28 / 95
明け方のラブホテルにて
9
しおりを挟む
「いやいや、許可なく拳銃改造して、許可なく模擬弾をぶっ放して、それを捜査一課に指摘されたからって、捜査一課の連中に向かってぶっ放せば、そりゃ謹慎処分にもなるわ。なぁ?」
堀口の肩を田之上が叩いて同意を求めてくるが、話がぶっ飛び過ぎていて、どう反応していいのか分からない。とりあえず苦笑いを浮かべながら、曖昧に頷くことしかできなかった。
「あいつらも馬鹿だよねぇ。僕が本気であいつらのことを撃つわけないじゃん。時代劇でいうところの峰打ちだよ? それなのに、ギャーギャーと騒いでさぁ。あの無能な集団、どうにかならないのかねぇ」
同性から見ても明らかに細身で、シャギーの入った黒髪に聡明そうな眼鏡顔。外見だけはまともに見えたものだから期待してしまったが、やはり六課の人間は六課の人間ということか。謹慎処分になった理由も妥当ではないか。
ただ、刑事が拳銃を扱うには、原則的なルールが存在する。当たり前のように拳銃を現場に持ち込めるなんて、六課には特例でもあるのだろうか。
「まぁ、なんにせよ桂も復帰したことだし、これで俺は堂々とサボれるわけだ。ということで寝る。おやすみなさい」
これまでも堂々とサボっていたではないか。思わず喉まで出かかった言葉を堀口が飲み込むと、ついさっき桂が入ってきたばかりの扉が再びノックされた。普段はほとんど人が寄りつかない部署なだけに、今日はやけに六課が騒がしいような気がする。
今度はぴっちりと髪の毛をワックスで整えた、小柄な男だった。年齢的には若く見えるが、それは小柄なせいなのかもしれない。
「ちょっとこっちに用事があったので、寄らせてもらいました」
桂に雅、そして薄目を開けた田之上は男のことを知っているらしく、特に田之上がわざとらしく大きな溜め息をついた。どう見ても歓迎しているようには見えなかった。
「捜査一課の使いっ走りが何の用だ?」
「相変わらず口が悪いですね。とりあえずこれをお納めください」
男はそう言いつつ、片手に持っていた箱を応接テーブルの上へと置いた。箱には毛筆体で【宝文堂】と書かれている。
「捜査一課の使いっ走りにしては気が利くじゃねぇか」
田之上がむくりと起き上がる。それに対して「そして相変わらず現金ですね」と男はぽつりと漏らして続ける。
「宝文堂の焼きプリン。確か天野さん好きだったよね?」
男の言葉を遮り、目を爛々と輝かせていた雅が、いきなり男に抱きついた。
「さっすが、ぼんばーいぇー! 分かってるぅ!」
堀口の肩を田之上が叩いて同意を求めてくるが、話がぶっ飛び過ぎていて、どう反応していいのか分からない。とりあえず苦笑いを浮かべながら、曖昧に頷くことしかできなかった。
「あいつらも馬鹿だよねぇ。僕が本気であいつらのことを撃つわけないじゃん。時代劇でいうところの峰打ちだよ? それなのに、ギャーギャーと騒いでさぁ。あの無能な集団、どうにかならないのかねぇ」
同性から見ても明らかに細身で、シャギーの入った黒髪に聡明そうな眼鏡顔。外見だけはまともに見えたものだから期待してしまったが、やはり六課の人間は六課の人間ということか。謹慎処分になった理由も妥当ではないか。
ただ、刑事が拳銃を扱うには、原則的なルールが存在する。当たり前のように拳銃を現場に持ち込めるなんて、六課には特例でもあるのだろうか。
「まぁ、なんにせよ桂も復帰したことだし、これで俺は堂々とサボれるわけだ。ということで寝る。おやすみなさい」
これまでも堂々とサボっていたではないか。思わず喉まで出かかった言葉を堀口が飲み込むと、ついさっき桂が入ってきたばかりの扉が再びノックされた。普段はほとんど人が寄りつかない部署なだけに、今日はやけに六課が騒がしいような気がする。
今度はぴっちりと髪の毛をワックスで整えた、小柄な男だった。年齢的には若く見えるが、それは小柄なせいなのかもしれない。
「ちょっとこっちに用事があったので、寄らせてもらいました」
桂に雅、そして薄目を開けた田之上は男のことを知っているらしく、特に田之上がわざとらしく大きな溜め息をついた。どう見ても歓迎しているようには見えなかった。
「捜査一課の使いっ走りが何の用だ?」
「相変わらず口が悪いですね。とりあえずこれをお納めください」
男はそう言いつつ、片手に持っていた箱を応接テーブルの上へと置いた。箱には毛筆体で【宝文堂】と書かれている。
「捜査一課の使いっ走りにしては気が利くじゃねぇか」
田之上がむくりと起き上がる。それに対して「そして相変わらず現金ですね」と男はぽつりと漏らして続ける。
「宝文堂の焼きプリン。確か天野さん好きだったよね?」
男の言葉を遮り、目を爛々と輝かせていた雅が、いきなり男に抱きついた。
「さっすが、ぼんばーいぇー! 分かってるぅ!」
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
後宮の偽花妃 国を追われた巫女見習いは宦官になる
gari@七柚カリン
キャラ文芸
旧題:国を追われた巫女見習いは、隣国の後宮で二重に花開く
☆4月上旬に書籍発売です。たくさんの応援をありがとうございました!☆ 植物を慈しむ巫女見習いの凛月には、二つの秘密がある。それは、『植物の心がわかること』『見目が変化すること』。
そんな凛月は、次期巫女を侮辱した罪を着せられ国外追放されてしまう。
心機一転、紹介状を手に向かったのは隣国の都。そこで偶然知り合ったのは、高官の峰風だった。
峰風の取次ぎで紹介先の人物との対面を果たすが、提案されたのは後宮内での二つの仕事。ある時は引きこもり後宮妃(欣怡)として巫女の務めを果たし、またある時は、少年宦官(子墨)として庭園管理の仕事をする、忙しくも楽しい二重生活が始まった。
仕事中に秘密の能力を活かし活躍したことで、子墨は女嫌いの峰風の助手に抜擢される。女であること・巫女であることを隠しつつ助手の仕事に邁進するが、これがきっかけとなり、宮廷内の様々な騒動に巻き込まれていく。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 190万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる