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第五章

刺繍の時間

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パソコン修理中につき短いです。

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エマは刺繍は得意とは言えないが、公爵の誕生日にグランサニューの紋章を刺繍したタイを送りたくてアルノー男爵夫人に指導に来てもらっているという。

「マドレーヌちゃんは……そうね、お父様達に紋章を刺繍したハンカチを目指しましょう。好きな方がいらっしゃるならその方の紋章でもいいのよ?」

マドレーヌはふと、アルの顔が浮かんだ自分に少しうろたえた。そして授業の間のおしゃべりでアルノー夫人はアランが落ち着いたら爵位を早々にアランに譲って自分は街場で刺繍請負の店をするつもりだと言う。

「貴族、向いてませんから」

とアルノー男爵夫人は笑う。結婚前から考えていた生活をするんだという。マドレーヌは自分は騎士団に入るつもりだと話した。

「実家に頼らず生きていきたいので」

「そう……ね。それは良い事だと思う。嫡男だと家から出るのは難しいけど、それ以外の子供は自由にできると思うのよ」

アルノー夫人は自分の事を鑑みてそう答えた。



「なんで……」

ロクサーヌとマドレーヌは愕然としている。戯れにネイサンも刺繍を刺してみたら、多少ではあるが経験のあるロクサーヌとマドレーヌより今日、初めて針をもったネイサンの方が上手いのだ。ネイサンは少し得意そうで、少し面映ゆそうでそして、ばつが悪そうであった・

エマは笑ながらお茶にしようと言い、成長盛りの三人は一も二もなく賛成した。アルノー夫人とエマの雑談を無言で聴きながら3人は王都の公爵邸の料理人の軽食やスイーツに舌鼓を打った。



「今度、ネイサンちゃんとロクサーヌちゃんもうちに来なさいね。暫くマドレーヌちゃんはうちにいるから」

エマの言葉にロクサーヌは満面の笑みで頷く。

「どうせ、父様達がなにかやる時、そちらに送り込まれると思います」

「そうね。うちの人もなにかごぞごぞしてるし、ドニ様も動き始めてるから。もう一波乱ありそうね」

ロクサーヌはまた頷いた。

「マドレーヌと一緒なら父様も安心しますし」
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