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お仕事開始

6 崎守 正人Side

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 (なんだ、あいつ……。)

 俺は自分の出番が来るまで台本を読み込んでいると見せかけて、仕事真っ只中の昴さんの横顔を見ていた。

 (昴さん、そいつは一体誰ですか…。)

 が、休憩をしている昴さんの横に背の高い男が座っている。えらく距離が近い上に親し気だ。

 少しだけ話しているかと思うと、男は昴さんに肩を寄せて、先程よりも近い距離で話し出した。

そして、

 (!!!…あの野郎……。)

 男はこちらにチラリと目線を寄越すと、ニヤリと笑った。

 (あいつ、気付いててやってんのか、部屋の外に誰がいんのか確認しとけば良かった…。)

 今更後悔しても仕方がない、だから、俺は男に釘をさしておく事にした。

 (あ~、今なら目で人殺せるわ。)

 男は絶対にこちらの存在に気付いてる、なので睨んでいるのだが、果たして効くかどうか。

 しばらく睨んでいると、男は昴さんからやっと離れて行った。

 「昴さん。」
 「ん?、あー正人君。どうしたの?」

 昴さんの近くに行くと、昴さんがほんわかとした可愛らしい笑みを向けてくれた。

 (さっきの人は誰ですか。)
 「可愛いですね。」
 「え?」
 「すみません、間違えました。」

 本音が出てしまった。
 昴さんがキョトンとしている。その顔も可愛いけれど。

 「さっきの男の人、誰ですか?」

 俺は隣に座って顔を寄せた。

 「うおっ、ちょいちょい、今は人も多いから、落ち着いて?話すから。」
 「お願いします。」

 渋々少しだけ離れると、昴さんが説明してくれた。

 「彼は野乃斗絆といって、高校の同級生だよ。声優になって再開したんだ。だから、もし彼との関係を疑っているのなら杞憂だよ。」
 「でもあの人はそうじゃなかったら?」
 「は?……そんな訳ないよ、確かに俺がバイだって事は彼も知ってるけど、彼とはいたした事もなければそんな話をした事もないから。」
 「………。」

 微笑みながらそう言う昴さん。
 一瞬気付かなかったが……

 「昴さん。」
 「ん?」
 「彼とって何ですか。」
 「あっ。」

 昴さんはしまったという顔をすると、気不味そうにこちらを見てきた。

 「え~っと、まぁそのままの意味かな。」
 「そのままの意味って?他の同級生とは致した事があると?致したってそういう意味ですよね?高校生活はそんなに爛れた日々を過ごしてたんですか?ねぇ昴さ…」
 「分かった!分かったから落ち着いて、誰彼構わずしてた訳じゃないし、爛れた日々とか過ごしてないから!」  

 必死に弁護をする昴さんを可愛いと思いながらも、中々腹の中の黒いところは落ち着かず。

 「昴さん、今日の仕事先に終わっても待っててもらえますか?俺も先に終わったら待ってるんで。」
 「え、あの。」
 「外は危ないので俺の楽屋にでも居て下さい。」
 「え?でも。」
 「じゃあ、次の仕事、頑張りましょうね!」
 「あ、う、うん……。」

 昴さんは頭の中がまとまっていないのか、取り敢えず返事をしている。

 (さて、仕事終わりが楽しみだな~。)

 俺は小さく鼻歌を歌いながら昴さんのもとを離れた。





















******

 今更ですが、作品内での仕事の様子などは全て僕の想像と豆粒ほどの知識から来てますので、あまり気にしないで下さい。
 もし明らかにおかしなところがあれば、コメントで教えて下さると有り難いです(_ _)


 あっ、アイコン変えました
 (-ω-)

















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