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ルトガーの章
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「皆さん、お疲れさまでした」
ギルドの職員が迎えてくれる。マルクは街の入口で荷物をおろすと一足先にクランハウスに戻っていた。ダヴィド、ミューの親戚がアキラに声をかける。
「一応ミューの顛末を話しておきたいのだが」
「いいぜ。人が少ない方がいいか?」
ダヴィドが頷いた。ルトガーが心得て頷いた。
「とりあえずベルタの店でいいかな?店の個室が空いてなかったらハウスかな」
「そんな感じで。残りの事務処理は俺がしておく」
「頼んだ」
ルトガーはアキラにそういうと一足先にベルタの店に向かう。店にはベルタがいて、個室に人がいなければ貸してほしいと頼む。
「小さい方は開いてないし…、今日は高位貴族の令嬢も来てないからご令嬢通す部屋でいいかな。ちょっと少女趣味だけど」
「ありがとう」
ベルタはいたずらっぽく笑う。
「先に部屋に入ってて」
ルトガーは部屋に通された瞬間、硬直した。白と金とピンクで構成された部屋に猫足の椅子とテーブルで冒険者の自分がいるとものすごい違和感があった。ルトガーはせめても、と椅子に座る前に自分に清潔の魔法をかける。メニューを持ってこられてメニューを見ながらベルタと軽くおしゃべりをする。あるメニューを見て、ルトガーはにやり、とした。
「ベルタ、これ人数分たのめるかな。足りなかったら言って」
と金貨を一枚ベルタに渡す。
「あとこれにあう紅茶を」
ベルタは了解した。
「余った分のお金分はサンドイッチとかで持って帰る?」
ベルタの提案にルトガーも乗った。
「あ、あの」
皆が三々五々に冒険者ギルドで手続きを終え帰っていく中フェイスがアキラに声をかける。
「なんだ?」
フェイスは心細い様子だった。
「………これから私どうしたら」
アキラは眉間にしわを寄せる。
「あのさ、君は俺達に冒険者ギルドまで連れてきてほしいって言ったよね?」
「はい…」
大きな目に涙をためてフェイスはアキラを見ている。
「君はなぜここに来た?俺は君が何をしたいかも知らないし君を世話する理由はないよね?君は君のしたいことをすればいい。俺は知らん」
アキラは憮然とした表情になった。アキラはこの手の下から見上げてきて泣けば思い通りになるという女性が嫌いだった。この手の女はトラブルしか持ってこない、とその機嫌の悪い表情の下で考えていた。
「あ、あの、冒険者になりたいんですっ」
大きな目から涙がこぼれた。『あ、面倒の匂いがする』とアキラは目で女性職員を捜し、アイコンタクトでこちらに呼ぶ。
「どぉしましたぁ」
間延びした声。ピンクがかった金髪にピンク色の瞳の小柄な職員がやってくる。アリスというその職員は小柄で華奢なのに出る所は出ていて男性冒険者に人気の高い職員だった。 アキラはこの職員がモンスターの解体が好きで腕のいい職人だと知っていたので受付をしてるのにおどろいた。
「え?アリスが受付?」
「今日は解体がないから表手伝ってるのぉ。このお嬢さん、どうしたの?」
「冒険者になりたいんだと。色々説明してやってくれるか?」
「おっけぃ。お嬢さんお名前は?」
「フェイスです」
しゃくりあげながらフェイスがいうと察しの良いアリスはフェイスと一緒に登録カウンターの方に移動した。フェイスから見えないようにアキラに向かって早くいけ、と手で伝えてくる。
アキラが移動し始めるとランディとダヴィドがそれについて移動した。冒険者ギルドから離れた所に来てやっとアキラから言葉が出た。
「じゃ、店に行こうか。待たせたね」
アキラの言葉にダヴィドが食い気味に聞いてくる。
「あの職員さん、アリスっていうんだね」
