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解明編
アビリティ保持者
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「ちと頼みてえことがあんだが、いいか?」
樹からそう言われて彼に連れてこられた場所はすでに廃墟になったとある小さなビル街の一角。
「こんなとこまできてなにすんの?」
「ああ、大将は昔の俺のことは知ってるよな。アライブに入る前の不良で、集団を率いてた時期」
「ん、なんせその不良が俺に喧嘩を吹っかけてきたんだしな」
笑いながら樹にそう言うと「忘れてくれ・・・」と頭を掻きながら苦い顔した。
「まあともかく、そん時の俺らと敵対してた別の不良集団がどうやらここ最近、この廃墟を根城にしてるらしい」
「ふーん、でもそれだけなら警察にでも通報すればいいんじゃ?」
「それがそうもいかねえんだ。その集団のリーダー、吉田っつうんだが、アビリティを使えるようになったっつう話なんだ」
「・・・なるほど。それじゃ警察には無理だわ」
警察にはアビリティ保持者はいない。よって警察はアビリティとは関係ない案件しか取り扱えない。逆にいえばアビリティが関係しない案件にアライブは関与しない。アライブが起ち上がったときに警察との区別をつけようと政府がそういう法を作ったのだ。
「つまりアライブでもなくうちがやるのは、不良時代に知った仲だったからってことか?」
「まあ、そういうこった。けど向こうも数はかなりある。だから大将がいてくれりゃあ俺も心強いってわけだ。巻き込んじまうのは申し訳ねえが」
「まあ面倒なのは確かだが、他でもない樹の頼みだし。引き受けよう」
「・・・恩に着るぜ、大将」
ふっ、と笑って凜に感謝する。そうこう話しているうちに目的地に到着した。すると廃墟の中から対象の集団とそのリーダーらしき人物が出てきた。
「ふん、懐かしいクソみてえな気配がすると思ったら・・・やっぱりてめえかよ、秀道」
茶髪でなかなかに筋肉質な体躯をした20歳前後の男がどこかイヤそうに、けどほんの少しだけ楽し気な顔をしてそういった。
「ハッ、そういうてめえも昔と変わらねえな。いまだにお山の大将きどってんのかよ、吉田」
「どこぞのエリートさまとは違うんでね。おれあここのトップやってんのがお似合いなんだよ」
お互い嫌味たっぷりに言い合った。
「んで? エリートさまはおれらはぐれモノを逮捕しにきましたってか?」
「そうだといったら?」
すると周りの不良たちも含め吉田はゲラゲラと笑い声を上げた。
「おいおい、いくらなんでも舐めすぎじゃねえか? たった二人、しかも片方はまだガキじゃねえか。んなんでおれらに勝てると思ってんのか?」
「思ってなきゃたった二人で来るわきゃねえだろ」
それを聞いて吉田はさらに笑いながら言った。
「クハハ、そうかよ。・・・おいてめえら」
そういうと不良たちは二人を囲んで逃げ道をふさぐ。
「大将、わりいが周りの雑魚を頼む。おれはやつとケリつけてくる」
「ああ、こっちは気にせず存分にやってこい」
「・・・ちっ、本当に舐め腐ってやがる。 いいぜ、秀道・・・てめえはおれが相手してやる」
言いながら吉田は手を挙げて戦闘開始の合図をだす。
「てめえら、そっちのガキは好きにしていい。・・・やれ」
「「「ひゃああっはあああ!!!」」」
不良たちはどこか世紀末風な奇声をあげながら凜を襲う。
「さて、んじゃこっちもおっぱじめようぜ、秀道!」
「ああ、きやがれ吉田!」
二人は一気に距離を詰め、拳と拳をぶつける。そして続けざまに蹴り、また拳とすさまじい速度で格闘戦を繰り広げる。
「クッハハ、どうやら腕は鈍ってねえみてえだな!」
「てめえこそ今の俺についてこれるなんてなあ! 正直期待してなかったが、この分なら少しは楽しめそうだ!」
言葉を交わしながらも二人の攻防はより一層激しさを増していく。
一方、凜のほうはというと。
「な、なんだこのガキ、全然攻撃が当たらねえ!?」
「ど、どうなってやがる!?」
大勢で一斉に攻撃するも、凜にはカスリもせず、ただ体力を消耗するだけだった。
「ま、動きは単調だし、喧嘩慣れしてるっていっても所詮素人に毛が生えたくらいだしね」
「くっ、調子に乗りやがって!!」
向きになった不良たちはさらに攻撃を仕掛けるが。
「ほい、ほいっと」
ひょいひょいと軽い身のこなしで交わしていく凜。
「クソがーーー!!」
「はは、だから当たらないって」
さらにからかってみせる凜。
「とはいえ、さすがにこれ以上時間かける必要もないし。そろそろ終わりにしますか」
そう言うと凜の雰囲気が一気に変化し、周囲にただならぬプレッシャーをかける。
「うっ、な、なんだこいつ。急に空気が・・・」
「ああ、安心しなよ。痛みを感じることもなく一瞬で終わるから」
瞬間、凜の姿が消えた。かと思った次の瞬間には少しの衝撃を感じ、不良たちは一斉に倒れ伏した。
少し離れた場所からその光景をみた吉田が驚きの声を上げた。
「なっ!! いったい何が!?」
「だから言ったろ。二人でも勝てるってよ。・・・そもそも大将は俺なんかより実力は遥かに上だ。あんなチンピラが複数人束になろうと勝てるもんかよ」
「クソ!! ふざけやがって!!」
