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第1話
黒い龍の招待状
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ドンドンドンッ!!
そのノック音は、明らかに訪問者のそれではなく、警告、あるいは宣告に近かった。
薄いベニヤ板1枚隔てた向こう側から、台湾特有の湿った熱気と共に、殺気が滲み出してくる。
「……湊、PCを閉じろ。窓際へ下がれ。」
厳の声は、昨夜の情事の甘さを微塵も残していなかった。
瞬時にシーツを蹴り飛ばし、枕の下からトカレフを抜き取る。スライドを引く金属音が、狭い室内の空気を凍りつかせた。
湊もまた、反射的にベッドから飛び起き、まだ熱を持ったノートPCを小脇に抱え、バックパックへと放り込む。
「……厳、警察じゃない。警察なら、いきなり中国語で名乗らない。」
「ああ。……『黒龍会』と言ったな。地元のチンピラか、それとも……」
厳が銃口をドアに向けたまま、低い声で問いかける。
「……何用だ」
返答はなかった。
代わりに、錆びついたドアノブが悲鳴を上げ、蝶番ごと弾け飛んだ。
ガシャアンッ!!
蹴破られたドアから、土足の男たちが雪崩れ込んでくる。
3人。いや、廊下にもう2人。
全員が黒いスーツにノーネクタイ。手には警棒やナイフではなく、短機関銃が握られていた。
ただのチンピラではない。訓練された兵隊だ。
「動くな!」
先頭の男が銃口を向ける。
厳は半身の体勢でトカレフを構え直したが、引き金は絞らなかった。狭い室内で撃ち合えば、背後の湊に跳弾が当たるリスクがある。それに、相手の装備が厚すぎる。
「……銃を下ろせ、日本人。」
男たちの背後から、1人の小柄な男が現れた。丸眼鏡に、インテリ風の風貌。手には扇子を持っている。彼だけが、流暢な日本語を話した。
「我々は争いを好まない。……ただ、当家の主が、お2人をお茶に招きたいと言っているだけだ。」
「……朝っぱらから機関銃を持ってくるのが、台湾流の茶会の作法か?」
厳が皮肉を飛ばすが、男は表情を変えない。
「久藤厳さん。そして朝霧湊さん。……あなた方の首には、インターポールから赤手配が出ている。ここで我々と撃ち合って警察を呼ぶか、それとも大人しく招待を受けるか。……選択肢は2つに1つだ。」
厳の眉がピクリと動いた。
逃亡初日だというのに、すでに身元が割れている。情報が早すぎる。
「……湊」
「……うん。行こう、厳。この状況で『No』は選べない。」
湊が厳の背中に手を当て、小声で囁く。
厳は数秒の沈黙の後、舌打ちをしてトカレフのハンマーを戻し、放り投げた。
「……案内しろ。茶菓子くらいは用意してあるんだろうな?」
男たちが用意していたのは、窓ガラスが黒く塗りつぶされたワンボックスカーだった。
俺と湊は後部座席に押し込まれ、左右を屈強な男たちに挟まれた。
車は荒い運転で走り出す。
視界は遮断されているが、音と振動で街の様子が伝わってくる。
けたたましいスクーターの群れ、クラクションの応酬、市場の活気。
台北という街のエネルギーが、車体の鉄板越しに振動となって伝わってくる。
「……大丈夫か、湊?」
「平気だよ。……それより、GPSを見てる。」
湊は男たちの目を盗み、スマートウォッチの小さな画面を凝視していた。
「……南へ向かってる。淡水河沿い……このルートは、迪化街の方だ。」
「旧市街か。……マフィアの本拠地にしては、渋い場所だな。」
厳が湊の手を強く握る。その掌は熱く、少し汗ばんでいた。
昨夜、あんなにも深く繋がり合った指先が、今は死への恐怖を分かち合うための命綱になっている。
やがて車が止まった。
ドアが開くと、そこは赤煉瓦の古い建物が並ぶ、レトロな問屋街の路地裏だった。
漢方薬の乾いた匂いと、線香の香りが漂ってくる。
「こちらへ。」
案内されたのは、看板のない重厚な木造建築だった。
中に入ると、外の喧騒が嘘のように静まり返っている。
黒檀の家具、壁に飾られた水墨画、そして天井から吊るされた無数の鳥籠。
その最奥、薄暗い部屋の籐椅子に、一人の老婆が座っていた。
白髪を上品に結い上げ、翡翠のパイプを燻らせている。
年齢は70、いや80を超えているだろうか。だが、その瞳だけは猛禽類のように鋭く、若々しい光を放っていた。
「……よく来たね、日本の雨鴉たち。」
老婆はパイプを置き、しわがれた、しかし力強い日本語で言った。
「私が『黒龍会』の総裁、林だ。……久藤厳。お前の親父さんには、昔、世話になったよ。」