アキラとランディは苦笑いする。また一人、アリスのファンが増えたらしい。
ギルドの職員が迎えてくれる。マルクは街の入口で荷物をおろすと一足先にクランハウスに戻っていた。ダヴィド、ミューの親戚がアキラに声をかける。
「一応ミューの顛末を話しておきたいのだが」
「いいぜ。人が少ない方がいいか?」
ダヴィドが頷いた。ルトガーが心得て頷いた。
「とりあえずベルタの店でいいかな?店の個室が空いてなかったらハウスかな」
「そんな感じで。残りの事務処理は俺がしておく」
「頼んだ」
ルトガーはアキラにそういうと一足先にベルタの店に向かう。店にはベルタがいて、個室に人がいなければ貸してほしいと頼む。
「小さい方は開いてないし…、今日は高位貴族の令嬢も来てないからご令嬢通す部屋でいいかな。ちょっと少女趣味だけど」
「ありがとう」
ベルタはいたずらっぽく笑う。
「先に部屋に入ってて」
ルトガーは部屋に通された瞬間、硬直した。白と金とピンクで構成された部屋に猫足の椅子とテーブルで冒険者の自分がいるとものすごい違和感があった。ルトガーはせめても、と椅子に座る前に自分に清潔の魔法をかける。メニューを持ってこられてメニューを見ながらベルタと軽くおしゃべりをする。あるメニューを見て、ルトガーはにやり、とした。
「ベルタ、これ人数分たのめるかな。足りなかったら言って」
と金貨を一枚ベルタに渡す。
「あとこれにあう紅茶を」
ベルタは了解した。
「余った分のお金分はサンドイッチとかで持って帰る?」
ベルタの提案にルトガーも乗った。
「あ、あの」
皆が三々五々に冒険者ギルドで手続きを終え帰っていく中フェイスがアキラに声をかける。
「なんだ?」
フェイスは心細い様子だった。
「………これから私どうしたら」
アキラは眉間にしわを寄せる。
「あのさ、君は俺達に冒険者ギルドまで連れてきてほしいって言ったよね?」
「はい…」
大きな目に涙をためてフェイスはアキラを見ている。
「君はなぜここに来た?俺は君が何をしたいかも知らないし君を世話する理由はないよね?君は君のしたいことをすればいい。俺は知らん」
アキラは憮然とした表情になった。アキラはこの手の下から見上げてきて泣けば思い通りになるという女性が嫌いだった。この手の女はトラブルしか持ってこない、とその機嫌の悪い表情の下で考えていた。
「あ、あの、冒険者になりたいんですっ」
大きな目から涙がこぼれた。『あ、面倒の匂いがする』とアキラは目で女性職員を捜し、アイコンタクトでこちらに呼ぶ。
「どぉしましたぁ」
間延びした声。ピンクがかった金髪にピンク色の瞳の小柄な職員がやってくる。アリスというその職員は小柄で華奢なのに出る所は出ていて男性冒険者に人気の高い職員だった。 アキラはこの職員がモンスターの解体が好きで腕のいい職人だと知っていたので受付をしてるのにおどろいた。
「え?アリスが受付?」
「今日は解体がないから表手伝ってるのぉ。このお嬢さん、どうしたの?」
「冒険者になりたいんだと。色々説明してやってくれるか?」
「おっけぃ。お嬢さんお名前は?」
「フェイスです」
しゃくりあげながらフェイスがいうと察しの良いアリスはフェイスと一緒に登録カウンターの方に移動した。フェイスから見えないようにアキラに向かって早くいけ、と手で伝えてくる。
アキラが移動し始めるとランディとダヴィドがそれについて移動した。冒険者ギルドから離れた所に来てやっとアキラから言葉が出た。
「じゃ、店に行こうか。待たせたね」
アキラの言葉にダヴィドが食い気味に聞いてくる。
「あの職員さん、アリスっていうんだね」
アキラとランディは苦笑いする。また一人、アリスのファンが増えたらしい。
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