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第二章
ダンジョン掃除 1
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翌朝、エディがマジックバッグの説明を受ける。最新のマジックバッグはウエストポーチ型とボディバッグ型にしてある。
「マドレーヌちゃんとエドの分は?」
「これ」
二人とも自分のマジックバッグを指す。エディが言う。
「こんな新品貰うのも気がひけるんだけど」
アルが説明する。
「俺の父親からの依頼だそうだ。荷物は軽いほうがいいからな。マドレーヌはそういう物品に目が利くのでマドレーヌの父親通しての依頼だってさ」
「行き届いた親父さんだな。なんで今まで連絡取ってなかったんだ?」
エディが疑問を口にする。
「……ギルドの手紙のシステムとかマドレーヌに聞いて初めて知ったからな」
エディは納得した。自分たちもマドレーヌに教えてもらうまでギルドでの識字学級の事や基本的な算術を教えてくれることなどまったく知らなかったからだ。
「ほんとにマドレーヌちゃんは良く知ってるなぁ」
「そりゃ叩き込まれたもの」
マドレーヌはさらりと流す。
「今日はギルドに行って受ける仕事あるか見ようか」
アルが提案し、他の三人も頷いた。ここからは別行動になる。好きな仕事を好きに受けるし、パーティ案件なら相談をするという事で決まった。
「なぁ、これ受けないか?」
それは下級から中級クラスの大規模ダンジョン掃討戦、ダンジョン掃除と呼ばれるものだった、エドは初級で浅い階層でスライム潰し、マドレーヌは弓で補助を、エディとアルは斧と剣で本体で深い段階まで集団で行きスタンピート、モンスター津波の名残の魔物を削るという事でギルドに振り分けられた。
「エド、慣れない事だけど頑張れよ」
「スライムとか角ウサギは子供の頃から小遣い稼ぎだったからね」
「モンスター津波後かぁ。案外と浅い階層掃除の方が忙しいかも。角ウサギもスライムも繁殖サイクル早いから……ダンジョン掃除。意外と苦労するかもよ、エド」
エドはマドレーヌの言葉に苦笑いだった。
「俺が一番ギルドのポイント稼ぎたいから頑張るさ。薬草摘みだと貰えるギルドポイントも低いしね」
「とにかく補給大事にね。スライムの体力じゃなくて自分の体力削らないように」
エドははいはいと話を聞いていた。
当日、エドは一番人数の多iD班に入った。マドレーヌは3階層目でA班が取りこぼしたモンスターをそれ以上上の階層にいかせない役目を担った。これはA班が進むにつれ各階層の入口におかれる。これをC班とし、A班のサポートをするのがB班で聖女とヒーラーで構成されていた。アルとエディはA班であった。B班の聖女はアルに興味を持ったらしくダンジョンに入る前から付きまとっている。マドレーヌはによによとその様子を見ていた。
マドレーヌが矢の本数の再確認をしているとずんずんとアルが近づいてきた。聖女がアルにまとわりついている。
「彼女が俺の婚約者だから。君が何を言ってもだめだよ。俺は彼女がいいんだ」
マドレーヌは何が起こっているのか全く理解していない。
「アル?何の話?」
アルが母国語で小さな声でマドレーヌに伝える。
「話合わせて。君は僕の婚約者ってことで」
マドレーヌはよくわからんがまぁ、後で問いただすと心に決める。
あわいピンクブロンドの聖女は確かに愛らしいが、婚約者だという冒険者は群を抜いて美しかった。銀糸の髪に紫がかった蒼の宝石のような瞳。品のある顔立ち。聖女は少しだけ引いた。しかし、聖女はしぶとかった。
「でも今はあたしが一緒についていくから。この子はスライム番でしょ?あたしの方があなたの役に立つわ」
「……君の手を煩わさないようにするよ。ポーションとか持ってきてない人の為にその力は役にたててくれ」
マドレーヌは二人のやり取りを興味なさげに見ている。