厳が息を呑んだ。
親父――かつて厳が属していた組の先代のことか。
「……あんた、先代を知っているのか?」
「ああ。戦後の混乱期、横浜の港で何度か杯を交わした仲さ。……その息子が、まさか男を囲って国を追われる身になるとはね。血は争えないというべきか、それとも因果というべきか…」
林 老婆は、喉の奥でクックと笑った。
その笑いは好意的なものではない。値踏みするような、冷徹な響きを含んでいた。
「……昔話をしに来たんじゃねえ。俺たちをどうする気だ。警察に売るか?」
「警察? フン、あんな犬どもに用はない。」
老婆は扇子を開き、湊の方を顎でしゃくった。
「そこの小僧。……朝霧湊と言ったね。シンガポールの客船を沈めたハッカー…」
「……沈めたわけじゃない。停電させただけです。」
湊が気丈に言い返す。
老婆は目を細めた。
「度胸はあるようだね。……単刀直入に言おう。お前たちには、私の仕事を手伝ってもらいたい。」
老婆がテーブルの上に1枚の写真を投げ出した。
写っているのは、台北101を背景に握手をする、2人の男。1人は政治家風の台湾人。もう1人は――。
「……大陸の公安か?」
厳が呟く。
「そうだ。最近、大陸の連中がこのシマに入り込んで、私の可愛い庭を荒らしている。……表向きは投資会社だが、裏では大規模な地上げと、我々の資金源である地下銀行の乗っ取りを画策していてね…」
老婆はパイプを吸い、紫煙を吐き出した。
「奴らのサーバーに侵入し、顧客リストと裏帳簿を盗み出せ。……それができれば、お前たちの台湾での身分と安全を保証してやる。新しい戸籍も、隠れ家も、すべて用意しよう。」
取引だ。
逃亡者にとって、喉から手が出るほど欲しい「安全」を餌にした、危険極まりない仕事。
「……断ったら?」
「この路地を出た瞬間に、お前たちの居場所を警察と大陸のマフィアに通報する。……19歳差の悲恋は、台湾の冷たい刑務所の中で終わるだろうね。」
絶対的な脅迫。
厳は拳を握りしめ、湊を見た。
湊は真っ直ぐに厳を見つめ返している。その瞳は「やるしかない」と語っていた。
ハッキングなら湊の独壇場だ。だが、相手は国家規模の組織バックに持つ大陸のマフィア。失敗すれば死よりも酷い結末が待っている。
「……1つ、条件がある。」
厳が1歩前に出た。
「仕事は受ける。……だが、湊には指1本触れさせるな。現場の指揮は俺が執る。そして――」
厳は言葉を区切り、老婆を射抜くように睨みつけた。
「俺たちがこの国で『結婚』するための、法的な後ろ盾を用意しろ。」
その言葉に、湊が驚いて顔を上げる。
昨夜、言葉を濁していた厳が、まさかこの場でそれを口にするとは。
老婆は一瞬きょとんとした後、部屋が揺れるほどの大笑いをした。
「アハハハハ! 面白い! 命の保証よりも先に、愛の証明を欲しがるか! まったく、呆れたロマンチストだねえ!」
老婆は涙を拭い、ニヤリと笑った。
「いいだろう。仕事が成功した暁には、私が仲人になってやる。……台北で1番派手な式を挙げてやろうじゃないか。」
契約は成立した。
俺たちは、龍の顎の中に飛び込んだのだ。
「……行くぞ、湊。光華商場で機材を調達する。」
「……うん。でも厳、本気なの? さっきの……」
「仕事の話だ。今は集中しろ。」
厳は照れ隠しのように湊の頭を乱暴に撫で、踵を返した。
背中で語る男の不器用な愛。
湊はその背中を見つめ、小さく微笑んだ。
外に出ると、スコールは上がっていた。
濡れたアスファルトが蒸気を上げ、台北の街が蜃気楼のように揺らいでいる。
Formosa Blues。
俺たちの新しい戦争が、この熱帯の島で幕を開けた。
そのノック音は、明らかに訪問者のそれではなく、警告、あるいは宣告に近かった。
薄いベニヤ板1枚隔てた向こう側から、台湾特有の湿った熱気と共に、殺気が滲み出してくる。
「……湊、PCを閉じろ。窓際へ下がれ。」
厳の声は、昨夜の情事の甘さを微塵も残していなかった。
瞬時にシーツを蹴り飛ばし、枕の下からトカレフを抜き取る。スライドを引く金属音が、狭い室内の空気を凍りつかせた。
湊もまた、反射的にベッドから飛び起き、まだ熱を持ったノートPCを小脇に抱え、バックパックへと放り込む。
「……厳、警察じゃない。警察なら、いきなり中国語で名乗らない。」
「ああ。……『黒龍会』と言ったな。地元のチンピラか、それとも……」
厳が銃口をドアに向けたまま、低い声で問いかける。
「……何用だ」
返答はなかった。
代わりに、錆びついたドアノブが悲鳴を上げ、蝶番ごと弾け飛んだ。
ガシャアンッ!!
