巣喰RAP【スクラップ】 ―日々の坂署捜査第六課―

鬼霧宗作

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明け方のラブホテルにて

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 日々の坂を取り囲む山の中腹にある展望台は、週末の夜ともなると若いカップルで賑わうらしい。もっとも、展望台から景色を眺めるなど形だけで、賑わうのは丘陵公園の駐車場のほうだ。展望台以外、何もない丘陵公園へと車で訪れたカップルがやることと言えば……もはやみなまで言うまい。お盛んなことである。

 被害者は遠野渉とおのわたる24歳と渡辺果歩わたなべかほ25歳。同じ会社の同僚であり、調べによると結婚を間近に控えたカップルだったらしい。皮肉なことに不純な動機を抱えたカップルだらけの中で、二人の趣味は天体観測だったとか。

 遺体は駐車場の隅に投げ捨てられるかのように重なって遺棄されており。被害者が所有していた車は窓ガラスが割られている状態で見つかった。例に漏れず死因は焼死であり、車の助手席に件のプレートが残されていた。後の捜査の結果、女性のほうがストーカー被害に遭っており、何度か警察に届け出ていたことが発覚。捜査の進展と同時に、またしても警察の信用が失墜すると思われたが、どうやら被害者の被害妄想であり、ストーカーなど存在しないことが周囲の関係者の証言から判明した。なんでも、男性に結婚を決断させるために、ストーカー被害を装ったらしい。

 様々な証言を鵜呑みにせず、交友関係などを綿密に洗ってみたものの、やはりストーカーらしき人物は捜査線上に上がって来なかった。結局、ストーカー被害を未然に防げなかったというマスコミが喜びそうな失態は免れたものの、カップルや夫婦を狙った連続殺人鬼の手掛かりは依然として掴めないまま。いっそのこと、手掛かりに繋がるのであればストーカー被害を防げなかった汚名を着せられたほうがマシ――などという意見まで挙がる始末であった。

 警察が全力を尽くしたとしても、それこそ寝ずに延々と仕事を続けても、市民は結果しか見てくれない。カップル連続猟奇殺人の犯人が捕まらなければ、どれだけ尽力しようが警察の信用は失墜していくだけ。警察全体にピリピリした空気が張り詰め、進展を見せぬ事件に誰もが苛立ちを見せていた頃……第三の事件からわずか数日後だったにも関わらず、第四の事件は起きてしまったのである。

 現場は日々の坂市西部の住宅街の一角。合併時にニュータウンとして開発された際に、憩いの場として設けられた森林公園の雑木林の中であった。ニュータウンという近代的なおもむきに反し、住民の要望で作られた森林公園は、それこそ住宅街の一角にあるのがもったいないほど、多くの緑に囲まれた公園である。その本格的な自然が織りなす公園は、週末になると市外から訪れる人がいるほど、日々の坂市では有名なスポットとなっていた。
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