巣喰RAP【スクラップ】 ―日々の坂署捜査第六課―

鬼霧宗作

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明け方のラブホテルにて

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 彼女に対する先入観もあるのだろうが、迷いもなく異性に抱きつく姿には溜め息が漏れてしまう。曲がりなりにも、相手は捜査一課の人間のようであるのに、実にフレンドリーな対応である。ちなみに【ぼんばーいぇー】までが彼に付けられたあだ名なのだろうか。

「天野さん、こういうことをするから、他の課の人から誤解されるんですよ。控えたほうがいい」

 男は子どもの相手をするかのように雅をあしらい、頬を膨らませた雅は、しかし宝文堂の箱を見るなり再び目を輝かせた。

「――あ、捜査一課の凡場君だよ。ここじゃ虐げられている僕達に、親しくしてくれる数少ない人間だよ」

 どうやら男の名は凡場というらしい。明らかに自分より年下のようだし、この六課に事実上の左遷となってしまった自分のことは、どう思われているのだろう。凡場と目が合って会釈を交わすと、自然と互いの自己紹介となった。

「うひゃぁ! 宝文堂のプレミアム焼きプリン! これ高いから中々食べられないんだよねぇ」

「雅、とりあえずお茶だ。とびっきりに濃い緑茶だ!」

 背後のほうでは田之上と雅が焼きプリンへの興奮を見せていたが、堀口は簡単に凡場と自己紹介を交わした。焼きプリンに特化した宝文堂という店に、いささか興味を抱きつつ……。

「六課に配属になって気を落とされているかもしれませんが、人間性さえ気にしなければ、ここは優秀な人間の集まりだと僕は思っていますから。今後、今日みたいに顔を出させてもらうこともあると思います。よろしくお願いします」

 この署にやってきて、ようやくまともな人に会えたような気がする。堀口は「こちらこそよろしくお願いします」と、しつこいくらいに握手を交わした。

「で、今日は何の用だい? まさか、君が素直にプレゼントだけを持ってきたとは思えないんだけど」

 応接セットのほうでは、プレミアム焼きプリンの品評会が始まっていたが、桂はそこには混ざらずに凡場の対応をする。どんぐりの背比べにはなるが、まだ桂のほうが、田之上や雅よりかはまともらしい。凡場は苦笑いを浮かべると、脇に挟んでいた茶色い封筒を差し出してきた。

「今、世間を賑わせている連続猟奇殺人事件の資料です。はっきり言って捜査は行き詰まっています。お上の方々からも六課に事件を回せと急かされましてね――。進藤警部はそれが丸投げみたいになるから面白くないようで、だから代理ということで私が」
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