蹴破られたドアから、土足の男たちが雪崩れ込んでくる。
3人。いや、廊下にもう2人。
全員が黒いスーツにノーネクタイ。手には警棒やナイフではなく、短機関銃が握られていた。
ただのチンピラではない。訓練された兵隊だ。
「動くな!」
先頭の男が銃口を向ける。
厳は半身の体勢でトカレフを構え直したが、引き金は絞らなかった。狭い室内で撃ち合えば、背後の湊に跳弾が当たるリスクがある。それに、相手の装備が厚すぎる。
「……銃を下ろせ、日本人。」
男たちの背後から、1人の小柄な男が現れた。丸眼鏡に、インテリ風の風貌。手には扇子を持っている。彼だけが、流暢な日本語を話した。
「我々は争いを好まない。……ただ、当家の主が、お2人をお茶に招きたいと言っているだけだ。」
「……朝っぱらから機関銃を持ってくるのが、台湾流の茶会の作法か?」
厳が皮肉を飛ばすが、男は表情を変えない。
「久藤厳さん。そして朝霧湊さん。……あなた方の首には、インターポールから赤手配が出ている。ここで我々と撃ち合って警察を呼ぶか、それとも大人しく招待を受けるか。……選択肢は2つに1つだ。」
厳の眉がピクリと動いた。
逃亡初日だというのに、すでに身元が割れている。情報が早すぎる。
「……湊」
「……うん。行こう、厳。この状況で『No』は選べない。」
湊が厳の背中に手を当て、小声で囁く。
厳は数秒の沈黙の後、舌打ちをしてトカレフのハンマーを戻し、放り投げた。
「……案内しろ。茶菓子くらいは用意してあるんだろうな?」
男たちが用意していたのは、窓ガラスが黒く塗りつぶされたワンボックスカーだった。
俺と湊は後部座席に押し込まれ、左右を屈強な男たちに挟まれた。
車は荒い運転で走り出す。
視界は遮断されているが、音と振動で街の様子が伝わってくる。
けたたましいスクーターの群れ、クラクションの応酬、市場の活気。
台北という街のエネルギーが、車体の鉄板越しに振動となって伝わってくる。
「……大丈夫か、湊?」
「平気だよ。……それより、GPSを見てる。」
湊は男たちの目を盗み、スマートウォッチの小さな画面を凝視していた。
「……南へ向かってる。淡水河沿い……このルートは、迪化街の方だ。」
「旧市街か。……マフィアの本拠地にしては、渋い場所だな。」
厳が湊の手を強く握る。その掌は熱く、少し汗ばんでいた。
昨夜、あんなにも深く繋がり合った指先が、今は死への恐怖を分かち合うための命綱になっている。
やがて車が止まった。
ドアが開くと、そこは赤煉瓦の古い建物が並ぶ、レトロな問屋街の路地裏だった。
漢方薬の乾いた匂いと、線香の香りが漂ってくる。
「こちらへ。」
案内されたのは、看板のない重厚な木造建築だった。
中に入ると、外の喧騒が嘘のように静まり返っている。
黒檀の家具、壁に飾られた水墨画、そして天井から吊るされた無数の鳥籠。
その最奥、薄暗い部屋の籐椅子に、一人の老婆が座っていた。
白髪を上品に結い上げ、翡翠のパイプを燻らせている。
年齢は70、いや80を超えているだろうか。だが、その瞳だけは猛禽類のように鋭く、若々しい光を放っていた。
「……よく来たね、日本の雨鴉たち。」
老婆はパイプを置き、しわがれた、しかし力強い日本語で言った。
「私が『黒龍会』の総裁、林だ。……久藤厳。お前の親父さんには、昔、世話になったよ。」
厳が息を呑んだ。
親父――かつて厳が属していた組の先代のことか。
「……あんた、先代を知っているのか?」