「あなた、言うことないの?」
聖女はきっとマドレーヌを睨む。マドレーヌはわざとらしくおっとりと返す。
「アルの御心のままに」
「マドレーヌちゃんとエドの分は?」
「これ」
二人とも自分のマジックバッグを指す。エディが言う。
「こんな新品貰うのも気がひけるんだけど」
アルが説明する。
「俺の父親からの依頼だそうだ。荷物は軽いほうがいいからな。マドレーヌはそういう物品に目が利くのでマドレーヌの父親通しての依頼だってさ」
「行き届いた親父さんだな。なんで今まで連絡取ってなかったんだ?」
エディが疑問を口にする。
「……ギルドの手紙のシステムとかマドレーヌに聞いて初めて知ったからな」
エディは納得した。自分たちもマドレーヌに教えてもらうまでギルドでの識字学級の事や基本的な算術を教えてくれることなどまったく知らなかったからだ。
「ほんとにマドレーヌちゃんは良く知ってるなぁ」
「そりゃ叩き込まれたもの」
マドレーヌはさらりと流す。
「今日はギルドに行って受ける仕事あるか見ようか」
アルが提案し、他の三人も頷いた。ここからは別行動になる。好きな仕事を好きに受けるし、パーティ案件なら相談をするという事で決まった。
「なぁ、これ受けないか?」
それは下級から中級クラスの大規模ダンジョン掃討戦、ダンジョン掃除と呼ばれるものだった、エドは初級で浅い階層でスライム潰し、マドレーヌは弓で補助を、エディとアルは斧と剣で本体で深い段階まで集団で行きスタンピート、モンスター津波の名残の魔物を削るという事でギルドに振り分けられた。
「エド、慣れない事だけど頑張れよ」
「スライムとか角ウサギは子供の頃から小遣い稼ぎだったからね」
「モンスター津波後かぁ。案外と浅い階層掃除の方が忙しいかも。角ウサギもスライムも繁殖サイクル早いから……ダンジョン掃除。意外と苦労するかもよ、エド」
エドはマドレーヌの言葉に苦笑いだった。
「俺が一番ギルドのポイント稼ぎたいから頑張るさ。薬草摘みだと貰えるギルドポイントも低いしね」
「とにかく補給大事にね。スライムの体力じゃなくて自分の体力削らないように」
エドははいはいと話を聞いていた。
当日、エドは一番人数の多iD班に入った。マドレーヌは3階層目でA班が取りこぼしたモンスターをそれ以上上の階層にいかせない役目を担った。これはA班が進むにつれ各階層の入口におかれる。これをC班とし、A班のサポートをするのがB班で聖女とヒーラーで構成されていた。アルとエディはA班であった。B班の聖女はアルに興味を持ったらしくダンジョンに入る前から付きまとっている。マドレーヌはによによとその様子を見ていた。
マドレーヌが矢の本数の再確認をしているとずんずんとアルが近づいてきた。聖女がアルにまとわりついている。
「彼女が俺の婚約者だから。君が何を言ってもだめだよ。俺は彼女がいいんだ」
マドレーヌは何が起こっているのか全く理解していない。
「アル?何の話?」
アルが母国語で小さな声でマドレーヌに伝える。
「話合わせて。君は僕の婚約者ってことで」
マドレーヌはよくわからんがまぁ、後で問いただすと心に決める。
あわいピンクブロンドの聖女は確かに愛らしいが、婚約者だという冒険者は群を抜いて美しかった。銀糸の髪に紫がかった蒼の宝石のような瞳。品のある顔立ち。聖女は少しだけ引いた。しかし、聖女はしぶとかった。
「でも今はあたしが一緒についていくから。この子はスライム番でしょ?あたしの方があなたの役に立つわ」
「……君の手を煩わさないようにするよ。ポーションとか持ってきてない人の為にその力は役にたててくれ」
マドレーヌは二人のやり取りを興味なさげに見ている。
「あなた、言うことないの?」
聖女はきっとマドレーヌを睨む。マドレーヌはわざとらしくおっとりと返す。
「アルの御心のままに」
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