもの。まあ貧しい人達は持ってなかったり、1つの集落共用で1個とかで所持してたりする所もあるけれど」

「勇者軍の人達は......」

「準元帥クラスになると買わされるわ。もちろん経費で落ちるから、私が買った時には1番高くて性能が良いやつを買ったのよ。150万位のやつ」

「マジか」

「勇者軍会計係曰く、普通は魔法道具ミーティア用の経費が余るらしいんだけど、私が買った年だけむしろ足りなかったらしいわ」

「お前最低だな」


 まさかの異世界技術の高さと勇者軍に会計係がいる事にも望桜は度肝を抜かれたのだが、1番は聖火崎のセコさに驚き思わず思った事を言ってしまった。

 そして魔王軍にとっては敵である勇者軍会計の事を不覚にも哀れに思ってしまった。......お疲れさまです、会計係。


「仕方ないでしょ。北方の山の中で魔獣を狩って生活してたのに、急に街中に放り出された挙句家探しまでぜーんぶ1人でさせられたんだから」

「あー......じゃなくて、とにかく変な対策たてるよりもっとしっかりしたやつをだな......」

「その点に関しては大丈夫よ。一応自衛軍の練兵とかも並行してやってるから。......ていうか、あなた(元)魔王に言われる事でもないと思うんだけど」

「あ......まあそうなんだけどな」


 先程までの調子からいきなり正論を言われ調子を狂わされる望桜。......確かに、ノリツッコミやらまともに考えろとか言ったりはしたものの、本来なら聖火崎や翠川等の勇者軍は望桜達にとっては敵だ。

 そしてふと、聖火崎からそう言われた後に、そういえば......と前々から疑問に思っていることを望桜は訊ねた。


「ってかそれを言ったらお前も、どうして日本で初めて俺達に会った時や時々再会する時、あからさまに敵対してきたりとか殺そうとしてきたりしないんだ?」

「っ、それは......」

「あ、ああ~......すまん、言いにくいことなら別に」

「私は勇者だから、悪魔を討ち滅ぼす使命を負った人間だから本当はこういう事を言うのはダメなのかもしれない」

「......」


 望桜からの問にあからさまに口ごもってしまう聖火崎に、望桜は若干申し訳なさを感じ、慌ててその言葉を取り消そうとした。しかし意外にも聖火崎がその先を自ら語りだした事により、望桜は不思議そうにしながらも大人しく閉口した。


「......私は、勇者でありながら"民を守る者"としてあってはならない行為をしたの。......あなたも覚えてるでしょ?日本で初めて葵雲に会った時のこと......まあ貴方はあの時一緒に居なかったけれど......」


 そう言って聖火崎は目を瞑り、あの時......およそ2ヶ月前の事を思い返した。葵雲が堺市役所屋上から、アオンモール堺に向かって爆炎術式を放った直後の事を。


 ──「......もう二度と、あの惨劇は繰り返させないって、誓ったのにっ......」

「あーあー、また"守れなかった"んだね、約立たず」

                     「うっ、ひぐっ、......ぉお前えええええ!!!!」────────


「......あの時、葵雲に言われたの。また"守れなかった"、役立たずって......」

「でも、結果的に俺達が守ったから」

「話が逸れたわ。勇者が、悪魔を討ち滅ぼす使命を負った私だから、本来は言ってはダメな事......」


 聖火崎は閉じた瞼を開いて、望桜に向かって力強くこう告げた。


「......私は、"人間と悪魔がいがみ合う世界"を"どちらかが一方を滅して平和に過ごす世界"じゃなくて、"互いに手を取り合って平和に過ごす世界"にしたいの。その為に、まずは全人間の"鏡"である勇者と、全悪魔の"鏡"であるあなた魔王、それからあいつら7罪が相手の事を理解しなくてはならない」

「......」

「1部の者達がダメだったから人間はダメ、悪魔はダメって決めつけちゃいけない。全体の人柄を全て確認してから、初めて"相手の本質を理解した"と言えると私は思っているわ。これだけは標本調査じゃだめなのよ」

「......お前が言いたい事は何となく理解した」


 そして聖火崎の熱弁に彼女の伝えたい事を何となく理解した望桜は、それをそのまま伝えた。しかしそれで全て、ではないらしく聖火崎は再び続きを語り始めた。


「これが私の勇者としての最終目標なの。それに......」

「それに?」

「......私も初めは"標本調査"だった。その所為で守るべき人達を死なせてしまった」


 そう言って再び目を瞑り、昔の記憶を思い起こす聖火崎。それと並行して、自身の持つ5唯聖武器の1つ"聖弓ミストルティン"に保存してある記録をホログラムを用いてその場に映し出した。映し出された映像はぼやけており、どこか赤々しくパチ、パチ......と何かが燃えるような音を発している。

 そして、その脳裏に鮮明に刻まれている記憶とその惨劇の内容を事細かに呼び起こし、


「......小規模隔離結界《クライン·アイソレーション》」


 小規模の隔離結界を張った。映像はいつしかはっきりと映し出され、移されているものがなんなのかの判断がつく程になっていた。


「うおわっ......何で隔離するんだ?」

「ここは独立国家内といえど一応ウィズオート皇国の中、いつ誰が見てるかわからないからよ。......もう遅いかもしれないけど」

「そうか......」



 望桜の相槌を聞いた後、聖火崎は昔の事を話し始めた。



 ──────────────To Be Continued─────────────



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...