「ああ。戦後の混乱期、横浜の港で何度か杯を交わした仲さ。……その息子が、まさか男を囲って国を追われる身になるとはね。血は争えないというべきか、それとも因果というべきか…」
林 老婆は、喉の奥でクックと笑った。
その笑いは好意的なものではない。値踏みするような、冷徹な響きを含んでいた。
「……昔話をしに来たんじゃねえ。俺たちをどうする気だ。警察に売るか?」
「警察? フン、あんな犬どもに用はない。」
老婆は扇子を開き、湊の方を顎でしゃくった。
「そこの小僧。……朝霧湊と言ったね。シンガポールの客船を沈めたハッカー…」
「……沈めたわけじゃない。停電させただけです。」
湊が気丈に言い返す。
老婆は目を細めた。
「度胸はあるようだね。……単刀直入に言おう。お前たちには、私の仕事を手伝ってもらいたい。」
老婆がテーブルの上に1枚の写真を投げ出した。
写っているのは、台北101を背景に握手をする、2人の男。1人は政治家風の台湾人。もう1人は――。
「……大陸の公安か?」
厳が呟く。
「そうだ。最近、大陸の連中がこのシマに入り込んで、私の可愛い庭を荒らしている。……表向きは投資会社だが、裏では大規模な地上げと、我々の資金源である地下銀行の乗っ取りを画策していてね…」
老婆はパイプを吸い、紫煙を吐き出した。
「奴らのサーバーに侵入し、顧客リストと裏帳簿を盗み出せ。……それができれば、お前たちの台湾での身分と安全を保証してやる。新しい戸籍も、隠れ家も、すべて用意しよう。」
取引だ。
逃亡者にとって、喉から手が出るほど欲しい「安全」を餌にした、危険極まりない仕事。
「……断ったら?」
「この路地を出た瞬間に、お前たちの居場所を警察と大陸のマフィアに通報する。……19歳差の悲恋は、台湾の冷たい刑務所の中で終わるだろうね。」
絶対的な脅迫。
厳は拳を握りしめ、湊を見た。
湊は真っ直ぐに厳を見つめ返している。その瞳は「やるしかない」と語っていた。
ハッキングなら湊の独壇場だ。だが、相手は国家規模の組織バックに持つ大陸のマフィア。失敗すれば死よりも酷い結末が待っている。
「……1つ、条件がある。」
厳が1歩前に出た。
「仕事は受ける。……だが、湊には指1本触れさせるな。現場の指揮は俺が執る。そして――」
厳は言葉を区切り、老婆を射抜くように睨みつけた。
「俺たちがこの国で『結婚』するための、法的な後ろ盾を用意しろ。」
その言葉に、湊が驚いて顔を上げる。
昨夜、言葉を濁していた厳が、まさかこの場でそれを口にするとは。
老婆は一瞬きょとんとした後、部屋が揺れるほどの大笑いをした。
「アハハハハ! 面白い! 命の保証よりも先に、愛の証明を欲しがるか! まったく、呆れたロマンチストだねえ!」
老婆は涙を拭い、ニヤリと笑った。
「いいだろう。仕事が成功した暁には、私が仲人になってやる。……台北で1番派手な式を挙げてやろうじゃないか。」
契約は成立した。
俺たちは、龍の顎の中に飛び込んだのだ。
「……行くぞ、湊。光華商場で機材を調達する。」
「……うん。でも厳、本気なの? さっきの……」
「仕事の話だ。今は集中しろ。」
厳は照れ隠しのように湊の頭を乱暴に撫で、踵を返した。
背中で語る男の不器用な愛。
湊はその背中を見つめ、小さく微笑んだ。
外に出ると、スコールは上がっていた。
濡れたアスファルトが蒸気を上げ、台北の街が蜃気楼のように揺らいでいる。
Formosa Blues。
俺たちの新しい戦争が、この熱帯の島で幕を開けた。
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