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ランスロットは思う。
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「そうだね。……ある事をするのにベル伯爵家と協力関係になったんだ。多分ヴィヴィアン伯母様とイゾルデのお父様も協力してもらえると思う。ただ……全容を話すにはまだちょっと時期が早いかな。上手くいけば……君は自由になれるかも」
自分の母親は無理だろうなと思っている。父アーサーが死んでも手放さないのではないかと思っているからだ。それと9人目の二人の子供が無事に生まれてから事を起こそうとランスロットは思っていた。父アーサーを殺しての王位簒奪も求めていない。理由は王としてはちゃんと有能で働いているからだ。その上でのモルガンとのいちゃつきを考えるとあの男いつ寝てるんだ?とは思っている。
父親の片腕の父の末弟のウーサーも出来れば抱き込みたいとランスロットは考えている。ウーサーの長男のトリスタンは同じクラスで割合と仲も良く、性格も頭も良いとランスロットは思っている。
正妃とその息子アーサー一派を殺すまではいかない、できれば離宮に隔離して世に出ないようにしたいと思っているのだ。アーサーはあれだけ女性に手を出して誰一人子供を孕まない理由を考えた事もないのか、とランスロットは思った。
前王ウーサーは第一夫人を正妃とした人で、多くの子を作った。庶子も複数人いる。が、ウーサー自身は前の前の王の一人子でウーサーはランスロットと同じ方法で成人の儀を終えている。なので第一夫人は王族ともいえないくらい遠縁のかろうじて王家と血がつながっている、というくらいの女性であった。ただし周りから文句がでなかったのは希代の魔術師マーリンの直弟子と呼ばれる人であったのだ。名前をヴィヴィアンという。ウーサーがなくなると隠居し深い森に戻っていったらしい。
この人の魔力をまともに受け継いだのがランスロットの伯母のヴィヴィアンでモルガナにも魔力はある、という程度だった。ヴィヴィアンが若くして公爵に嫁ぎ、介添えの乙女がモルガナに決まることは見えていて、それでも前王も前王妃もそれを是とした。
「で、兄様はどこまで手を汚すつもり?」
ランスロットはにっこり笑う。
「血まみれになる予定はないよ」
「兄様、何がどうなってるんですか」
メリルが兄ジョージに問う。
「この部屋は王子宮に賜った俺の部屋だ」
「王子宮って!あいつの本拠地でしょう」
メリルが唸る。
「いや、ちがう。ここに住んでるのはランスロット殿下とモードレッド殿下だ。……アーサーは夜寝る時はママと一緒で、ママの所に部屋があるらしいぞ」
メリルの目が丸くなる。
「何それ」
「アーサーが手を出した女の子数人に兄上の付き人が当たってくれたんだよ」
長兄の付き人といえば、美しい顔立ちなのにいつもわざと地味にしている青年で兄以外には名前も教えないという不思議な男だったな、とメリルは思い出した。
「……アレはなんなの?」
「王子様、だろ?ただマザコン属性のついてる」
「『ただ』?」
ジョージは頷く。
「あのギネヴィアとかいう正妃、壊れてる」
メリルが初めてギネヴィアとのお茶会の様子を告げる。
「私のボディラインは淫乱のものだ、その体で陛下をたぶらかすのだろうとかそういうことをお茶会の間中言ってるの。……三回は我慢しようと思ってて。三回目に気が付いたの。正妃の眼は正気の眼じゃなくて。かつ私を見てるんじゃないの。私を透かして違う人を見てるんだ。……多分、第一夫人の事なんだと思う。陛下の寵愛がどこにあるかは誰でも知る事ができますから……」
吹きっ晒しの四阿で第一夫人を貪る陛下を見てしまったメリルは溜息をついた。アーサー王子はまさにあの人の性質を受け継いでる、そう思った。
自分の母親は無理だろうなと思っている。父アーサーが死んでも手放さないのではないかと思っているからだ。それと9人目の二人の子供が無事に生まれてから事を起こそうとランスロットは思っていた。父アーサーを殺しての王位簒奪も求めていない。理由は王としてはちゃんと有能で働いているからだ。その上でのモルガンとのいちゃつきを考えるとあの男いつ寝てるんだ?とは思っている。
父親の片腕の父の末弟のウーサーも出来れば抱き込みたいとランスロットは考えている。ウーサーの長男のトリスタンは同じクラスで割合と仲も良く、性格も頭も良いとランスロットは思っている。
正妃とその息子アーサー一派を殺すまではいかない、できれば離宮に隔離して世に出ないようにしたいと思っているのだ。アーサーはあれだけ女性に手を出して誰一人子供を孕まない理由を考えた事もないのか、とランスロットは思った。
前王ウーサーは第一夫人を正妃とした人で、多くの子を作った。庶子も複数人いる。が、ウーサー自身は前の前の王の一人子でウーサーはランスロットと同じ方法で成人の儀を終えている。なので第一夫人は王族ともいえないくらい遠縁のかろうじて王家と血がつながっている、というくらいの女性であった。ただし周りから文句がでなかったのは希代の魔術師マーリンの直弟子と呼ばれる人であったのだ。名前をヴィヴィアンという。ウーサーがなくなると隠居し深い森に戻っていったらしい。
この人の魔力をまともに受け継いだのがランスロットの伯母のヴィヴィアンでモルガナにも魔力はある、という程度だった。ヴィヴィアンが若くして公爵に嫁ぎ、介添えの乙女がモルガナに決まることは見えていて、それでも前王も前王妃もそれを是とした。
「で、兄様はどこまで手を汚すつもり?」
ランスロットはにっこり笑う。
「血まみれになる予定はないよ」
「兄様、何がどうなってるんですか」
メリルが兄ジョージに問う。
「この部屋は王子宮に賜った俺の部屋だ」
「王子宮って!あいつの本拠地でしょう」
メリルが唸る。
「いや、ちがう。ここに住んでるのはランスロット殿下とモードレッド殿下だ。……アーサーは夜寝る時はママと一緒で、ママの所に部屋があるらしいぞ」
メリルの目が丸くなる。
「何それ」
「アーサーが手を出した女の子数人に兄上の付き人が当たってくれたんだよ」
長兄の付き人といえば、美しい顔立ちなのにいつもわざと地味にしている青年で兄以外には名前も教えないという不思議な男だったな、とメリルは思い出した。
「……アレはなんなの?」
「王子様、だろ?ただマザコン属性のついてる」
「『ただ』?」
ジョージは頷く。
「あのギネヴィアとかいう正妃、壊れてる」
メリルが初めてギネヴィアとのお茶会の様子を告げる。
「私のボディラインは淫乱のものだ、その体で陛下をたぶらかすのだろうとかそういうことをお茶会の間中言ってるの。……三回は我慢しようと思ってて。三回目に気が付いたの。正妃の眼は正気の眼じゃなくて。かつ私を見てるんじゃないの。私を透かして違う人を見てるんだ。……多分、第一夫人の事なんだと思う。陛下の寵愛がどこにあるかは誰でも知る事ができますから……」
吹きっ晒しの四阿で第一夫人を貪る陛下を見てしまったメリルは溜息をついた。アーサー王子はまさにあの人の性質を受け継いでる、そう思った。
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