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キョウPart2

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 オレは今すこぶる機嫌がいい。
そりゃそうだろ。

やっとアスが手に入ったんだから。

 アスはまだ認めてはいないが、あれは遊びたくてウズウズしてるのに知らん顔をしている猫と同じだ。
すぐに馴れて飛びついてくるだろう。

 あぁ、いつアスの処女をいただこうか?
流石に今日は最後まではしなかった。場所も場所だったしな。
ここまで待ったんだ。アスが心構えをする時間くらい待てる。
アスママとも約束をしたし、最後の一線はアスの合意を得てからだ。
そんなに長い時間じゃないさ。

 そろそろ親父が帰って来るな。ちょうど飯も炊けたし、今日はチャーハンでも作ってやるか。
親父の帰宅時間は大体七時~八時頃。いつもオレが米を炊いておく。
余裕があれば味噌汁なんかの汁物も作る。

そして親父が何か「貰って」来る。
どこにでも親父のファンが居るんだよ。ファンと言っても、バンドのファンではなく、普通の奥様方だ。

営業先ではパートさん達にお土産やら、お裾分けを渡される。流石に手作りは勘弁してもらっているみたいだが、お中元、お歳暮の時期には高級カニ缶なんかも貰って来てたな。

そして、帰り道にある肉屋の奥さんと惣菜屋の奥さん。この二人は毎日競うように店の残り物のコロッケや惣菜を親父に押しつけて来る。
申し訳ないので、本当に毎日いただいて大丈夫なのかご主人達に聞いてみた事があるが、どうやらこの奥様方は昔、二人してジャ◯オタだったらしく、
「地方の公演にまで泊まりで行かれるよりは、売れ残りをジュンくんに渡す方が何百倍もマシでお釣りが来る。」
と、ご主人二人は笑っていた。

ちなみに親父の名前は秋月 潤弥(あきづき じゅんや)近所の奥様方にはジュン様と呼ばれている。

 そんなわけで、米さえ用意すれば飯が食える。何も貰わなかった日には親父が何か買って来るしな。

 親父が帰って来た。

「ただいま。うぉっ!珍しいなキョウ。チャーハン作ってくれたのかよ?
ちょうどいいわ。から揚げとポテサラ、こっちは焼売とナムルだとよ。」

あの奥様方は、毎日打ち合わせをしているのか、それなりに統一感のあるメニューを渡してくれる。
ジュン様の「ありがとう」の言葉と笑顔のために。
申し訳なく思うが、正直助かっているのでありがたくいただいている。

「ああ、いいじゃん。オレ並べとくから着替えて来たら?」

「ふうーん。お前何かいい事あったのか?珍しく顔がニヤけてんぞ。いっつも無表情のくせに。」

 手洗いうがいをし、着替えた親父がビールを冷蔵庫から出して食卓についた。

「で、あれか?そこまでお前が機嫌がいいってことは、遂にアスラちゃんに手ぇ出したのか?」

 話が早すぎるが、オレの機嫌がいいなんてアス絡みでしかないからな。

「まぁな。」

「お前、アスママさんに顔向け出来ねぇようなことはするなよ。合意は必要だからな。」

「・・・今日、アスママにも釘刺された。」

「はぁ?お前、ずっと無視してた子に手ぇ出して、いきなり親に顔合わせれんの?すげぇな。どんな心臓してんだよ。」

「・・アスママとは、去年話したんだよ。今までのことも大体分かってくれてて、アスの気持ちを無視しないならって認めてくれてる。」

「へぇー。自分の息子がゲイになってもいいのか。理解ある母親で良かったな。
で、肝心のアスラちゃんは?
あんな仕打ちされてたのに許してくれんの?」

「いや、まだだけど大丈夫だ。すぐに懐く。」

「怖っ!我が息子ながら怖いわ~アスラちゃんが可哀そうだわ~」

「うるせぇんだよ。茶化すな。
・・親父も似たようなもんじゃねぇか。
レンさんの事、騙したようなもんだろ?あの人ノンケだったじゃん。」


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