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デュカス子爵邸と嘯くプロスペール
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エリスはマルソー夫人とは気が合い、二人でデュカス子爵家を楽しく切り盛りしていた。あの男を見るまでは。
サラが家の事をせずに庭をほっつき歩いているのでまただれか下男を誑し込んだのかとサラの後を着けると、今までの小汚い庭番とよく似ただがもっと清潔でちゃんとした衣類を身に着けた大柄な男がサラを小さな庭番用の家に招き入れた。
「あれ、は?」
エリスはサラの入った家の側に佇んでいた。すぐに中からあられもない声が聞こえてきた。エリスはいたたまれなくなりその場を離れた。
そして、サラが家に居ない日に庭番、エドを追い出すべくエドの小屋に単身乗り込んだ。
その日以降、サラがいない日にエリスはこっそりエドの元に通うようになる。行き場のなかった性欲をエドは受け止めて発散させてくれたのだ。
後日エリスは知る事になる。マルソー夫人や他のメイドもエドを都合の良いおもちゃとして使っている事と既に妊娠させる能力を魔術で消されている事を。
エドの底なしの性欲もサラだけでは解消できていなかったがエリス達のおかげでこの屋敷内だけで性欲の解消ができているのでおとなしい下男兼庭番としてデュカス家に飼われることになった。
プロスペール曰く
「適材適所ってね。エドにもエリスさん、マルソー夫人にもメイドたち、お互いに福利厚生ではある」
サラはそういう事には気が付いていなかったし、エドが他の女と交わってる事には寛容だった。理由は簡単で性的な相手ではあるが人生のパートナーではないからだ。
子爵となったシャルルに対し、女性が近づいたり、女性の部下と仲良くしたりするとやきもちを焼く程度にシャルルにたいしての独占欲やあるようだ。
ある日、サラとシャルルは庭の四阿でお茶をしていた。意外な事に公爵家に居た頃にエドは庭造りの仕事をちゃんと覚えた。公爵邸のプロスペールの懇意にしえいる植木屋に週に2回講習を受けていて、子爵邸の庭は愛らしい花で埋められている。
「ねぇ、シャルル様」
「ん?」
シャルルはスコーンをざっくりわてたっぷりクリームとジャムを乗せて大口を開けて頬張る直前であった。
「シャルル様はヴィクトリアお姉様を愛していた?」
サラの声は少し震えている。サラはずっと気にしていた。本当はシャルルはヴィクトリアを愛しているのではないか、と。
「そうだねぇ」
シャルルはスコーンを皿に置いた。
「愛、してはいたよ。プロスペール兄様とか双子の兄様みたいにね。トリアとポールは兄姉みたいなものだったからね。僕の産みの母親は妊娠したって乗り込んで来たらしいから。魔力判定しても僕は王家の血を引いていたしね。……陛下がお忍びでちょっと綺麗な子を引っ掛けて翌日には忘れてたらしくて。良くない環境だったからトリアと婚約が調う前からあの兄妹には世話になってたんだ。だから男女の愛とかではないけど愛はあるよ。けど、サラを選んだんだからトリアとは会わないよ」
シャルルはそう言って、皿の上のスコーンを口の中に押し込んだ。
『トリアに会えるわけないじゃん、もう事は済んでしまった』
シャルルはそんな思いを心の奥に押し込めた。今は、公爵邸で皆で遊んだ日々も遠いのだとシャルルは思った。
「そっか……。シャルル様。相談があるの」
「なんだい?」
シャルルは新しいドレスかな、と思いながら話を聞く。
「あたし、そろそろ赤ちゃんが欲しいんだ」
**********************
今週来週は火曜日・木曜日の更新となります。
よろしくお願いします。
サラが家の事をせずに庭をほっつき歩いているのでまただれか下男を誑し込んだのかとサラの後を着けると、今までの小汚い庭番とよく似ただがもっと清潔でちゃんとした衣類を身に着けた大柄な男がサラを小さな庭番用の家に招き入れた。
「あれ、は?」
エリスはサラの入った家の側に佇んでいた。すぐに中からあられもない声が聞こえてきた。エリスはいたたまれなくなりその場を離れた。
そして、サラが家に居ない日に庭番、エドを追い出すべくエドの小屋に単身乗り込んだ。
その日以降、サラがいない日にエリスはこっそりエドの元に通うようになる。行き場のなかった性欲をエドは受け止めて発散させてくれたのだ。
後日エリスは知る事になる。マルソー夫人や他のメイドもエドを都合の良いおもちゃとして使っている事と既に妊娠させる能力を魔術で消されている事を。
エドの底なしの性欲もサラだけでは解消できていなかったがエリス達のおかげでこの屋敷内だけで性欲の解消ができているのでおとなしい下男兼庭番としてデュカス家に飼われることになった。
プロスペール曰く
「適材適所ってね。エドにもエリスさん、マルソー夫人にもメイドたち、お互いに福利厚生ではある」
サラはそういう事には気が付いていなかったし、エドが他の女と交わってる事には寛容だった。理由は簡単で性的な相手ではあるが人生のパートナーではないからだ。
子爵となったシャルルに対し、女性が近づいたり、女性の部下と仲良くしたりするとやきもちを焼く程度にシャルルにたいしての独占欲やあるようだ。
ある日、サラとシャルルは庭の四阿でお茶をしていた。意外な事に公爵家に居た頃にエドは庭造りの仕事をちゃんと覚えた。公爵邸のプロスペールの懇意にしえいる植木屋に週に2回講習を受けていて、子爵邸の庭は愛らしい花で埋められている。
「ねぇ、シャルル様」
「ん?」
シャルルはスコーンをざっくりわてたっぷりクリームとジャムを乗せて大口を開けて頬張る直前であった。
「シャルル様はヴィクトリアお姉様を愛していた?」
サラの声は少し震えている。サラはずっと気にしていた。本当はシャルルはヴィクトリアを愛しているのではないか、と。
「そうだねぇ」
シャルルはスコーンを皿に置いた。
「愛、してはいたよ。プロスペール兄様とか双子の兄様みたいにね。トリアとポールは兄姉みたいなものだったからね。僕の産みの母親は妊娠したって乗り込んで来たらしいから。魔力判定しても僕は王家の血を引いていたしね。……陛下がお忍びでちょっと綺麗な子を引っ掛けて翌日には忘れてたらしくて。良くない環境だったからトリアと婚約が調う前からあの兄妹には世話になってたんだ。だから男女の愛とかではないけど愛はあるよ。けど、サラを選んだんだからトリアとは会わないよ」
シャルルはそう言って、皿の上のスコーンを口の中に押し込んだ。
『トリアに会えるわけないじゃん、もう事は済んでしまった』
シャルルはそんな思いを心の奥に押し込めた。今は、公爵邸で皆で遊んだ日々も遠いのだとシャルルは思った。
「そっか……。シャルル様。相談があるの」
「なんだい?」
シャルルは新しいドレスかな、と思いながら話を聞く。
「あたし、そろそろ赤ちゃんが欲しいんだ」
**********************
今週来週は火曜日・木曜日の更新となります。
よろしくお願いします。
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