「さて、んじゃま、こっちもそろそろケリつけようぜ。 吉田ぁ!」
樹は再び吉田に襲い掛かった。
樹からそう言われて彼に連れてこられた場所はすでに廃墟になったとある小さなビル街の一角。
「こんなとこまできてなにすんの?」
「ああ、大将は昔の俺のことは知ってるよな。アライブに入る前の不良で、集団を率いてた時期」
「ん、なんせその不良が俺に喧嘩を吹っかけてきたんだしな」
笑いながら樹にそう言うと「忘れてくれ・・・」と頭を掻きながら苦い顔した。
「まあともかく、そん時の俺らと敵対してた別の不良集団がどうやらここ最近、この廃墟を根城にしてるらしい」
「ふーん、でもそれだけなら警察にでも通報すればいいんじゃ?」
「それがそうもいかねえんだ。その集団のリーダー、吉田っつうんだが、アビリティを使えるようになったっつう話なんだ」
「・・・なるほど。それじゃ警察には無理だわ」
警察にはアビリティ保持者はいない。よって警察はアビリティとは関係ない案件しか取り扱えない。逆にいえばアビリティが関係しない案件にアライブは関与しない。アライブが起ち上がったときに警察との区別をつけようと政府がそういう法を作ったのだ。
「つまりアライブでもなくうちがやるのは、不良時代に知った仲だったからってことか?」
「まあ、そういうこった。けど向こうも数はかなりある。だから大将がいてくれりゃあ俺も心強いってわけだ。巻き込んじまうのは申し訳ねえが」
「まあ面倒なのは確かだが、他でもない樹の頼みだし。引き受けよう」
「・・・恩に着るぜ、大将」
ふっ、と笑って凜に感謝する。そうこう話しているうちに目的地に到着した。すると廃墟の中から対象の集団とそのリーダーらしき人物が出てきた。
「ふん、懐かしいクソみてえな気配がすると思ったら・・・やっぱりてめえかよ、秀道」
茶髪でなかなかに筋肉質な体躯をした20歳前後の男がどこかイヤそうに、けどほんの少しだけ楽し気な顔をしてそういった。
「ハッ、そういうてめえも昔と変わらねえな。いまだにお山の大将きどってんのかよ、吉田」
「どこぞのエリートさまとは違うんでね。おれあここのトップやってんのがお似合いなんだよ」
お互い嫌味たっぷりに言い合った。
「んで? エリートさまはおれらはぐれモノを逮捕しにきましたってか?」
「そうだといったら?」
すると周りの不良たちも含め吉田はゲラゲラと笑い声を上げた。
「おいおい、いくらなんでも舐めすぎじゃねえか? たった二人、しかも片方はまだガキじゃねえか。んなんでおれらに勝てると思ってんのか?」
「思ってなきゃたった二人で来るわきゃねえだろ」
それを聞いて吉田はさらに笑いながら言った。
「クハハ、そうかよ。・・・おいてめえら」
そういうと不良たちは二人を囲んで逃げ道をふさぐ。
「大将、わりいが周りの雑魚を頼む。おれはやつとケリつけてくる」
「ああ、こっちは気にせず存分にやってこい」
「・・・ちっ、本当に舐め腐ってやがる。 いいぜ、秀道・・・てめえはおれが相手してやる」
言いながら吉田は手を挙げて戦闘開始の合図をだす。
「てめえら、そっちのガキは好きにしていい。・・・やれ」
「「「ひゃああっはあああ!!!」」」
不良たちはどこか世紀末風な奇声をあげながら凜を襲う。
「さて、んじゃこっちもおっぱじめようぜ、秀道!」
「ああ、きやがれ吉田!」
二人は一気に距離を詰め、拳と拳をぶつける。そして続けざまに蹴り、また拳とすさまじい速度で格闘戦を繰り広げる。
「クッハハ、どうやら腕は鈍ってねえみてえだな!」
「てめえこそ今の俺についてこれるなんてなあ! 正直期待してなかったが、この分なら少しは楽しめそうだ!」
言葉を交わしながらも二人の攻防はより一層激しさを増していく。
一方、凜のほうはというと。
「な、なんだこのガキ、全然攻撃が当たらねえ!?」
「ど、どうなってやがる!?」
大勢で一斉に攻撃するも、凜にはカスリもせず、ただ体力を消耗するだけだった。
「ま、動きは単調だし、喧嘩慣れしてるっていっても所詮素人に毛が生えたくらいだしね」
「くっ、調子に乗りやがって!!」
向きになった不良たちはさらに攻撃を仕掛けるが。
「ほい、ほいっと」
ひょいひょいと軽い身のこなしで交わしていく凜。
「クソがーーー!!」
「はは、だから当たらないって」
さらにからかってみせる凜。
「とはいえ、さすがにこれ以上時間かける必要もないし。そろそろ終わりにしますか」
そう言うと凜の雰囲気が一気に変化し、周囲にただならぬプレッシャーをかける。
「うっ、な、なんだこいつ。急に空気が・・・」
「ああ、安心しなよ。痛みを感じることもなく一瞬で終わるから」
瞬間、凜の姿が消えた。かと思った次の瞬間には少しの衝撃を感じ、不良たちは一斉に倒れ伏した。
少し離れた場所からその光景をみた吉田が驚きの声を上げた。
「なっ!! いったい何が!?」
「だから言ったろ。二人でも勝てるってよ。・・・そもそも大将は俺なんかより実力は遥かに上だ。あんなチンピラが複数人束になろうと勝てるもんかよ」
「クソ!! ふざけやがって!!」
「さて、んじゃま、こっちもそろそろケリつけようぜ。 吉田ぁ!」
樹は再び吉田に襲い掛かった。
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